「誕生プレゼント、何がいい?」
あげるのなら本人が欲しがっているものを直に聞いたほうが早道だと思ったから
訊いたのに、馬堀は笑いながら即座に『何もいらない』と言った。
「なんで?」
「プレゼントなら、トシからいつも貰っているからさ」
思わせぶりな笑顔。
いつも貰ってる?
「何を?」
「今だって貰ってるよ」
? ますますもって解らない。ただしゃべっているだけじゃないか。
頭をひねって考え込んでしまったオレを、馬堀はさらに笑みを深くして眺めている。
……いいよ。解んないよ。どうせオレはバカなんだよ。
拗ねたいのに――なんで身体が熱くなって、こんなにドキドキするんだろう。
「まだ解らないのか?」
スイっと馬堀が近づいてくる。
唇が触れそうな程に顔が近づいて、オレのドキドキはバクバクに変わってしまう。
「わ、解んないよ」
一歩後ろに下がろうとして、肩を捕まれ抱き寄せられた。
あったかい。
馬堀の胸も、ドキドキしてる?
優しい声が降りてくる。
「こうして一緒にいられることが、一番のプレゼントなんだよ」
「な……」
なんでそんな恥ずかしいセリフをさらりと言うんだよ!
また顔が近づいてきて、馬堀はオレの頬に、音を立ててキスをした。
……でもさ、これってプレゼントじゃないよね。
だっていつもの事だもんな。
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2002/09/10(Tue) 00:34:16 |
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