2006年1月21日(土)
 


△▼1/21のゼミ▼△


本 日の作品

ショートシナリオ   1
ストーリー      1
出席者: 男 8   女 2


 朝から雪が降った日、半年ぶりのアシモフは、大きな花束で迎えられた。思いがけない心遣いに大感激。忠太郎師にも、長い間一人でご苦労様と花束が用意さ れていた。心憎い演出であった。
 その感激のさめやらぬうちに、ゼミが始まった。
 今日の作品は、12月に入会したばかりの新人S君のショートシナリオと、関西弁を駆使して独自性を発揮しているO君の新作だ。
 佳境には入ったころ、なんと元事務長夫妻が、これまた素敵な花束を持って現われた。
 アシモフには、寒い大雪の日なのに、とってもあったかいゼミであった。



1 須藤作品「てるてる坊主」(ショートシナリオ)

 雨がザンザン降っている。明日は長男太郎の遠足。だが予報は雨だ。そこで「てるてる坊主」を作ろう、となるのだが、主人公は長男ではない。両親、つまり 夫婦である。それにこまっしゃくれた長女智美がスパイスとなって展開するホームドラマである。  
 秀吉という名前に負けてうだつの上がらぬ夫、そんな夫がじれったくて仕方のないしっかり者の妻節子、素直な長男、こまっしゃくれの長女。人物の配置も キャラクタライズもなかなかいい。
 秀吉は、息子太郎のために「てるてる坊主」を作ってやろうと思う。実は、秀吉には「てるてる坊主」に思い出があった。10年前の雨の日、てるてる坊主に 願いをかけたのだ。そのかいあって妻と一緒になれた。そんなことを思い出させてくれたのは、長女智美が見つけた古いアルバムだった…。
 「雨」という課題で書かれたショートシナリオだが、新人が初めて書いたとは思えないほどよく出来ている。作者の優しさが心地よい作品にしている。まずは 「合格点」と忠太郎師の太鼓判。だが、肝心の節子の描き方には少々疑問が残る。気の強さを強調するあまり、繊細さに欠ける女になっている。秀吉の繊細さは いいのだが。
 最後に、忠太郎師から、大事な小道具(アイテム)である「アルバム」の使い方が厳しく批判された。
 実作者なら絶対にやってはいけない禁忌を犯しているという。それは何かという師のナゾかけにFくんがすばやく反応した。さすが、自主映画の作家だとほめ られる。
 その禁忌というのは、長女が両親の古いアルバムをみつけるのだが、それがなんの必然性もなく作者のご都合で使われていることである。
 こういううことは応々にしてあるのだが、それにすぐに気付いた。Fくんの眼はさすがである。 
 ともかく、第1作は好評だった。そこでもう一度ショートシナリオに挑戦して、次の段階に進んで行くことになった。次回の課題は「坂道」である。期待しよ う。


2.岡作品「笑いの芽〜いつか花咲くその日まで」(ストーリー)

 コンビを結成して10年になる漫才師・健太と安男は、30歳になったのになかなか売れない。そこで「漫才コンクール・M―1グランプリ」に最後をかけ る。決勝に残れれば未来が開ける。だめなら足を洗おう。久しぶりに一生懸命になる二人。果たして二人の未来は…。
 大阪弁を駆使した世界は独特の妙味があって、それだけで心地よい。長篇シナリオを2本も完成させたあとなので、文章の腕は格段に上がっている。とても読 みやすい。
 だが、である。少々新味に欠ける。
 なぜだろう?
 二人を取り巻く人間は、美人局をするヤクザであり、結婚を迫る30女であり、想定外の美人であり、大事なときに交通事故にあった母親である。
 役者は揃っているように見える。そして、それらの人物がもたらすいろいろな「障害」もたっぷり用意されている。よく考えられているのに、である。
 それは、「二人」の話なのに「二人」のにふりかかる「障害」がないからではないか。
 健太と安男のそれぞれにそれぞれの問題はあるのに、二人で何とかしなければならないものではないということが問題だと思う。そのせいで、ドラマが飛躍し ないのではないか。
 描かれるべきは、「関係」なのだから、相手に踏み込むことが必要だというCくんの意見は重要だ。
 また、本職の漫才コンビでやれるのかどうか。漫才の部分と役者の部分が両方うまくやれるものかどうかという問題がある。忠太郎師は否定的だったが、作者 は漫才師でやるつもりだという。漫才のシーンの描き方によると思うが、シナリオの構成にもかかわることなので、しっかり考えねばなるまい。
 これまでの2作とは違って斜めに構えたところのないストレートな物語だけに、作者への期待は大きい。題材はいいのだから、もう一度練り直してほしい。




 雪がいっそう激しくなってきたようなので、時間を30分早く終わりにしてもらったのだが、喫茶店は2Fも5Fも満員で席がとれず、かといって雪の中を外 に行くのはアシモフにはちょっと辛いので、アフターなしでお先に失礼した。
 その後の模様は、「喫茶アシモフ」に書き込まれているので、そちらをご覧あれ。
 それにしても、Kくんがわざわざ仕事を抜けてお祝いの花とともにきてくれたと知って、感激した。会えなくてK君には申し訳なかった。あったかくなった ら、ゆっくりアフターをやってもらうつもりなので、そのときには、ぜひ。







次回の定期ゼミは、2006年2月4(土)です。


東京芸術劇場5F/NO4会議室
時間は、いつものように、13:30〜17:00

教室が変わる場合があるので、入り口のボードで確認してください。


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上記作品のディスカッションはこちらで!!
ゼミで話し足りなかったことや後から思いついたこと
また、改めて作者に聞きたいことなどがありましたら
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今までにみんなの書いたシナリオのリス トを整理してありますので、
それもご覧ください。

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