2004年10月2日(土)
 


△▼10/2のゼミ▼△


本 日のテーマ
・自由課題

ストーリー      1
シナリオ       1

出席者: 男 4   女 4


 韓国が好きで、この夏2度もかの地を訪れたというK君が土産で「レッドペッパーチョコ」なるものを持ってきてくれた。甘さを抑えた複雑な味がした。これ をかじりながらバーボンなんかをやるとたまらんだろうなあ。今は焼酎もっぱらだが、ひところ、まだ粋がりたかった頃は、ウイスキーのつまみはもっぱら粒 チョコだった。
 外国旅行ばやりだ。もう一人のK君はインド・ネパールへの長旅からもどってきたばかりだし、Uさんはグアム、T君は台湾、漏れ聞くところではS君とまた 別のK君は連れ立ってイギリスだとか。
いいなあ、今の人は。
 僕なんか始めて外国に行ったのは、30代半ばで空手映画を撮りに香港行ったのが初体験だった。まだ先の戦争の記憶がうっすらと残っている頃で、仕事中に カリカリするとあちらのスタッフから、「憲兵」と嫌味をいわれたものだが。
 よし、僕もせいぜい頑張ることにしよう。




1.梅田作品「桃花夢幻」(ストーリー)

 忙しい病院勤めのかたわら粘り抜いて、400字でおよそ60枚はあると思われる長大なストーリーをものにした。シナリオでいえば1時間もののボリューム である。
 トップシーンだけのシナリオを眼にしたのはほぼ半年前だから、作者の思い入れの深さが伝わる出来だ。いはゆる普通のストーリーとは趣きが変わるものだ が、 その散文体は乾いたタッチで小説ふうな展開を見せる。
 東京近郊に桃の木の多い小さな町がある。桃子と大介は中学生の恋人同士だ。3年前、桃の花の咲くころ二人は初めてキスをした。(いいなあ、そういうのっ て)。僕のそれはもっと汚いものだった。そこから俺の人生は捻じ曲がったのだ。
 で、桃子はちょっとした事故でしばらく意識不明になり、なぜか数百年の時空を飛び戦国時代にタイムスリップする。おそらく彼女はおなじとしの恋人・大介 が なんとなく物足りなかったのかなあ?この辺は僕の想像を入れての解釈だが、作者よ許せ。
 大体15,6歳という年齢では、女より男のほうがはるかに幼い。坊やは女の裸を夢見るだけなのに、少女は身も心も焦がす「恋」を夢見る。はじめっから男 に 勝ち目はないのだ。
 それが証拠に、桃子は戦国時代の波乱万丈の流れの中で、ドラマチックな「恋」に身をひたす。もち、相手は一国の城持ちの貴公子だ。大介なんか目じゃな い。 名前だって「永清」だから、さしずめ市川雷蔵みたいな男の色気がある人物なんだろう。
 知ってるかい雷様を。眠狂四郎で一世を風靡した大映のスターだ。
 隣国の助平殿様が桃子に懸想して、「女を譲れ、さもなくばお前の国を滅ぼす」と無理難題をもち掛けてきた。相思相愛の永清と桃子はもはやこれまでと城に 火 を放って死んでゆくのだが、ここで桃子の意識が戻った。傍らに付き添う、ジャガイモ兄ちゃんの大介。ああ、なんと現実の無残なことか。それでも桃子は優し い少女である。
 「また、めぐり合えたんだね」と呟いた。
 さて、君ならこの話をどうみるか?
 僕の癖でシニカルにお話をトレースしたが、今の桃子と大介、昔の桃子と永清、この二組の男と女の関係をどのようにブリッジするか。そこが焦点と思われ る。
 アシモフさんのいいアドバイスがあった。このストーリーをいはゆる原作の小説と考えて、次はいはゆる、普通のペラ(200字)30枚ぐらいのストーリー に してみたら、というものだった。
 確かに的確な方向だと思った。なぜなら、思いついたすべて、考え付いたイメージのすべてを書き込んだために、その全力投球ゆえに、かえって話を絞り込め て いず複雑で分かりにくい。
 さらに僕なりのアドバイスは、題名は今でいいとしても、話つくりの視点を、ぐっとくだけて、「桃子の冒険」にしたらということだ。いくら戦国のお話で も、 ヒロインが「桃花夢幻」という一見美的ふうなイメージに包み込まれて,の「お雛様」ではまずかろう。


2、岡作品「リチギな風」400x65枚・シナリオ

 ストーリーはこの欄で数回前に取り上げたことがある。さえない独身中年男のもとに14歳の少女が転がり込んでくる話だ。14歳は子供か大人か?なにもそ んなことで普通は悩まない。何せ少女にはちょっぴり不良性があり、おまけに「おっちゃん」なんて甘い声で近寄ってくる。誰に遠慮がいるものか、と思うのは 普通の人です。この主人公、ちょっぴり変わっててどうもこれまで融通のきく人生を送ってこなかった。
 生来、リチギというか堅苦しいというか、若い頃には結構ワルで、引ったくりなんかもやったのだが、お金はいただいても、そのハンドバックを相手に送り返 さなければ気がすまないリチギさで、その結果ぱくられてオマワリから「お前、リチギなやっちゃなア」とほめられたくらいだ。おまけに彼にはあるトラウマが ある。何年か前に結婚詐欺にあったのだ。
 二人の面白くもおかしい(いまいちでもうちょっと煮詰めるべき)共同生活、そしてやがて絡んでくる少女の母親が、その結婚詐欺の相手だったりして、加え ておかしな街金融の取立てやが絡みーー。
 その、大阪弁の面白さ。せっかくのじれったい関西風味が、なぜか舞台を東京にしてあり、そんなのないよとアシモフさんと大反対でした。1稿がややスラプ スチックな味でアナーキーな面白さがあったが、なにせほころびばっかり目に付き、きついことも云った為大幅に変えての2稿だった。あの味が消えて、よりコ ンパクトにまとまったとは思うが、そのしっとりした調和が物足りないという意見も出て、うーん、難しいなあ、アドバイスも。
 でも、今回は正解だと思う。前者でやるなら、この密度を超えなければいけないのだから。あのアバウトな話を、致命的なほころびなしに持っていくのはプロ でもえらいことだから。




 アフタ−は5階のサテンで。
 事務長が1時間あまりも梅田君に作品の感想をしゃべっているのが、印象的だった。
 Tさんが「リチギ」なことを言い出し、アフターに現れた。シナリオは堅実・リチギでも,世のならいはアバウトに。
 ゼミの休憩時間にタバコ吸ってたら、あの芸術劇場の5階廊下に,ねじり鉢巻,そろいのはっぴのおばさんたちが5、60人。何事ならん?と聞こうとした が、そこは年の功、どうせなら若くてきれいなおねさんにとひとしきり見回したが、全部オバサン・おばあさんのグループでした。「ブクロまつり」とかいって たが、観るか、そんなもん。そんなわけで、僕には、もう「桃花」はかけないなあ。






次回は、2004年10月16日 (土)
東京芸術劇場5F/NO4会議室
時間は、13:30〜17:00



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