漢方薬Q&A



東洋堂土方医院 土方 康世(賛助会員)



 過去17年間の私の臨床経験の中で患者さんから頻繁に受けた漢方薬に 関する質問に対する答えをまとめてみました。皆様方が漢方薬に対する 理解を深め、病気の治療と予防、および健康の維持、増進に少しでも お役に立てれば幸いです。

 原則として、私は現代医薬で直ぐに治る方には漢方薬を勧めておりません。 現代医薬では副作用が出てどうしても服用できない方、難病で治療の困難な方、 現代医薬でどうしても治療がうまくいかない方に勧めております。

Q:漢方薬はどのような病気に有効ですか?

A:たとえば、次のような病気の症状が改善されます。

 喘息、気管支炎、慢性肺疾患(肺気腫、気管支拡張症)、 狭心症、心筋梗塞、不整脈、高血圧症、低血圧症、口内炎、 口唇ヘルペス(熱の花)、口内血腫、胃炎、胃ポリ−プ、 腸炎(サルモネラ感染症、初期クロ−ン病、潰瘍性大腸炎)、 下痢症、便秘症、痔核、痔瘻、脱肛、子宮下垂症、 肝炎(薬剤性、ウィルス性)、肝硬変、胆嚢炎、 胆石痛軽減(胆泥例は完治例あり)、膵炎、糖尿病、 高脂血症、痛風、甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症、 子宮筋腫、生理不順、生理痛、不妊症、妊娠悪阻、 妊娠中の感冒や咳、妊娠中の諸症状、切迫流産、残留胎盤、 SLE(全身性紅斑性狼瘡)、多血症、リンパ腫と白血病、 タンパク尿、ネフロ−ゼ、腎炎、膀胱炎、尿路結石症、 性器ヘルペス、前立腺炎、ある種前立腺肥大症、てんかん、 痙攣、脳梗塞、一過性脳虚血発作、ウィルス性髄膜炎、 神経痛(三叉、肋間、坐骨)、帯状疱疹、流行性耳下腺炎、 関節リウマチ、変形性関節炎、花粉症、軽症強直性脊椎炎、 蕁麻疹、アトピ−性皮膚炎、打撲傷、打ち身、捻挫、緑内障、 めまい、インポテンツ……。

 特に、著しい完治率が見られたものは、ネフロ−ゼ、蛋白尿、 B型肝炎(キャリア−を除く)、口唇ヘルペス、生理痛などです。 もちろん、急性疾患に効く場合も少なくないのですが、 良く用いられるのは慢性疾患です。体質に合っていると副作用らしき ものがほとんどないからです。上記以外の病気にも効く例は多々あると 思いますが、私が経験していないものは省きました。

Q:私の薬は小柴胡湯(しょうさいことう)ですか?

A:小柴胡湯も入っていますが、それ以外のものも入っています。

Q:最近、小柴胡湯の副作用(肺線維症など)が話題になって いますが、大丈夫ですか?

A:服用前に比べて、症状が良くなり、元気になったのなら心配は 要りません。貴方に小柴胡湯適応の症状が有ったから使いました。 体質に合わない時には、必ず困った症状が出ます。厚生省発表の 死亡例では、肺症状などがあるのに漫然と4〜5ヶ月間投与してましたね。 そのような時には、漢方薬だけを中止してしばらく経過を見て、その結果、 悪い症状が消失すれば、その漢方薬が原因である可能性があります。 そして、その漢方薬は中止して、処方を変更しなければいけません。

Q:どのくらいの期間、服用しなければいけませんか?

A:病気によって異なります。急性の病気なら短期間で済みます。 慢性の病気、たとえば糖尿病などでは一生飲み続けた方が良いと 思います。そして、服用量は、治療期はきっちり、維持期は少なめで 良いと思います。必ず定期的に検査して、病状が悪化するようなら 規定量を服用し、運動療法なども併用した方が良いと思います。
 検査値が良くなった段階で、しっかり運動療法と食事療法を していれば、漢方薬が不要となることもあります。しかし、糖尿病は、 検査値が正常でも合併症(脳梗塞、心筋梗塞など)だけが起こる場合が ありますから油断なりません。

