2005年9月17日(土)
 


△▼9/17のゼミ▼△


本 日の作品

シナリオ       1
ストーリー      1
出席者: 男 6   女 4


 「居残りアシモフ」に書き込まれたものが、ある程度時間たつと消えてしまうということを忘れていたので、気がついたときはこの世になかった。そこで、こ れ は作者の協力を得た復元版である。
 岡シナリオは、本人が講評をしっかりコピーして持っていたので、時次郎師の書かれたとおりだが、金子ストーリーは、本人の記憶によるものなので、必ずし も 正確とはいえない。だが、本人が記憶力には絶対の自信を持っているので、信じよう。
 このコーナーは、アシモフ・ゼミの足跡でもあるので、これからは、そういうことがないように気をつけたい。



1 岡シナリオ「ナンギな奴」

(時次郎師の講評)
 前作「リチギな奴」で、松ちやん(松田)という魅力的な主人公を作り出した岡君の、大阪コメデイ、第2 作である。
 その、40過ぎても風来坊の松田が、ひよんなことから公園のトイレで2000万円も入った鞄を拾う。小心者で、ジス・イズ庶民の彼はどうしていいか分か らない。エーと、サラリーローンの借金を返して、残りは警察に届けるか。
 僕は、競馬競輪、マージャンのパクサイなし、宝くじも300 円止まりの人間だが、一度だけ幸運に恵まれたことがある。学生時代、5万円入りの財布を拾ったのだ。あの時、どうしてネコパバ出来なかったか?即、警察に 届けたことがずうーっとトラウマになっていた。
 ああ、オレはダメな男だ、この程度の「誠実]がなんになる?
 それ以来、なるべく悪意を持って生きようと頑張ってきたが、いまだに「甘さ」を駆逐できない。
 松ちやんのいいところは、こうした「自意識」を間違ってももたないことだ。
 なのに、作者はイジが悪い。実はこの2000万円は、贋金だったのだ。
 ドラマの一つの方法に、客は全部ネタを分かっているのに、主人公のみがそれを知らずあたふたする「おかしさ」を狙ったものがある。
 「ああ、とうとうやりやがった、馬鹿だねえ全く」とか「でも、愛すべき人間さ。憎めないよ」などと、客の方が半分主人公に共感しながら、半分は「高み」 に立つスタイルだ。
 この作品もその定式なら、僕は買わない。しかし、作者の直感は別の包装紙を用意した。それは、「贋金」に加えて「本金」が登場し、もち、同じ2000万 で、その二つがあっちにいったり、こっちにきたりで、人間達が振り回される(よううになったらいいなあ、というレべルで、まだ萌芽状態なのだが)。つま り、大阪風下町人情モノに、スラプスチックな衣装を着せたというか…。
 難しい材料なんです、これは。それだけに、粘ってほしい。
 「松ちゃんが、しっかりした主人公になってない」という意見がもっとも大事だろう。贋金を作った少年の母親の「ダンサー志望」など面白い発想もあるのだ から、主人公は松田にしても、では次の入物は?というところでお話が止まっているように思える。
 テンポとリズム感はいいのだから、問題は「土台」だ。
 松ちゃんの「ナンギ」ぶりを、どう話に結びつけるか。
 ハチャメチャにまわりから「ナンギ」なヤッチャと思われながら、でも憎めないという人間なら、新しい主人公になると思うのだが。
 「寅さん」は、「困った困った」といわれながら、馴れ合いで何にも迷惑はかけていないのです。


2.金子ストーリー「世直し鯰」

(まずは、時次郎師の講評)
 いわばシラノド・ベルジュラック(ブ男が美女に恋する話)と鼠小僧の合体話という趣き。
 主人公・佐吉は顔のアザのためコンプレックスの塊のような男で江戸市中を荒し回る窃盗団に加わる。そこの頭・一心斎は頭巾で顔を隠したミステリアスな男 で、後でわかるのだが子供の頃の事故で顔に大火傷を負っている。アザの男と火傷の男という対比が面白い。
 地震によって世の終末を見届けたいという一心斎が僕は好きだなあ。一心斎をもっと魅力的な悪役にして欲しい。アザの男と美女という関係がパターンになっ ている。どう作者なりの男と女の話にもっていくか?がポイントだ。

(続いて、アシモフ評)
 うまい!もともとストーリーテラーとしてのうまさはあったがこれは文句のつけようがない。しかしそれではゼミにならないので、一言。
 鯰法師と一心斎の設定が似ている。それと地震の予知ができるのが二人もいるのが気になる。例えば一心斎の予知が十分でないから鯰法師の秘密を手に入れよ うとして佐吉が利用されるのはどうか?
 あと、せっかく時代劇なのだから奉行とか与力が主要な人物として出るといい。シナリオ化には構成からきっちり作って欲しい。そうしないとうまくいかない と思う。



 以上、ゼミの記録としては、一応の形にはなったと思う。
 願わくば、ゼミで取り上げられた人は、講評だけでなく、仲間の意見もしっかりとコピーをとって研究するくらいの姿勢がほしい。PCで読み流しているので は、実力の向上はおぼつかないと思うよ。





次回は、2005年10月1日(土)です。


東京芸術劇場5F/NO4会議室
時間は、いつものように、13:30〜17:00

教室が変わる場合があるので、入り口のボードで確認してください。

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今までにみんなの書いたシナリオのリス トを整理してありますので、
それもご覧ください。

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