2006年5月20日(土)
△▼5/20のゼミ▼△
本 日の作品
長編シナリオ 1
出席者: 男 2 女 2
早くも台風1号が発生したという。だが日本に迫る前に消滅してしまった。
それでもフェーン現象はあるのだろうか、朝からいいお天気で気温も上昇して、すっかり夏模様。池袋の街は半そで姿が多かった。さわやかな風、といいた かったが、どうやら北風らしくひんやりした風だった。
今日は教室の都合で、夜のゼミとなった。変則のせいか、出席はよくない。五月病なんてことではないのだろうが…。
久しぶりの出席でいきなり長編シナリオだ。この間の「テレビ朝日」シナリオ大賞に応募したが、残念ながら2次で散ったというものである。いったいどこが どうよくなかったのか、ここは歯に衣着せずに検討しようということで、ゼミが始まった。
1.藤原作品「優しさが心を染めて…」(シナリオ)
事情は分からないがメガネをかけた少女が必死になって走っているシーンから始まる。どうやら誰かに追いかけられているらしい。それも、警官に。
塀を乗り越えて逃げ込んだところが写真家の家。どうやら有名人らしくリビングにはトロフィーやら賞状がいっぱい並んでいる。いい年をして子供みたいな口 をきく。オタクのような男だ。その彼になついているのが、隣に住む幼稚園児。小生意気な口をきくヤツで、メガネフェチときているから、どうしようもない。 で、メガネ少女に51点なんて点数をつける。
少女には、どうやら、父親殺しの疑いがかかっているらしい。そんなことが徐々にわかってくるが、追いかけている警官がドジで捕まらない。
そんなこんなのがドタバタ模様で展開するが、しかし、とくにドラマが深まっていくわけでもない。あえて深まるのを避けているのか、そのことを時次郎師は 評価する。
感情の持続性と連続性を面白がっているのが分かる。普通のドラマのように「喜怒哀楽」から導き出されるセリフがない。そういうところがいいのだ、俺なら 2次は通すと、師は大分肩入れをした。だが3次は通らないな、とそこはベテランの鋭い眼だ。
テンポを出そうとしているくせに、無用なサイレント・アップ(つまり「…」というやつ)が多い。そういうのは監督に任せることで、コンテの問題だ。しか し、作者は自主映画を創っているせいもあって、撮りたいというコンテがそこに書かれている。それはテンポを落とすことにしかならない。脚本としては、もっ とそぎ落とした表現がのぞまれる。
少女の結末は、あっさりと自首して終わる。あっさりじゃない、と作者はいうだろうが、ドラマが深くないので、「え、どうして?」とはぐらかされた感じが する。また、父殺しの理由も、DV(ドメスティック・バイオレンス)だというのだが、それほど説得力はない。
重いドラマを軽快に展開しようという意欲は買えるが、それにはちょっと練り方が足りないようだ。
☆
作者は、自主制作をするため、デジタル・シネマの学校に通い始めたという。フィルムとどう違うのか、ゼミの前にひとしきり話が弾んだ。よく聞く話題だ が、実際に表現者にとってはフィルムとどういう違いがあるのかよく分からない。しかし、世の中、日進月歩で進んでいるんだなあということだけは、とくと感 じさせられた。
アフターゼミは、いつもの「天狗」。
土曜の夜とあってお店はにぎやかだったが、こちらは少人数。いつも以上にこじんまりと、話が割れることなく弾んだ。広島出身のKさんが瀬戸内海にはいな いといって注文した「金目鯛」の煮付けが美味しかった。
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