一 般 寄 稿


T.A.


 「ごめんな、この病気の治療薬は無いんやわ」
 4月末、リウマチ専門医から天理よろず病院を紹介され 「リウマチ反応マイナスの脊椎と関節の炎症」という病名を知らされ、 正直ホッとした。
 何の病気か判ったんだ、これで先に進めると・・・。

 ところが、
 「ウーン、アザルフィジン®て薬があるんだけど、 厳格にいうとこの病気の治療薬と違うんです。 でもうまく行ったら症状が治まるか少し楽になるかも。 あとは痛み止めを服用して痛みを和らげることくらいかな。飲みますか?」
 「あのー、それって私が決めるんですか?」
 ドクター、にっこりうなずく。
 どうしょう、ドクターに返事しないと。でも、これって超難問。
 いろいろ質問したもののドクターの説明も右から左へ抜けて行き、 頭の中は、“飲むべきか飲まざるべきか”を行ったり来たり。
 結局、病院を出る時は、アザルフィジン®1回2錠、 インダシン®、アプレース® の入った袋を抱えていたのです。

 その後の症状は、特に良くも悪くもなく、 アザルフィジン®の効果が有るのか無いのか判りにくいところでした。
 2ヶ月過ぎた頃、ドクターより
「リマチル®1錠(リウマチ治療に使われているとか)、 アザルフィジン®1錠に変えてみましょう」とのこと。
 しかし、変更後も1ヶ月くらい以前と同じような状態だったのです。

 が、突然、終日激痛におそわれギプアップ。
「飲みたくありません」と拒否していたステロイド(プレドニゾロン®) を服用せざるを得なくなりました。
 1日、7.5mgから始めたのですが、これはよく効きました。
 1ヶ月半くらいでステロイドを止めて、 初めの頃のアザルフィジン®1錠と痛み止めに戻りました。
 ところが、痛みはほとんど治まったのですが、首が回らなくなりました。

 「磁気マットが良い」「温マッサージが良い」・・その他、 いろいろな情報を友人や知人がくれましたが、 ふと長男の友人のお兄さんが、カナダ、中国で鍼灸や漢方の勉強を済ませ、 奈良に戻って治療院を開いていることを思い出しました。
 不安な気持ちのまま電話をしました。
 「ああ、中国にもリウマチほどではないですが、 その病気の患者さんもみえていましたよ」と。

 初めてでした。「それはどんな病気ですか?」と聞かれずに 話を進めて行けたのは・・(内科、人科、眼科など既往症の欄を見て、 必ず「どんな病気?」と尋ねられた)。
 鍼(はり)治療は週2回、2時間、行く度に首が少しずつ動き始め、 鉄板がくっついているような感じの背中も柔らかくなり、 手の指の腫れや曲がりも良くなって行きました。

 鍼治療は私に合っていたのでしょう。 症状が落ちつくにつれ、週1回、月2回と半年ほど通い、 その後は、特に痛く固くなった時だけお願いしました。
 鍼治療と同時に漢方薬も中国から取り寄せてもらいました。 これもまた運の良いことにピタっと効いたのです (あっ、失礼、登美ヶ丘治療院の先生はプロとして アカデミックに見立てて下さったのです)。
 52歳だったあの朝のことは、4年経った今でもはっきり覚えています。

 「1日3回服用で、本来なら空腹時ですが、 胃腸の働きも弱っていると思うので、食後に飲んで下さい」と渡され、 その日、昼、夜と服用し、あくる日目がさめると、 なにかいつもと違うのです。
 全身にあった痛み固さが「エーッ」と思うくらい楽なのです。
 「ウソでしょ?」と思ったら、ベッドから起き上がる時、 いつになくスムーズに起き上がれたのです。
 夢かしら、なんとありがたいことでしょうと感謝の気持ちで一杯でした。

 鍼治療を始めて4ヶ月頃には、 インダシン®、アザルフィジン®の服用も止めました。
 漢方薬は3年間ほど飲み続け、その漢方薬も止めて1年以上経ちます。 この調子で行けたら幸せですが・・・。

 話は逆上りますが、発病当時、なかなか病名が判らず、 インターネットを見ていますと、私の症状とそっくりなのが強直性脊椎炎でした。
 これかなと、その病状や対処の仕方などの説明を読んでいる中で、 「痛み止めを飲んででも身体を動かした方が良い」という一文を読んだ時、 ピンと来るものがありました。

 自分でも動かさないととんどん動きにくくなっていくような 気がしていたものですから、すぐに水中ウォーキングを始めました。
 週4〜5日、身体が冷えるので良くないと言う友人やドクターもいましたが、 自分の身体に聞きながら、自分なりのペースを作って行きました。

 「サウナで良く温まる・ストレッチ(5〜10分)・ 水中ウォーキング(30分)・湯船につかり温まる(5分)・シャワー」

 水中では動きが楽にできるので良いリハビリになったと思います。
 もちろん、今も続けていますし、 これからも私には必要なことだと思っています。
 実は、水(プール)は、とても苦手というより大嫌いした。
 今もあまり好きではないのですが、背に腹は換えられません。

 人は何かマイナスのものを抱えると、 これを何とかプラスの方向に持って行きたいと思うのでしょう。
 三日坊主の飽き性と言われていた自分が、 こんなに前向きで忍耐強いとは知りませんでした。 この病気が、今まで眠っていたエネルギーを呼びさましてくれたのかも・・・。

 最後に、AS友の会に御礼を言いたいです。
 友の会からどれほど多くの情報を頂いたか、 また「らくちん」の手記にどれほど励まされたことか。

 本当に有り難うございました。

2004年7月記


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