StoPainセミナーに参加して



事務局長 井上 久


 平成10年4月25日、ロサンゼルスで開かれたSAA (アメリカ脊椎炎協会)主催の「StoPain セミナー」に参加して来ました。 SAA(Spondylitis Association of America)はヨーロッパを中心とした ASIF(強直性脊椎炎国際連盟)の一員として登録されてはいるものの 過去に一度も会議に参加したことがなく、ASIF以上の組織力と実行力を 持つためでしょうか、全く別個に独自の活動を精力的に行なっています。 日本の25倍の国土を持つアメリカですから飛行機でやって来る人が多いため でしょう、会場は空港近くのエアポートヒルトンホテル、参加者は家族も 含め約150名でした。セミナーは朝から夕方まで5つの会場で同時進行で 行なわれたために、一人が参加できる数は限られ、従って、家族で 分散して聴講している人が多かったようです。

 プログラムは、体操療法(ストレッチ)、抗ストレス療法、指圧、 ヨーガ、東洋医学、栄養学、心理学、家族生活、そして瞑想療法といった ような、いわゆる代替療法alternative medicineと呼ばれているものが 中心で、「アメリカでは西洋医学があまりアテにされていないのでは ないか?」という印象でした。実は、私も最近、抗○剤とか鎮○薬と いったような、“抑える”とか“取り除く”ことが治療の主体である 西洋医学的治療について限界を感じ始めており、ASに限らず世の中に ある病気のかなりのものは人間の持つ本来の自然治癒力を促進させる ような努力をした方が結果的にはベターなのではないかという考えに 変わりつつある所でしたので、この意味では、今回のセミナー参加は タイムリーなものでした。今回、聞き慣れない分野の話をいろいろ聞いて、 さらにこの思いを強くした次第です。皆、真剣にノートをとり、 実技指導にも積極的に参加していました。家族ではなく、恋人や ガールフレンド(らしき人)が一番熱心だったように思います。

 日本AS友の会事務局長ということを知っていて下さったのでしょう、 終了後のスタッフの打ち上げ会に、Jane Bruckel会長から直々に肉筆の 招待状をいただいたのですが、当日は前々からの約束があったために 丁重におことわりして、後ろ髪引かれる思いで会場を後にしました。

 帰りに、寄り道をして、日本やヨーロッパでは味わえない広大かつ 自由なアメリカの雰囲気をちょっぴり味わった後、日本AS友の会に 限らず、日本の様々な患者会でも、高名なリウマチ医によるお決まりの 西洋医学的・総論的講演や患者さんの“涙の体験発表”だけではなく (これも必要でしょうが)、今回のように、もっともっと前向きな姿勢の セミナーも開催できたらなぁ……と、国際会議に参加した帰り道には いつも感じる羨望の思いを胸に帰国の途につきました。そう言えば、 会長、実行委員長は勿論のこと、講師や実行委員の多くが女性でした。 日本とは大分事情が違うようです。


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