2005年2月26日(土)
 


△▼2/26のゼミ▼△


本 日のテーマ
・自由課題

ストーリー      3


出席者: 男 7   女 4


 11人にアシモフさんと忠太郎を加えてテーブルを囲むアームチェアが満席になった。
 広告宣伝会社の企画会議をやってる感じだ。
 恵比寿時代よりぐっと豊かな雰囲気で、ここを探してくれたJさんのお手柄だ。
 3月がいろいろの事情でゼミは休みになる。その間書いたものは、われわれに送ってほしい。次のゼミでは、芸術劇場横の公園の桜も五分咲きになっているだ ろう。待てよ、あそこに桜はあったっけ?



1.杉山作品「アイスクリーム」(ストーリー)

 ぺラでおよそ100枚近くの大作ストーリーだ。
 ただその分力が入りすぎて細部にこだわったため、肝心の話の核が薄れ弱まったきらいがある。
 作者が某コンクールで最終作になったものは喜劇タッチだったというし、前作の長編は青春ドラマだった。「異常者だけのドラマを」と作者は狙いを明かす。
 ある意味では自分に合った材料、文体を探す旅の一里塚といえないこともない内容だ。
 ヒロインは19歳の少女。彼女にはあるトラウマがあり、育ての親とも言える叔父の命をとるべく、いつも青酸カリを持っている。その効力を確かめるため、 そしてもう一つは生来持っている「男」への憎しみのために行きずりの男たちの命を奪っている。
 昼は普通のOLで、夜は殺人者。おどろおどろしい話だ。
 彼女は痴漢から救ってくれたある中年男に恋心を持つ。だが男はアルコール依存症で心は病みに病んでいる。男には復縁を迫るかっての恋人がいて、この女も ナースでありながらひそかなアル中患者だ。
 一方少女を追う刑事がいる。定年まぢかのこの男は職務に忠実とはいえず「ストーカー」として日を暮らす。いつの間にか少女は刑事の目標になっていた。
 少女が狙っていた養い親は工事現場の事故で脳をやられハクチになった。ここで少女の復讐心は微妙に揺らぐ。
 アル中、ストーカー、白痴、その中心にキラー。まさしく「異常者」には違いないが、彼ら彼女らの人格の全てが「異常」なのではない。ただ一点のみが「壊 れ」「病んで」いるのだ。そこから脱出すべく、あがき、もがく人間像のいとおしさよ。
 ポーランド映画の傑作に「灰とダイアモンド」というのがある。アシモフさんや僕が若いころ取り付かれた名作だ。果たして作者が、腐臭さえする現代の病ん だ・壊れた人間たちの瓦礫の中から取り出そうとする「ダイアモンド」は一体なんなのか?
 「ヒロインが割れたガラスのようにいつもキラキラしてるといい」「養い親と同居させたら」「殺人は最後の一人だけ」「会うべくして会った人間たちの宿命 譚」などと意見が出た。僕も喚起される材料でいいたいことはいろいろあるが、それは後日「居残り」に書き込むとしてここでは「これだけ長いストーリーだ と、シナリオ化するときに膨らまないよ」というアシモフさんの指摘に同感なので、せいぜいぺラ40枚程度に物語を凝縮してみることを薦めたい。そう、ダイ アモンドをみつめて、ね。


2.貫目作品「港にきた魚」(ストーリー2稿)

 作業が前後して作者はすでに、放送劇としてのペラ120枚程度のシナリオ、第2稿として映像ドラマへの改稿(僕はこの作品について意見を送っている)、 そして今日第3稿を渡された。作者のエネルギーは大変なものだ。
 従ってゼミで何回か前に取り上げたストーリーの1稿と大きな違いはない。そのとき指摘されたいろんな点をクリアーしたものだ。
 すでにシナリオがあるので、会員諸氏にはそれをメールで送ってもらうことにした。読後感はそれぞれが作者に、あるいは「居残り」に寄せてくれるだろう。
 作者にとってこれがシナリオの処女作だ。狙いである、女の盛りをやがて過ぎ去ろうとする義母(それにしてはちょっと若いが)と、娘盛りの少女の愛憎劇は どう読まれるだろうか。今日提出のストーリーに対しては、「(少女の恋人を寝取る)義母が面白かったのに」という意見が出た。そこは改稿で消えていた。ま た、「(最後)凛として故郷を離れる、というのはどうも」という意見もあった。また、「淫乱にも一本筋を通して」というのもあった。
 そこで僕は考え込んだ。筋の通った「淫乱」とは?もちろん男好きの女はいるし、その限りでは義母のイメージは生生しいのだが、いまいち、作者のこの女へ の煮詰め方と愛が希薄なのではないか?
 作者の個人メールと「居残り」がにぎわうことを期待しよう。


3.高橋作品「湖畔のカフエ」(ストーリー2稿)

 前回取り上げたものの改定稿だ。
 時間がなくなり、これも「居残り」でみんなの意見を募ることにした。ふとしたいたずらから盲目になった少女と、その原因を作った少年たちが数年後に出会 う。1稿は作者好みの「精霊」たちが活躍するものだったが、大方の意見は「精霊」に否定的だった。忠太郎が思うに、あまりに「便宜的」に、あまりに「情緒 的」にそれが使われたせいだろう。
 今回はきれいさっぱり「精霊」をやめたという。
 果たして、この復讐譚はどうなったか?
 実は僕もまだ読んでいない。ここで先に論評するよりも、みんなと同じ立場で「居残り」に自分の意見をのせようと思う。


 さあ、ゼミの報告はここまで。1ヶ月の空白の「居残り」や「喫茶」が楽しくも、厳しい、そして有益な祝祭日を迎える ことを。




 アフターはいつものサテンで。
 出た話題は、「新婚旅行に下呂温泉は適当か」「Jさんの息子のタケルが幼児から少年になりつつある」「ちりめんのアロハとロレックス」「盆栽人が判明」 「W君の奥さんの友人のバースデイにマフラーがいいか、花がいいか」「食べ物の好みが変わるように、女にとって男の好みが変わる事もある」--僕の周りの み。
 そのアフターは、時期遅れの新年会で居酒屋へ。
 酒を飲む人とダメな人がいて、いつも終わりの勘定で手間取った。ふと思いついて飲み物と食べ物の勘定書きを分けて2枚にした。後者は割り勘だし、前者は 自己申告でお金を出せばいい。幹事のN 君のすばやかったこと。以後この方法がいいよ。
 電車の中で前に整形美人が座った。ブーツも茶髪も網ストッキングもミニスカートも一分のすきもない。メールを打ったあと彼女は化粧道具を取り出してやお ら顔を直し始めた。
 僕は顔をひとなでしたあと「薩摩おごじょ」の酔い身を任せた。電車の中は人間をいろいろ教えてくれる。あとは意識がない。






次回は、2005年4月2日 (土)

3月はお休みです。その間におおいに栄養をつけてください。

東京芸術劇場5F/NO4会議室
時間は、13:30〜17:00

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上記作品のディスカッションはこちらで!!
ゼミで話し足りなかったことや後から思いついたこと
また、改めて作者に聞きたいことなどがありましたら
どんどん書き込んでください!



今までにみんなの書いたシナリオのリス トを整理してありますので、
それもご覧ください。

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