2005年2月12日(土)
 


△▼2/12のゼミ▼△


本 日のテーマ
・自由課題

ストーリー      3


出席者: 男 6   女 5


 ポカポカ陽気だった。この季節、思い出したようにこういう日がやってくる。ゼミでもセーターを脱ぐほどだった。
「早春賦」という歌がある。
 春は名のみの 風の寒さや
 谷の鶯 歌は思えど
 時にあらずと 声も立てず 
というやつだ。
 小学6年の卒業式前だった。音楽の女先生が、お別れにいい歌教えてあげるといって、お気に入りの生徒を集めた。雪国の少年・少女たちは目を潤ませながら 「早春賦」を歌った。僕はその情緒過剰さがいやで座り込んだ。目の前に、粗末なスカートから伸びた白く美しい脚がグランドピアノのぺタルを踏んでいた。性 の目覚めだった、なんちゃって。
 久しぶりのS君、Oさんが来た。忘年会いらいのJさん、N君、事務長も来た。アシモフさんが仕事だったので頑張らなきゃあと喋りまくったら、最後には何 を言ってるのか自分でもわからなくなった。
 



1.野竹作品「シトラスの香り」第2稿(ストーリー)

 アイデアはいいし、出だしも人をつかむのに、なんでいつもしり切れトンボで話が単純なの、と文句を言ってたが、この2稿はぐんと膨らみを備えボリューム が増した。作者は確実に「一つの山」を越えたようだ。
 でも、ストーリーの書き方として細部への気配り・目配りがまだ不充分である。いろいろ指摘してから、「もう一度ストーリーを」といったら、「えー、きつ いわ」と口をとんがらせた。「だめだめ、せっかくここまで来たんだもん、もったいないよ」「でもー」「だめだめ」と僕はダメ一点張りで押し切った。まあ、 そうはいっても作者の目は余裕があったから、きっと、リライトに取り組むだろう。
 話の内容は前と重複するので避けるが、だんなに置いてけぼりにされた妻の動揺だ。今の世の中、夫婦だって、親子だって相手の心は読みきれない。でも自分 なりに生きていかなくてはならないとしたら?実は切ない話である。
 殺された旦那にひそかに思いをかけていた若いOLとヒロインの奥さんの関係が、魅力的になると良いなあ。「怪しく登場する人物は犯人ではない」のがサス ペンスの鉄則という意見は、至言だ。


2.岡作品「ナンギな奴」第2稿(ストーリー)

 大阪コメデイ、松ちゃんモノのリライトである。
 前作で作者はずいぶん苦しんだ。シナリオになってからも5稿までいったと思う。でも、それを踏ん張った。これまで作者の長いものを3本読んでいるが、別 人のような出来上がりだった。「リチギな奴」だ。
 僕はもともと人をくった話が好きで身びいきもあるが、第1稿のみんなに指摘された問題点をよくクリアーした。「もう少し人情モノの味をつけたら」という いい意見もあったが、これならとシナリオへゴーを出した。
 松田真二は、借金を背負ったさえない独身中年男である。なぜか宮沢賢治が好きで、「雨にも負けず、風にも負けず」とつらい仕事も頑張っている。そのまっ ちゃんがひょんなことから公園で大金の入ったバッグを拾った。さあ、リチギでナンギなまっちゃんはどうするか?
大阪タッチの悪がき、バックダンサーを夢見るその母、チャイニーズやくざ、とぼけた街キンの取たてや、けったいな人物がいっぱい出てきて、最後にめでたく 大金を手に入れたまっちゃんが宮沢賢治に「どうしたら良いでしょう」と相談したら、突然、賢治の顔が「宮沢喜一」になり、持ち逃げをそそのかすなんぞは、 大爆笑で。きばってやー。


3.高橋作品「湖畔のカフエ」(ストーリー)

 「これまでに作者が出した作品の中では一番」という意見が出た。確か文章が滑らかでわかりやすく、話を一遍でつかめるようになった。これまた長足の進歩 だ。いたずらガキがつり橋を揺らし、ハイキングに来ていた父娘ずれが谷に転落した。父親は死にかろうじて助かった少女は失明する。
 そして10数年後、美しく成長し祖父とともに湖畔のカフエで働くヒロインのもとに一人の青年が訪れる。この青年、実は水の精霊の王の子供で,昔のつり橋 事故を目撃していて、ヒロインに同情して現世に現れたのだ。このあたりからお話はファンタジックに転調する。水の精霊王ばかりか湖の精霊までが活躍して, あたかもバレイか舞台劇の趣で、誰かが、「白鳥の湖」とか「眠りの森の美女」みたいと言ったら、当たらずとも遠からじだった。
 舞台好きの作者は「オンディ-ヌ」を参考にしたという。劇団四季の演目だ。もちろんバレエや舞台劇に題材を求めるのはいいが、映像ドラマへの転化はよほ ど注意深くかかるべきだ。「精霊出すんなら、もっと精霊勉強しなくちゃあ」という、精霊好きの厳しい意見も出た。精霊もお化けも気持ちの中にない忠太郎 は、精霊学者になるわけではないからと、とりなしたが、このままでは便宜すぎるのも確かだ。
 悪がきがこの湖畔を訪れて、復讐が始まるがやはり大方の意見は精霊なしで話を組み替えた方がということで落ち着いた。妥当なところだ。「浩(王子さま) は、悪がき3人を苦しめ瞳(ヒロイン)にあやまらせるためにやったことが、(それまで憎しみという感情と無縁だった)瞳の心に「憎しみ」を植えつけたこと を後悔するのだった」といういい文句もあるのだから。




 アフターは2階のサテンで。
 シナリオとは関係ないが、あることでお金が入ったS君の時計がロレックスになった(詳しくは本人からどうぞ)。Kさんのペット犬の写真がかわいかった。 Eさんのカーボーイハットが威勢がよかった。
 サテンを出たとこで、Nさんが開放的ないい顔で、みんなに「ねえ、もうちょっと」といった。明日仕事の僕は失礼したが電車の中で、はるか昔、赤ん坊は見 るからゆっくりしてきなよと一度でもいったことがあるかしら,とわが妻に詫びた。





次回は、2005年2月26日 (土)

第4土曜です。お間違えのないように。

東京芸術劇場5F/NO4会議室
時間は、13:30〜17:00

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ゼミで話し足りなかったことや後から思いついたこと
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今までにみんなの書いたシナリオのリス トを整理してありますので、
それもご覧ください。

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