2004年10月16日(土)
 


△▼10/16のゼミ▼△


本 日のテーマ
・自由課題

ストーリー      2
シナリオ       1

出席者: 男 4   女 4


 事務長も入れると久しぶりに女性のほうが多いゼミとなった。朝晩の冷え込みがきつくなった。一足飛びに冬に向かうこの季節は苦手だ。なんだか体の中から 「解放感」が無理やりにもぎ取られていくような気にさせられる。
 インド帰りのK君、イギリス帰りのO君が久しぶりに顔を出した。K君は心なしかやせた感じ。3ヶ月の長旅の後遺症のようだ。何でもシャワーつきのシング ルで1泊日本円で300〜400円、一方イギリスのほうは田舎で4000円(朝飯つき)というから、いずれにしても日本と比べると格安だ。
 二人の話を聞いてたらいろんなこと放り出して、外国へ旅したくなった。



1.小沼作品「青空」(ストーリー)

 AVの仕事をしている30才過ぎの女がいる。映像の仕事に情熱を感じたこともあるが、今では惰性になっている。作者にいわせれば、「とりあえず、仕事を するしかない存在」らしい。
 彼女がいつも行くコンビニに奇妙な男女の店員がいる。16歳の貞男と22歳の美雪だ。どうしたわけかいつも貞男は美雪にねちっこくしかられている。「貞 男は誰でもイライラさせる存在なんです」と、これまた作者。
 さらにヒロインを取り巻く人物に、さわり魔の勤め人のT、公園で暮らす残飯拾いの詩人Hがいる。
 この設定と人物像はこれまでの小沼調だ。ところが今回はちょっぴり香辛料がいつもと違うようだ。「うん、人間に踏み込んできてるね」とアシモフさん。イ ンドで新しい香辛料を仕込んできたか。かの地はその本場だ。僕も同感だ。彼の話はいつも彼独特の匂いがあって好きなのだが、もしお前かいてみろといわれる とうーんと思えたが、このヒロインなら僕にも料理出来るかもしれない。ただ、貞男は難しいなあ、きっと。この辺の微妙な変化が、あちらふう「香辛料」の威 力なのかも。
 しかし、おしりを電車の中でTに触られながら、「なんで私なんかを触るんだろう、触りたければいくらでもどうぞ」とヒロインが思ったり、詩人が実は若い 頃神戸事件を思わせる少女3人殺しの犯人だったり、「頭のネジが緩んでる貞男」なら「よもや自分を振りはすまい」と思ってヒロインがちかづいたりで、それ はそれはかってのタッチも健在なのだ。
 そのタッチにどう説得力を持たせるかがポイントとなろうが、このヒロイン「京子」を木枯らしが吹き、落ち葉が舞い散る、三流の繁華街にさまよわせたら面 白いだろう。


2、岡安作品「君のソナタ」 (ストーリー)

 先日参加したばかりで、初めての作品提出だ。
 健は大学生。やがて就職活動だが、ボランティア活動を採用条件にあげるところも多く、それじゃあと気軽な気持ちで「手話教室アシスタント」に行くことに した。そこで出会ったのが、耳の不自由な美和だった。
 こう紹介すると、よくある難病ものを想像するかもしれないが、ところがどっこい作者の工夫は気が利いている。
 どういうことかというと、実は―。
 あるアイデアがこの作品を個性づけているのであるが、残念ながらそれをここで紹介することはためらわれるのだ。健は「ある会社」に就職し、そこで「ある 目的」のために、「あるもの」を商品開発しようとするのだ。なぜ「ある」なのかというと、今の状況しだいではお金のあるところが、その「ある」物を奪って しまう恐れがあるからだ。
 健と美和は遠距離恋愛となる。健の仕事に協力する年上の女の同僚が現れる。ここからはパターンの流れで、二人が恋仲になる、のが物足りなくはあるが、と いって「恋愛もの」な以上恋仲にならないと話は進展しないし、ほかにいい案があるわけではなく、ここはひとつ、ぼくの紹介をつずけるよりも出席者の意見を 並べたほうが具体的になるかもしれないと思う。
 ―登場人物に、あるきめこみがあるのでは?
 ―遠距離恋愛のもどかしさにもっと浸りたい。
 ―美和は行くよ、絶対に。健の赴任地に。
 ―健と恋人の「後ろめたさ」がもっと出るといい。
 ―こう簡単に結婚していいか。
 ―なんか、喧嘩がありそうだけど。
 ―健が出来すぎて、鼻につくなあ。
 いろいろあるが、さきにもいったように、この作品の肝心の部分が明らかに出来ない以上、こうした細部への注文に終わるしかないのだ。


3、内野作品「浦島にならんと桃太郎になりいよ」
            (シナリオ・400x65)

 すでにここでストーリーは取り上げているので、改めての紹介は避けたい。作者は持ち前のパワーで1、2、3、4稿をつくった。いろいろ錯綜があって、僕 は1と4を読んでいて、3を今日はじめて読んだ。何本も、ひとつの話で微妙に変えられたものを読むと混乱するものだが、ごたぶんにもれずちょっと混乱し た。
 つまり大きくいうと、東京を食い詰めて田舎にぶらりと帰った若者が、田舎で演じるドラマは対家族か、対旧友か、の選択の判断と思える。もちろんどっちか 一方でなくとも両方あっていいが、どっちをメインにするかは決めなければいけないだろう。僕の見るところ数だけで云えば、家族とするもの7割、友人とする もの3割だった。なぜこういう差が出たかというと、ストーリーのときもそうだったが、主人公の母親像が印象深く、一方に傾いたらしい。多数決も民主主義も シナリオとは無縁だから、そのどっちを採るかは作者の判断だ。もう一度3稿を読み直したが、やはりもろもろの友人(関口以外の)は単に今の自分の状況を説 明セリフでしゃべっているに過ぎずジャマだった。あと、関口と主人公の間にどんなお話が組めるか?
 それ次第の結論とするしかないか。帰郷、海辺の街、方言、労働、母の恋人、関口のバンド活動など魅力的な材料がそろっているのだから。
 説教めくが、頼りない主人公だからって、主人公が本当に頼りなくなってしまってはまずいので、読む人が主人公を「頼りない人間」と感じることが必要と思 われます。
 


 アフターは5階のサテンで。
 Tさんが、前回と同じように「リチギ路線」で現れた。頑固だなあ、というと、そうじゃなく強情なんです、といわれた。ハハハ、なんか面白い。
 旅の結論―。
 K君は、「これからは国内に切り替えます」。O君は、「これまで旅なんかに金つかうの無駄だと思ってたけど、いいものでした、イギリスは」。
 




次回は、2004年11月6日 (土)
東京芸術劇場5F/NO4会議室
時間は、13:30〜17:00



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