1.岡作品「笑いの芽〜いつか花咲くその日まで」U
(ストーリー)
一月にやったばかりなのに早くも第2稿だ。作者の意気込みがうかがわれる。今日はこの作品一本だったので、時間をかけてじっくり検討した。
コンビを結成して10年になるのにいっこうに売れないコンビの物語である。
前回のゼミで、せっかくのコンビなのに二人にふりかかるものがないという声が多かったので、そのあたりを考えた新しいストーリーである。だが、総体的に
シャープでなくなったようだ。いろいろと新しくしすぎてしまったからだろうか。例えば、独身の二人だったのに、イケメンの方が妻子持ちになってしまった。
しょっているものが大きいほうがいいと考えたようだが、せっかくの妻子の存在が彼の人生にどう影響を与えているのかが描かれてはいない。
もう一人の方はどうかと言うと、リチギで几帳面で正直者という以外に、取り立てて言うほどのものはない。
二人にふりかかるものとしてヤクザがらみのトラブルがメインのドラマになっているが、これについても評判はよくなかった。作者得意の登場人物ではある
が、安易な発想ではないか。いくら大阪のコテコテでも、漫才コンビの若者の話にはふさわしくない。芸人志望の若者たちの人間模様であるべきではないか。
前稿で、母親とのからみが甘いのではないかという意見をいったのだが、それがききすぎたのか、ははおやぞうその話は消えてしまった。
しっかりと母親像を考えれば、密度のある話になりそうだっただけに、惜しい気がする。
「芝居所というと古臭いいいかたになるが、人間関係のカナメのシーンが三つは必要だ」という時次郎師の言葉をよくかみしめてほしい。
コンビの話ではあるが、マネージャーを女性にして、かのじょとコンビの三人の話という創り方もあるのではないだろうか。
いずれにせよ、主人公は「漫才コンビ」だという根幹を忘れないでほしい。
うまくまとめようという意識が勝ちすぎると、よくある話になってしまう。もっともっともがいてはしい。そうすれば、主人公のあがきが作者のあがきと重な
り合って訴えてくるものがあるはずだと思う。まさに、「いつか花咲くその日まで」である。
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