2005年1月29日(土)
△▼1/29のゼミ▼△
本 日のテーマ ・自由課題
ストーリー 2
出席者: 男 4 女 4
今年は花粉が去年の30倍も空中を飛び交っているという。1週間前から鼻がグスグス言うし熱も出たので、ついに花粉症にかかったかと思ったが、熱が下が るとすっきりしてしまった。どうやら単なる風邪だったらしいと、ホッとひと安心。さあ、すっきりした気分でゼミに励もう。
新人の連続登場である。鉄は熱いうちにうて、である。その意欲はなかなか頼もしい。
1.高橋作品「受け継がれた願い」
主人公は薬科大学の学生。彼の好きな女の先生が入院したと聞いて見舞に行く。そこは、母が看護婦長をしている病院であった。次の日、なんと女先生が死ん でしまう。医療ミスが原因らしい。それを知った母は担当医を追及する。だが、なぜかは母は自殺してしまう。大学生は、女先生の死と母の自殺は関連があるの ではないかと探る。その過程で驚くべき事実が分かる。
母は、何と再婚で、前夫との間には娘がいた。それが女先生であった。彼は女先生の父親と一緒になって医療過誤を追及する。そして患者のための医療を行 なう人間になることと誓うのだった…。
作者の意欲は分かるが、とても分かりにくい話である。ドラマにしようとして無理やり複雑な人間関係を作り出していて、そのためにリアリティのないものに なっている。
自分の病棟に入院してきた患者が前夫の娘、つまり実の娘で、しかも、息子の憧れの人だった。その上、母は、なぜか早々に自殺してしまう。はなはだご都合 主義である。
ドラマにしようとして思い付くことをいろいろからませても、ドラマにはならない。奇抜なことは必要ない。医療過誤を主題にした物語をつくりたいのなら、 医療の現場の状況をもっと知ることである。健康で入院もしたことがないというのなら、本を読めばいい。参考になる本がいくらでもあるはずだ。
急がなくていいから、腰を落ち着けて対象に迫ってほしい。頭の中でこねくるだけでなく、調べることは大事である。その過程で、新しい発見があるものなの だから。そして、何より、作者の好きな人間を見つけてほしい。自分の思いを仮託できる人間を。それが、ドラマを創るということであると思う。
この作者もエネルギッシュである。前回に続いての作品提出はうれしい。
2.貫目作品「港にきた魚」
時代は、昭和20年代。舞台は、瀬戸内海の貧しい漁村。主人公は、15歳の少女と17歳の恋人。そして、30代の継母。こう聞いただけで、ブワーッとイ メージが広がる。
だが残念ながら、必ずしも期待にこたえられているとはいえない。
このドラマは、決して少年と少女の愛の物語ではない。実は、女ざかりの継母の情念こそが基なのである。加齢への不安、少女への嫉妬、夫への不満と殺意、年 下の少年への誘惑…。
作者好みの世界で、要素は全部そろっているのだが、登場する人間像が、決して新しくはないのが残念である。特に、少女の像にリアリティが乏しい。例え ば、初体験が普通ではない強烈なものであるのに、それがきちんと描かれているとは思えない。こうであればいいという作者の思いだけが先行していて、少女の 本質に迫っていないと思う。
このドラマの中心は、紛れもなく<性>である。それは、何よりも大きく重いはずだ。
それだけに、大事なところをきちんと描くようにしてほしい。そうすればきっとM君のいうように「切ない話」になるはずである。
最初、ラジオドラマとして考えたものだというが、ラジオドラマのセオリーは映像ドラマとは違うものがあるので、今はその方向に行かないほうがいいと思 う。人間のデッサンをしっかり描けるようになってからの方がいいだろう。
作者の感性には大いに期待がもたれる。ねらいはいいのだから、しっかりと取り組んでほしいと思う。
アフターゼミは、いつもの喫茶店。今日は仕事で来られないはずの忠太郎師がゼミの途中で現われた。仕事の合間を縫って来たという。ゼミにかける師の情熱 に改めて、敬意を。
また、Nさんがアフターに現われたので、女性陣と男性陣に分かれて話が弾んだ。男性陣では、「自殺」についてのかなり高邁な議論があったらしい。
まもなく寒も終わる。春は一番気が移ろい安い季節だが、わがゼミの皆さんは、間違ってもそっちの方向に行かないようにお願いします。
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