 ずっと飲み続けたのが良かったと思われる場合として、次のような 症例を経験しました。肝硬変の末期で腹水もたまっていた人で、2年間の 漢方薬服用により検査値も症状もすっかり正常になり、本人が完治と考え 服用を中止しました。5年後に小さな肝癌がみつかり、2ヶ月の入院後に 肝不全で死亡しました。
 これと対照的な例として、次のようなケースもあります。33年前の 乳癌手術時の輸血により32年前に肝炎(後にC型肝炎と判明)と診断され、 以来慢性化しました。16年前から漢方薬を服用していましたが、最近、 感染性心内膜炎で亡くなりました。解剖した結果、16年前と全く同じく、 “肝臓は慢性肝炎が肝硬変に移行する前の状態”ということでした。

 漢方薬の連用が16年間にわたり悪化(進行)させなかったことが 示唆されます。人間は必ず死ぬものですが、このような症例の経験からは、 体質に合った漢方薬なら延命効果があるのではないかと考えております。 いわば、人体という機械の掃除とか手入れをしていることになり、 しないよりした方が気持ちが良いのは当たり前だと思うからです。
 元気なつもりでも、専門医から見ると、身体のバランスの崩れを 持っているものです。このように大して悪くない時から体質にあった 漢方薬を服用すると、病気の予防になり、ずっと健康が維持できるという ケースが多く見られます。また、概して少ない服用量で済みます。

 結局、患者さん自身で、諸般の事情を考えて決めるのが最良かなという 気がします。

Q:漢方薬の費用はどのくらいかかりますか?

A:一番多いケースは1日約500円です。400円の人も600円の人も、 それ以上の人もいます。当院は、癌患者さんが多いのですが、そのような 場合には、1日1,000円以上となる場合もあります。私自身は、 同じ効果ならなるべく安い生薬を使うように心掛けておりますが、どうしても 2種類以上必要な人の場合は割高になってしまいます。

 慢性疾患の場合、一度煎じた後、再度煎じ滓(かす)を煎じて、一度目と 一緒にしてそれを二日で服用すれば、費用は半分で済みます。服用しないより、 このようにしてでも服用した方が良いと思います。

Q:漢方薬は癌に効きますか?

A:数が多いので全ては述べませんが、経験例の中の興味ある2例を述べます。
 1例目は乳癌の3期でリンパ節転移があり、あと2年と言われた例ですが、 漢方薬(3種類)、蓮見ワクチン、現代医薬の三者併用で、6年目の現在、 検査的・臨床的に全く正常です(乳房温存)。
 2例目は、某国立病院で胆嚢癌の診断で開腹したもののすぐ閉じた例で、 5年後の現在、本人は病気のことを知らずに、まだ元気で働いています。むしろ、 果して本当に癌だったかどうか疑問に感ずるところです。

 また、漢方薬の服用(現代医薬も含む)することにより、癌患者のほぼ 全例が医者の予想より延命し、「苦しまないで死んだ」と、ご家族の方に 喜んで頂きました。
 初期癌において、漢方薬は、手術後の再発予防として一つの有効な選択肢 だと思います。

Q:何故漢方薬は効くのですか?

A:漢方薬は、天然の素材である動物・植物・鉱物を、そのまま(生薬)、 あるいは性質を変えない程度の簡単な加工を施して、薬として煎じ薬や エキス剤や散剤、または丸薬として用いるので、人工的に合成した薬剤よりも 「人体になじみ易い」という特長があります。

 また、漢方薬の処方は、中国数千年の経験と実証(生薬の効果を人体で 繰り返し繰り返し試してみた結果)に基づいて出来上がった独特な考え方で ある「中医学」に基づいており、漢方の真髄は、このような経験に基づく 個々の体質に合った生薬の組み合わせの妙にあるのです。
 これが日本に伝わって、日本人の体質に合った処方が作られ、現在も 頻用されているのです。この「処方の妙」も漢方薬の特長に挙げられます。 たとえば、のぼせて鼻血が出たり、結膜充血(毛細血管からの出血)や 炎症などに効力があるとされる黄連解毒湯(おうれんげどくとう)は、 炎症と充血を除く作用がある「黄連」「黄苓」と、やはり消炎作用もあり 利尿作用も加わる「山梔子(くちなし)」「黄柏(きはだ)」との組み 合わせで出来ており、これら生薬が微妙に協力しあって、慢性的な 炎症疾患にも効力を示す訳です。

 私自身、カゼで40℃の熱発時に黄連解毒湯を服用し、数時間後には 38℃まで解熱した経験を持っており、消炎・解熱・鎮痛薬としての有効性を 認めています。


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