2005年10月15日(土)
△▼10/15のゼミ▼△
本 日の作品
シナリオ 1
出席者: 女 4 男 3
さあ、ゼミ報告をやるか、とメールをあけたら、欠席の人がみんな「藤原君、おめでとう」といっている。え?なんのこっちゃ?
さっきまで一緒にいたのに何にも聞いてないぞ。どうやらなんかで賞を貰ったようだ。
僕も観たが、「パンダのふりかけ}は、硬質な映像詩だった。
それにしても、みんなどうしてそれを知っている?なんかそういうニュースを伝える「情報インターネット」があるのかなあ。それとも新聞に出ていたのかし ら?
まあ、実態は分からないが、ぼくもとりあえず「おめでとう」だ。アフターで目の前にいたのに、うン、奥ゆかしいぞ。
ことの次第を、藤原君、ここに書き込んでください。
以下、話の紹介というより、いつもの忠太郎のスタイルでかなりひきつけたアレンジをしています。
1 貫目シナリオ「太郎さんからの便り」
作者は長編は初めてで、シナリオ表現に慣れないところやどこをどう突っ込むか、膨らませるかというカンドコロについて、書きながら途方にくれた、という 様子が垣間見え、ゼミに入った頃の勇ましさがやや「しおらしげ」に変わったこともあって、皆さんの、建設的な意見の後僕はまくし立てた。なぜなら「材料」 はとてもいいのです。「家庭」を考えたかった、と作者はいう。それはいい。「幸せな家庭」なんかは、それが壊れてからじゃないと「幸せ」のありようは分か りはしないというのが僕の考えだが、そこも押さえた設定になっている。
世の中をとうり一遍にしか見ない刑事の父親、そんな親にどこかなじめない多感な10歳の少女。そして、こそ泥で生計を立てる還暦すぎの自由人・太郎さ ん。
この3人がどんなドラマを演じるか?実はずいぶん前に家庭を捨てた太郎は、刑事の実の父親にあたり、ひいてはケイという少女の祖父だった。k君をはじめ 聞くところではアシモフさんも、ストーリーの方がいいという意見で(何せ1稿はがらっと変わってしまったんで)、難しいのだが、「血のつながり」は話を引 き締めるという忠太郎の同調者も現われ、この際基本的には2稿をベースに「カンドコロ」をどう設定するか?という方向に落ち着いた。
「カンドコロ」とは話の「骨」ということだ。
過去のある事情から、家庭を捨てた太郎さんが、よる年波からか故郷の町に戻ってくる。一人で生きるのが寂しくなったのか。そうは言っても、いまさらおめ おめ息子に侘びをいれられるか?そんなプライドの残りかすもある。刑事にすれば恨んでも恨みきれない、あのぐうたら親父、おまけにどこか他の土地で一度お 縄になったことも知っている。迷惑だ、この町でまたお縄になったりしたら自分の立場はどうなる?そう思ってもやはり「父親」だ。刑事の気持ちは揺らぐ。
この二人が再会したら?おまけに、祖父だと知らない少女は太郎になつく。あまつさえ父親への反抗からか、「泥棒の弟子入りしたい」と家出をする。
ドラマは「対立」と「葛藤」だという。その要件は揃っているのだ。
菊池寛の「父帰る」も向田邦子の「冬の運動会」の例えも出た。また、「ケイが最後まで太郎が祖父だと知らないままだったら?」「ケイが父親と太郎の仲を 取り持ったら?」という核心に迫る発想も出た。「手紙はケイあてでなくちゃあ」・・それはそうだ。この題名ならば。2,3ヶ月前のUさんの「からすの子守 唄」につずいて、僕は明確なたて筋をいえなかった。つまり、この話は、いい意味で「因数分解」の性質がある。主要な人物の性格が少し変わっただけで、話が おおきく変わるのだ。たとえば、太郎さんがどんな泥棒かによっても、ケイや息子の刑事との「関係」が変わるように。
それだけ多様な振幅を孕んでいる材料なのだ。作者とは、1稿・2稿をベースにもう一度詳しいストーリーをということで折り合った。材料の「魅力度」にく らいつくことだ。
