初めての香港


NAOMI


 手術後の足の具合もだいぶ良いので、返還後85日めの香港を訪れてみた。 有名な「民家の上すれすれに降りる」飛行機でカイタック空港に到着。 しかしこの名物も、今年4月には新空港建設でなくなるという。少し 寂しい気もするが理解できる。なにしろ危なすぎる。ハワイでは、杖を ついていると入国審査を優先的に受けられたが、ここではそんなことも なくみんな一緒に並ぶ(まぁ、旅行できるくらい元気なのだから優先して もらうこともないけれど、たしかに立っているのはちょっとつらい)。
 「足が悪い」ことを知ると、交通会社や旅行代理店は車イスを用意しよう としてくれるが、片足しか手術していない私は車イスに乗れないのだ。 障害の具合は千差万別。何でもかんでも車イスに乗っければいいという ものではない。それにときどき遭遇するシチュエーション、係の人は私 ではなく横にいる主人にしか尋ねない。「お手伝いしましょうか?」、 気持ちはありがたいが、私は耳も聞こえるし、受け答えもできる。ただ 杖で歩いているだけだ(怒)。

 今回のお目当ては、憧れのペニンシュラホテル。日本のパックツアー でここに泊まれることはめずらしい(ガイド談)。ガイドさんによる ツアー説明もロビーでは禁止され、名門ホテルの香りを漂わせていた。 一歩中に入れば、クラシックの生演奏が流れる中、これもまた有名な ケーキやスコーンの三段重ねでアフタヌーンティー。すぐ前の繁華街 ネイザン・ロードの喧騒とはかけ離れたゆったりとした時間が流れる。

 香港は静と動、暗と明、そしてイギリスと中国が同居する町。 これでもかと光るネオン看板の洪水の下で、「ニセモノ、トケイアルヨ」 と客引きのお兄ちゃんが暗い路地からから声をかけてくる。有名ブランド 店のすぐ隣で、ダンボール箱に乱雑に入れられたTシャツが並べられて いる。香港らしいものにもお目にかかれる。この地は住宅事情の悪さと 地震が来ないという理由で、建築物は無造作に高い。そのアパートの壁に ささった洗濯物。まるで万国旗のように。しかも下に落ちたら最後、 「香港人は、人のモノは自分のモノ、自分のモノは自分のモノ」らしい (香港人ガイド談)。

 香港はブランド品と外国製品が安く手に入る。高級ブティックは ショーウィドウからながめるだけとし、30〜60%安い化粧品店を はしごした。各店により割引率が微妙にちがうため、より安く手に 入れるためには歩き回ることが必要。しかし、これは主人には不評 だった。香港に夫婦で来る場合は、ご主人が奥様のお共を覚悟して 来るか、奥様がショッピングをあきらめるか、事前に取り決めること をお勧めする。

 クタクタになって部屋に帰ると、ウェルカムフルーツと中国茶が 用意されていた。そこで暮らせそうなくらい広いTVまでついた バスルームでくつろぐと、限りなく贅沢なひとときを実感できた。


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