2006年9月2日(土)
 


△▼9/2のゼミ▼△


本 日のテーマ

コンクール入選作の検討

出席者: 男 3   女 3


 早くも9月になった。残暑もきょうは、大分おさまって爽やかな風である。
 さあ、執筆の秋、といいたいのだが、8月締切のコンクール疲れか作品の提出がなかった。
 そこでコンクール入選作を検討してみようということにした。いったいどういう作品が入選するのか、それからどんなことを学べばいいのか。
 一番最近に発表になったテレビ朝日の今年の入選作を読みあうことにした。



○第6回「テレビ朝日21世紀新人シナリオ大賞」受賞作
(「ドラマ」06.8月号掲載)
 「彼女との正しい遊び方」(朝倉寛)

 10歳のときに「姫と家来」になるゲームをする。学校では二人の関係は内緒にして、それが誰かにばれるまで続けるという約束である。それが18歳になっ た今も続いている男女高校生の話である。
 主人公の優奈は人気者である。みんなが狙っている。だれも恭史と仲がいいとは知らない。まして主従の約束をしていることなど。日々、高校生らしいときが 過ぎる。
 優奈、は大学生とのデイトを見せ付けたり、東京の大学に行くように命じたり、姫らしく振舞って恭史の気持ちを乱そうとするが、恭史は感情をあらわにする ことなく、淡々と家来としての振る舞いをするだけである。
 だが二人の関係にもついに破綻が来る。同級生に知られたのだ。恭史はそのことを優奈に告げ、ゲームを終わらせようとする。しかし、優奈は姫ではなく普通 の女の子としてゲームを続行するようせまる。恭史は答えを出さない。
 それから五ヵ月後、二人は再会する。東京に進学した優奈と浪人して地元に残った恭史。
 今度は恭史が殿、優奈が家来となってゲームを続ける…。
 一風変わった話である。リアリスムとは縁遠いつくりだ。
 おおむね、読むのがつらい、読みにくいという感想が多かった。ムカムカした、イライラしたという厳しい感想も多かった。
 「面白かった、共感したと」いったのはMくんだけである。
 しかし、せっかく取り上げたのだから、なぜこれが一番になったのかという秘密を明らかにしなければ意味がない。
 「人間関係がすべて寸止め」だと喝破したのはYさん。
 「相手に踏み込むことなく、きれいごとが綴られている」
 だが、Mくんは反論する。
 「人間を薄っぺらにすることを面白がっている。それに大いに共感する」
 Kくんは対照的だ。
 「シンプルすぎて人間の複雑な想いが描かれていない。作者の想いが感じられない。作者が想いをぶつけないのはフェアではない」
 再び、Mくん。
 「クライマックスがいい。ずっと仮面をかぶっているのがばれて(優奈が)爆発するところにひかれた」
 ほかにも、
 「主人公の心の動きがつかめない」
 「年齢設定が違うのではないか。もっと幼いほうがいいのでは」
 というのも、多くの共感を得た意見だ。
 「この作品を一番にした審査員は、何を考えているのか」という審査員批判も強かった。
 そこで忠太郎師のいわく、
 「漂っているままに漂った人間を救い上げるのは、いかにもテレビ・ドラマ的か。設定した世界で一応の起伏はあるるが、それはたいしたものではない。サザ ナミはあるが大波はない」
 サザナミドラマ!
 言いえて妙である。
 かくして、一件落着。
 だが、われわれが目指すものは、果たして「サザナミドラマ」でいいのだろうか?




 アフターゼミは、「天狗」に直行。ちょうどオープン時とあって、今回も従業員の気合入れ例会が行なわれていた。九月になったせいだろうか、いつもより気 合が入っているようだった。こっちも、なかなか書かないで漂っている「居抜き」のKさんに気合を入れるべく、こんこんと話す。Mくんは城戸賞に応募したの で胸のうちもスッキリしたようで、何となく余裕が感じられた。湯布院映画祭に参加してきたYさんも着実に歩を進めているようだ。千葉のKくん八王子のKく んも元の調子を取り戻しつつあるように見える。
 と、突然、「ケツバット」のKくんが顔を出した。予告もなくいきなり現われるのがいかにもKくんらしい。なにやら新しいドラマの方向が見えてきたよう で、近いうちに復帰するという頼もしいセリフが聞かれた。大いに期待しよう。







次回は、2006年9月16日(土)です。


東京芸術劇場5F/NO4会議室
時間は、18:00〜21:00
開始は夜です。時間を間違えないように。

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