女性二人は所用で帰ったが、アフターの居酒屋に久しぶりのK君が現われた。仕事が忙しくゼミに復帰できないのだが、1年前に書いた作品をコンクールに出 したいので見てほしいという。勿論預かった。コンクールの季節だ。その詳しいことは不明だが、新作、前作のりフォームなんでもいいからトライする人は、 送ってください。ただし、僕の都合もあるから10日ほどの余裕をみて、締め切り日、規定の枚数、原稿の長さを併記してください。
これまたひさしぶりのNさんがUさんとアシモフさんの見舞いに行った帰りでゼミに現われた。どうやら年末ぐらいの退院らしい。
じゃんじゃんメールでシナリオやストーリーを送って下さい。
なお前回貫目シナリオを受け取った人で、今日欠席の人は感想をここの書き込みに。
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国リハ部屋
きょうはあいにくの雨。台風がまたちぃかづいているという。だが、晴れていると、病室の窓からは、小さく富士山が見える。初冠雪のニュースを聞いたので 晴れる日を待ち望んでいた。先日やっと晴れたが、頂上は白くなかった。遠すぎるのではっきりみえないのだろうか。でも、もうそんな季節になってしまったの かと、思いを新たにした。
あまりにもスローな回復で、忠太郎さんにはすっかり迷惑をかけてしまっている。11月末(年末ではなく)退院を目指して頑張っています。もうしばらく、 一人横綱の朝青龍でよろしくお願いします。
味のあるドラマになってきた。とはいえ、これを評するのは難しい。どうしても最初のインパクトが強く(題名がとても気にいっているし)、放浪の爺さんと 家を捨てた少女という設定での展開に期待していたからだ。だが、前稿(シナリオでは第1稿)から、突然中心が少女ではなくなってしまって、それは、第2稿 でいっそうはっきりしたのだが、その変化になじむのはちょっと厄介だったからだ。
1.貫目作品「太郎さんからの便り」(シナリオ)
ともあれ、ここは、忠太郎師の言うように“2稿をベースに「カンドコロ」をどう設定するか?”というのに賛成だ。(…と。君子豹変す!いや、違う話と思 うべきなのだ))
で、一番の願いは、父親(芳記)の思いの中にケイを入れてほしいということだ。今のままでは、芳記の思いは芳記の中だけにあって観客以外の誰にも伝わっ ていない。わずかに太郎にはわかるらしいのだが、ケイや妻には、芳樹に子供の頃の強い思いがあることは分かっていない。それでは(妻はともかく)ケイの役 割がないのではないか。
例えば、「ケイの夢の中」には、太郎だけでなく父親も出てくるのではないか。三人が一緒になってなのか、ケイをめぐって綱引きするのか…。夢の中が本当 なのか覚めたあとが本当なのか。この際、母親はおいておこう。
で、最後の、「太郎さんからの便り」のあて先はケイでなければなるまい。きっと、マフラーは父親に渡してくれとでも書いてあるのだろうか。でも、ケイに とっては、なんだかややこしくてよく分からない。大人って大変なんだなあというような感慨を抱く。あるいは、大きくなったらあたしも太郎爺さんのように自 由に生きると、太郎を懐かしく思うのだろうか。
いずれにせよ、新たにストーリーを書くというので、期待したい。よほどの手だれでない限り、シナリオの書下ろしというのではステップアップしないのだか ら。
一応、長編をエンドマークが出るまで書いたのだから、ボリュームとか展開の仕方とかが、前よりはつかめていると思うので、あわてずに着実に進めてほし い。
藤原作品「パンダのふりかけ」は、見事な結果を得たそうで、うれしい。しかも多くの賛同者を得たというのはとてもめでたい。ぜひ上映会を、といっても、 ぼくは出られそうにないので、ビデオを見せてほしいな。
休会中の楢崎さんの小説もいよいよ発刊されたそうで、これまたうれしいニュースだ。
これはゼミで書いたシナリオを小説化したもので、大作である。秋の夜長に読むのが楽しみである。
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