2004年12月18日(土)
 


△▼12/18のゼミ▼△


本 日のテーマ
・自由課題

ストーリー      3


出席者: 男 6   女 7


 いよいよ今年最後のゼミ。忘年会を控えているせいか、補助椅子を使わなければならないほどの出席率のよさであった。しかもストーリーが5本も提出され た。なんと全部女性会員の作品だ。残念ながら全部はできないので、二人には次回に回ってもらって、3本に集中。それにしても、女性陣のパワーは、すごい。



1.内野作品「まどろみ」(ストーリー)

 ナルコレプシーという過眠症(嗜眠症)の妻、青年実業家の夫、精神科の女医、温泉旅館の板前。その2組の許されざる愛。そこに夫の母や友人が絡んでくる 入り組んだドラマである。だが、妻が過眠症だというのは目新しいが、展開する人間関係に新味はない。
 妻が眠り病だというアイディアにおぼれてしまったのか。それぞれの関係にリアリティが乏しい。それに、ストーリーに余分なことを書きすぎている。その傾 向は大分なおったと思っていたのだが、またぶり返したようだ。まず主人公である妻の気持ちの変化を書いてゆくべきだという意見があったが、もっともであ る。
 何を言いたいのか分からないという声も強かったが、何を言いたいかよりも、必要なのは、観客に何を伝えたいのかではなかろうか。この二組の不倫関係が何 を生み出すのか。
 ドラマの目的というものを今一度考えてほしい。
 色川武大という作家が嗜眠症で、そのことを書いたエッセイがあると忠太郎師のサジェッションがあった。実際には直らない病だそうだが、参考にぜひ読んで ほしい。


2.野竹作品「シトラスの香り」(ストーリー)

 シトラスとは、柑橘系の香水のことだと教えられたが、それがキーワードとなって展開するサスペンス。妻と夫の愛人が手を組んで夫を殺した男に復讐する話 である。その夫には、人に言えない秘密があった。同じ秘密を共有する男が犯人であることを突き止めるまでが、二転三転、興味をそそる。(…そうであればい いのだが)ちょっと先が割れるのが早すぎるようだ。しかし、男の殺意は「男の嫉妬」、妻の復讐心は「女のプライド」というのは、すっきりしていていい。だ が、クラブのマッチのレッテルがヒントとなって…というのはリアリティがない。あまりにも古すぎる。こういうことはサスペンスドラマでは大切なことなの だ。どういう手がいいかもっと真剣に考えよう。


3.城ノ口作品「モンブラン」(あらすじ)

 これはまた奇抜なアイディアというべきか。元マラソンランナーと、離婚して異常性欲という奇病を患う女とのドラマである。異常性欲という病気が本当にあ るのかと思ったら、作者の思い付きであるという。この二人がいろいろもつれ合った結果、男は盲人マラソンの伴走者になるというお話である。しかもこの話の ヒントになったのは、伴走者を募集しているという新聞記事であったという。だが出来上がったものは、最初の動機とはまるで結びつかないものである。盲人ラ ンナーの伴走者募集というニュースに感動したという作者の感性はとてもいいと思うのだが、そのことに正面から向き合わなかったのは何故なのだろう。もちろ ん新聞記事だけではドラマにはならない。そのためには色々な事柄を調べ考えまとめていく必要がある。だが、作者はどうやらそれをしないで、面白いアイディ アはないかという方向に走ってしまったようだ。
 新聞を読んだときの感動を忘れないで、盲人ランナーと伴走者の二人の人間関係を本気になって考えたら、いくらでもドラマは生まれてくるはずだ。最大の欠 陥は、盲人ランナーにキャラクターが与えられていないことだろう。人生の中途で突然目が見えなくなったランナーが走れるようになるまでには、どれほどの困 難や葛藤があるのか。ましてやかつてのライバルに自分から伴走者に頼むなんてことが簡単に出来るものだろうか。
 伴走する側だけでなくされる側のことも考えれば、二人の間にはいやでも濃密なドラマが生まれるはずである。独りよがりのアイディアにおぼれずに、初心に 戻って考え直してほしい。



 さて、今日の3本には共通するものがあった。それは、いずれも「アイディア」に頼っているということである。もちろんアイディアがなければドラマは紡げ ない。しかし、アイディアは、それを生かす状況がきちんと考えられていないと生きてこない。作者が思いついたアイディアを作者だけが面白がっていても、観 客はついてこない。アイディアの根底に何があるかが大事なんだと思う。それは、われわれが何故ドラマ(シナリオ)を書こうとしているのかということに戻る はずだ。アイディアをどう生かすかではなく、どういう人間を描くかということが基本だと、今年最後にあたって言っておきたい。





 さて、今日は、アフターゼミはなしで、ただちに忘年会場に直行。忘年会にだけ駆けつけた2人をいれて総勢18人。実に壮観だ。みんなそろって乾杯のあ と、東宝映画「タッチ」でデビューが決まった山室さんの喜びの声をきいて、和やかに歓談。飲みかつ食うのひと時。2次会は恒例のカラオケ。ここでも13人 が熱唱につぐ熱唱。久しぶりに顔を見せた足立N君が復帰を約束してくれたのがうれしい。来年のさらなる発展に期待して、散会。
 




次回は、2005年1月15日 (土)

東京芸術劇場5F/NO4会議室
時間は、13:30〜17:00

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