2006年6月17日(土)
 


△▼6/17のゼミ▼△


本 日の作品

脚色講座(2)

出席者: 女 2   男 1


 梅雨のさかりで、毎日不安定な天気が続く。
 今日も曇で、降るのか降らぬのかはっきりしてほしいと思っていたら、夜になって降り出した。ゼミの前後は降らなかったのは幸いだった。
 さて、時次郎師は仕事で不在。作品の提出もなかったので、脚色講座の第2回とあいなった。



課題作品 青柳友子「椿の島の女」

 この小説を取り上げたのは、決して優れた作品だからというわけではない。松本清張に比べれば、おそらく文学的価値は相当劣るだろう。だが今回は、実践講 座として、実際に映像化されたものを検討することにした。最初にどうするか意見を言い合って、その後に事例としてビデオを見ようという趣向である。
 ともかく原作を読むことからはじめた。
 読み終わって、問題提起をする。

 原作はこういうものである。
 失恋してセンチメンタルジャーニーに出て大島航路に乗った若い女が、船の中で同じ年頃の女に会い、自殺を思いとどまる。
 ところが、何と自分を助けてくれた女が自殺してしまった。
 一年後、再び大島に行った女は、かつて助けてくれた女とそっくりな女に出会う。女は否定するが、紛れもなく同じ人間だった。
 彼女は、ヤクザに追われて男と一緒に逃げおおせるために偽装自殺をしたのだった…。

 この短い小説からどんなドラマを紡ぎだすのか? 
 脚色のポイントとしては、
 (1)主人公はどちらか? 助けられた女か。助けた女か。
 (2)偽装自殺した女にはどんなドラマがあるか。
    偽装自殺の理由は? その後の暮らしは?
 (1)に関しては、全員が「助けた女」が主人公だといった。それはそうだろう。彼女は「偽装自殺」というドラマティックな人生を背負っているのだから。
 問題は(2)である。
 前回も問題になっていたが、ドラマは常に「現在」の人間関係が中心でなければならない。とすると、「再会」がどんなドラマを生み出すのか?
 そのためには、原作にある人物だけで十分かどうかも考えなければならない。主人公の現在を描くのにどんな人物が必要か。
 さて、そこで問題になるのは、「偽装自殺」である。
 「偽装自殺」が彼女にもたらすものは何かを考えることが、何より大事だろう。
 これは、Cさんの着眼点がなかなかよかった。つまり彼女には「戸籍がない」ということ。それによっておきるさまざまな障害がドラマなるはずだ。
 最後に、椿の島=伊豆大島が、プロデューサーの注文で「沖縄」になった。
 このことによって、ドラマの質も大きく変わる。
 以上のような要素を踏まえてあれこれ話し合った。
 そのあとで、事例研究としてビデオを見た。
 竹山洋脚本「沖縄恋唄・マングローブの島の女」(監督・仲倉重郎。92年旅情サスペンス・シリーズ)
 これは、あくまで一つの事例であって、正解というものではない。各人が発想したものと現実化されたものとを比較検討をすることによって、脚色ということ がどんな風に展開されるのか具体的に考えられたと思う。
 この作品のミソは、島に逃げた男と女のその後がちゃんと話の軸になっていたことである。
 正味45分という短さなので、かなり荒っぽい展開にならざるをえなかったが、必要な要素(面白さも含めて)はきちんと組み込まれていた。
 その最大の要素は、沖縄らしさ(沖縄舞踊、ゴーヤジュース、マングローブ等)を十分に出していたことだ。
 舞台となるべき場所がちがうと、こうも違うのかと思わされる。 さすがは竹山洋脚本というべきだろう。




 アフターは、久しぶりに5Fの喫茶店。
 YKさんが仕事をはしょって駆けつけたので、とたんに陽気になった。
 驚いたことに、アシモフを含めて5人のうち、4人までもがB型であった。たったひとりO型のRKさんは、そんなにたくさんのB型の面倒なんかみられない よと、憤然となったのであった。
 その勢いで、次回は「火の記憶」のストーリーを書いてくることを約束した。楽しみである。
 なお、今朝になって、シナリオが2本送られてきた。FくんとJさん。とくにJさんは、子育てに忙しいのにと、感激した。しっかりやってください。意見・ 感想は近いうちに送ります。
 Fくんの努力もさすがと思う。いろいろ頑張っていきましょう。







次回は、2006年7月1日(土)
作品、待っています。


東京芸術劇場5F/NO4会議室
時間は、いつもの ように、13:30〜17:00

教室が変わる場合があるので、入り口のボードで確認してください。


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それもご覧ください。

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