2005年8月6日(土)
 


△▼8/6のゼミ▼△


本 日の作品

ストーリー      1
シナリオ       1
出席者: 女 5   男 5


 炎暑の盛りである。ぼくは暑さが好きで、ますます元気になるほうだが、シナリオを書くほうは大変だろう。
 にもかかわらず、課題の作品以外に、小俣作品「男寡(おとこやもめ)のロマンス」(ストーリー)、神山作品「あなたとどこかへ」(ストーリー)、小沼作 品「夜明け前」(シナリオ・400
字x108枚)、近田作品「天使がくれた赤ん坊」(ストーリー
2稿)、野原作品「ホワイト・エンジェル」(ストーリー)を預かることになった。近田さんは久しぶりの出席である。
 ここのところ作品がご無沙汰のK、S君の肩を叩いてウインクしたら両君は頭をかいて頷いた(ここの部分、若干脚色あり)。
 なにはともあれ、作品が多いのは大歓迎である。



1.野原作品「ニートは世界を救う 百億分の1」(ストーリー
  −2稿)

 題名がぼくにはなんかオーバーな気がして、みんなの意見を聞いたら半数の人が「いいと思う」と頷いた。うーん、「電車男」という題名もあるんだから、若 い人の感覚はぼくを追い越しているのかも知れない。
 何回か前のゼミにでた1稿を整理した結果、すっきりしたものになった。美香という人物が2稿では消えた。ヒロインの後輩OLだが、彼女が仕事が出来て自 分より美しいヒロインに憧れて、何かと真似をするうちに「憧れ」が「憎しみ」に変わっていって、とんでもない事件を起こすという流れだった。ぼくは、そこ のところ、つまり「図りがたい女心」に魅力を感じていたが、美香を絡ませると話が前半と後半で二つに割れてしまって、と作者にいわれると、それもそうで 「うーん」と考え込んだ。
 確かにそうだが、「もう一人女性を」という意見もあったから、
ここは生理的なもので、何とかならないかというのが本音である。 ニートにしてストーカーの青年の「成長物語」を、と作者はいう。ストーリーのラストに 「彼は得体の知れない卒業式を迎えた」と名文句がある。いいなあ、と思う。ただし「どんな卒業式だ?」、そこが問題だが。とどめは、オールラストのラブホ テルで男は泥酔して正体なく眠っている。隣の女はこれまで彼を軽蔑して鼻も引っ掛けなかった。でも女は何故か男がいとおしくなって、その鼻をつまむ。女の いつもの癖だ。男はむにゃむにゃと抱きついてくる。女は(もうー忠太郎補足)拒みはしなかった、とある。なかせるねえ。
 「男が一見セレブ風の(こんな言葉初めて使った)ヒロインとどんな関係を結ぶか、そこが大事」「ヒロインは欲深でエゴイスチックな女かしら」「題名と中 身を一致させて」など良い意見が出た。
 「ニュースでいろいろ聞く事件のコラージュ風」というきびしい意見も出たが、装いはどうでも構わない。ヒロイン以外はみんな「無理をしない」人物達だ。 ドジはドジなりに、おたくはオタクなりに、自分を可愛がって生きている。今よりもう少しマシになろうともがいている、誠実といえば誠実なのだ。うわっ面で はなく小手先でもなく、作者の「心」が感じ取れるこういうタッチがぼくは好きです。それは、作中の人物とぼくが会話を交わせそうだから。作品の完成度はそ の次の話だと思う。
 ストーリーの書き方にギクシャクしたところがあったので、もう一度ストーリーを見せてもらい「シナリオ」にゴーということになった。


2.貫目作品「太郎さんからの手紙」(シナリオ・400字x6
  0枚)

 前に提出されたストーリーよりグンと変わった。少女は17歳から10歳に、そして要のホームレスが実は少女の・・・・この先を言うと種明かしになり伏せ るが、ここの工夫は大きい。たんにやさしいホームレスと少女の交流のお話では、「キレイ事」すぎてつらいところだった。作者のお手柄である。
 「実は少女の・・・・」という謎がエンジンとなって話を引っ張っていく。いわば、形を変えたホームドラマなのに、不思議とよくある家族劇風のいやみな押 し付けがましさがない。それは、作者がいささかも 「炉辺の幸せ」を信じず、話を「家族が壊れた」もしくは「家族が壊れかけよう」としているところから 作っているからだ。それがどう修復されるのか、されないのか?
 作者が提出する「イメージ(色、音などへの)」は、これまでややもすると「散文」的な匂いの表現形式だった。それなりに個性的で、鮮烈で、なおかつあえ て言うならば耽美的・官能的なものだったが、今回はそれを意識的に底に沈めたようだ。それでいいと思う。ぼくがいつも言うシナリオの「数学性」が「イメー ジ」先行でバランスを崩しては元も子もないからね。
 一口に言って、このシナリオには磨く前の「良い原石」が散らばっている、というのがぼくの印象だ。少女と太郎、太郎と少女の父親、父親と太郎・・・この 3つの人間関係はうまく描けば描くほど「ある味」を感じさせるだろう。その「深み」が基本的な話の仕組みに用意されていると思う。そして、太郎の人生、少 女の「人が生きる」ことへの目覚め。
 この作品にも多くの意見が出た。「子供のこわさを」「太郎の手紙が裏になってるが、その内容を読んでみたい」「最後、太郎が死んでしまうのはどうか」 「あちこちのところで、はしょりすぎ。だから分かりにくくしている」「太郎がホームレスでなおかつxxxxをしてるのはちょっと?」。
 ぼくも最後の意見には賛成だ。太郎に二つを付与すると、どっちも濁るし、大体ホームレスとxxxxという積極的な、もしくは能動的な仕事(商売)が似合 わない気がする。太郎はホームレスにシンパシーを感じ友達がいる、ということで充分なように思う。
 単純にシナリオ技術としての注文も多く出したが、「原石」ではないけど、「磨き方」によっては光る「材料」なのだ。作者には、じっくり2稿に取り掛かっ てほしい。




 こんなことがあった。コピーをしようと近くのコンビににいったら先客がいて、おばさんがちんたらやってる。別なスーパーにも先客がいた。そんなことが2 度重なり、「待つ」のが大嫌いなぼくはこう考えた。一度仲倉さんとぼくに送ってもらって、おりかえし「コピー、よろしく」というメールがあったら、ゼミ当 日、10部(われわれと本人用除き)をもってきて下さい。実費は当日に。
 今日の課題作品は勿論のこと、配った小俣作品、神山作品にもいろいろ意見を「居残り」に。近田ストーリー、小沼シナリオは次回配ります。
 アフターは居酒屋へ。ばれたのは23時を回っていた。珍しくゼミ参加者の全員が流れた。山室さんが「タッチ」の招待券を皆に配っていた。9・10封切り だ。ぜひ仲間や恋人と連れ立って「タッチ」といこう。
 予告した「臨時ゼミ」は8月10日前後に「回覧メール」で知らせます。





次回の定期ゼミは、2005年9月3日(土)です。


東京芸術劇場5F/NO4会議室
時間は、いつものように、13:30〜17:00

教室が変わる場合があるので、入り口のボードで確認してください。

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また、改めて作者に聞きたいことなどがありましたら
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今までにみんなの書いたシナリオのリス トを整理してありますので、
それもご覧ください。

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