〔要約:数年前より前胸部痛、掌蹠膿疱症、
貧血のある58歳男性。
レントゲンで胸肋鎖骨間に異常骨化像を示し
掌蹠膿疱症性骨関節症(PAO→SAPHO)と診断されたが、
尿検査で異常が発見され腎機能障害の合併が判明。
病理検査で半月体形成糸球体腎炎の診断、
ステロイド、免疫抑制剤(エンドキサン®)、
ビスホスホネート(骨粗鬆症治療剤)を使用中の症例の報告〕
(注:SAPHO症候群
掌蹠膿疱症と同様の皮疹が掌部(てのひら)
と蹠部(足の裏)以外の部位に発生し
(膿疱性乾癬と呼ぶ場合もある)、
重度のざ瘡(ニキビ)やその他感染巣
(慢性扁桃腺炎、慢性中耳炎、ムシ歯など)
を併発していることが多く、
これら慢性病巣にいる細菌(常在菌の場合も多い)
に対するアレルギー反応による病態ではないかと考えられている。
これらのうちで骨・関節症状(脊椎関節炎)を呈し、
レントゲン上無菌性骨炎(脊椎椎体に多い)
を呈するものをSAPHO症候群(Synovitis,Acne,Pustulosis
Hyperostosis and Osteitis)と呼ぶようになった。
以前からある掌蹠膿疱症性骨関節症(PAO)
はこれに含まれるものと考えるのが一般的となっているが、
血清反応陰性脊椎関節炎(症)、
すなわちSNSAに含めるべきものかについては、
未だ議論がある)