2006年2月4日(土)
 


△▼2/4のゼミ▼△


本 日の作品

長編シナリオ     1
出席者: 男 4   女 4




1.内野シナリオ「からすの子守唄」(第2稿)

 力作である。400字換算139枚。今日はこれ1本。時間をかけてじっくり読んだ。
 これが第2稿になっているのは、最初は12月に提出されたのに作者の都合でゼミに来られなかったので、ぼくと忠太郎師で意見を言い、その意見をもとに書 き直したからである。
 果たして、第1稿よりはずっとよくなった。余分なわき筋が削りとられて、母と子の物語という中心がしっかりしてきた。もちろん、まだまだ削られなければ ならないものは多いが、「シナリオに即した腕力がついてきた」という忠太郎師の言葉は、開闢以来のほめ言葉だ。作者よ、泣いて喜べ!
 まずは、みんなで感想をいいあうことから始めた。
 時間をかけて読んだせいかとてもいい意見が多かった。
 なぜ最愛の息子を殺したのか、母親の心の闇を解き明かすこと。それを刑事が解明するという風ではないのが新鮮だ、という意見が代表的であった。
 だから、新たに登場した「夏目」という元刑事の役割が問題になった。彼の提供した資料が解明に役立つという風ではない方がいいのではないかという意見が 強かった。これは、いうなれば作者の中の迷いであろう。人物設定としては面白いし膨らみになりうるのだから、もっとよく考えたい。
 主人公の亭主のつくりにも意見があった。最初から嫌な旦那であっていいかどうか。そうではない方が、何でこうなるの、というやるせなさがでるのではない かという。大いに頷けるが、少々難しい注文ではある。
 息子と恋人と母親の関係が、実は一番問題になった。二人が同じ布団に寝ることをこの母親は許すだろうか。いや、恋人がそうするだろうか。これは今の若者 だからとかいうことではない。この三人は、いったいどういう感情の輪の中にいるのか、ということだと思う。これはじっくり考える必要があろう。
 また、劇的にしようという意識がまだまだ強すぎるようだ。だから作為が目立って、その分、説得力を欠くシーンが多い。
 もうひとつは、自分の体験や思いに対する思い込みが強すぎるのではないか。「事実」と「真実」、「体験」と「虚構」の関係についてよく考えようという忠 太郎師のいうように、虚構(フィクション)のもつリアリティということを考えたい。真実は虚実皮膜にありと昔の人は言っている。
 ラストシーンをどうするかとか、ほかにも考えなければならないことはまだたくさんあるが、まずはいい方向に行っているといえるだろう。それに、過去に 遡っていくという、時間軸を逆にするという構成も成功しているといえる。
 ところで、実は忠太郎師とアシモフの意見が久しぶりに違うことが多かった。仕掛けのあるドラマではないせいか、その評価に体質的な好みが色濃くでるのか もしれない。作者にとってはどっちが説得的なのかよくからない。自分の作風を作り上げていくしかないだろう。
 最後に、ねじまき鳥くんがいった感想・意見は、とてもユニークなものだったことを言っておこう。それは、この作品への注文という種類のものではなく、内 野シナリオに触発されて生まれた「新しい母と子のドラマ」だ。だから、新しく「ねじまき鳥作品」として創るのが思う。いうなれば、内野作品へのアンサー・ ドラマである。そうやって新しいドラマが生まれるのは、ゼミとしてもうれしいことだ。ねじまき鳥くん、期待しているよ。




 さて、アフターは、いきなり「天狗」に向かった。忠太郎師が喫茶店を省いて直行しようといったからである。アシモフは、まだ長居はよくないので、1時間 と決めて参加した。Uさんは、力作のゼミが終わって、とっても充足しているようでよかった。
 ぼくはちょうど1時間で先に帰ったので(うらしまさんの立行司のような「時間です」という厳しい声のおかげだけど)、その後のことは分からない。きっ と、ことし一番のいいお酒になったことだろうと思う。






次回の定期ゼミは、2006年2月18日(土)です。


東京芸術劇場5F/NO4会議室
時間は、いつものように、13:30〜17:00

教室が変わる場合があるので、入り口のボードで確認してください。


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