2004年8月7日(土)
 


△▼8/7のゼミ▼△


本 日のテーマ
・自由課題

ストーリー      1
ショートシナリオ   1
出席者: 男 7   女 3   見学 1


 池袋S君の知人女性(見学)、久しぶりの事務長も現れて活気のあるゼミだった。
 べたつかないカラっとした陽気も心地よく、文字どうり「盛夏」だなあ。会場の都合で、8月はこの日だけ。ゼミの前に、エレヴェーターを降りたところの ホール脇で「海の絵画展」というのをやっていて、時間があったのでチラッと覗いたが、気に入るモノは一点もなかった。それぞれ自分の持ち味を出そうとして るのだが、今一歩で届かない。ンーー、芸術はえらいこっちゃ。




1.小俣作品「恋する女たちと男たち」(ストーリー)

 週刊誌やテレビによると「セックスレス時代」だとか。付き合って何年、一緒に なって何年の恋人たちや夫婦ならそうだろうが、いざこれからという若いカップルでもその傾向があるそうな。
 まあね、そこに踏み込んでしまって、うっとうしい関係や暑苦しい関係になるのも、それはそれで「面倒くさい」ことでもあるのだが、動物としての人間はそ こに踏み込みたくなるのが常で、ややこしい。
 自分の殻に閉じこもるという意味では、傷つくことをおそれる「臆病な時代」になったのかもしれない。
 さて、この作品(作者はこの前と連投でエネルギッシュ。夏向きの体質か?)の登場人物はというとー、趣味が合わないために女と別れた男、同じ理由で男と 別れた女、周りからM男といわれる男の編集者、周囲との接触を断っている女流作家、自分の容貌が不細工で子孫のために美人を獲得しようとしてる営業マン、 美人過ぎて誘いのかからないOLの6人だ。
 この6人が合コンに行く。「M男」という表記からも伺えるように、人物たちの形象は記号化されていて、これはこの作者の持ち味でもあり、同時に、お話は 「舞台劇」風な展開となる。
 人物紹介ですでに推理できるように、はじめのA男とB子がばっちしの相性で親しくなり、「M 男」の編集者は、それとなく女流作家を口説き始める。そして不細工な営業マンは、「ハートの連鎖」とやらの怪しげな理屈で美人に迫るのです。
 この三組のカップルが、「昔風な、ロマンチック恋愛の不可能な時代」に、愛をどう達成するか?
 もちろんこれは、「前衛ドラマ」であり、「試験管ののドラマ」であり、「記号ドラマ」である。
 普通のドラマにある、汗や精液や感情や情念、といったドロドロしたモノは一切ない。ただ、前説で触れた「持ち味」はあふれている。「個性」といいかえて もいい。男と女の関係を見据えようとする、「皮肉で、シニカルな、意地悪い、それでいて、やさしくかなしげな」眼差しがある。
 シナリオを書くと言う作業は、もともと、好きな材料を好きに書くと言うことだ。作者には、ここしばらくはという条件付で、(なぜなら映画やドラマは「大 衆娯楽」なんで)、この方向をきわめてほしい。
 このドラマツルギーで、お客の心と感情をワシズカミにする「方法」はあるはずだ。僕のおもいこみでは、三谷幸喜氏は似たプロセスを辿ったんじゃないかな あ。
注文があるとすれば、3組の恋愛模様が均等なのは困る。それじゃあ読むほう、観るほうが感情移入出来ない。ドラマには、主役が必要です。

2.千葉作品「WHAT IS YOUR NAME?」
            (ショートシナリオ  200x44枚

 少し前のTVでひきつけられたのは、イラクで死んだカメラマンの未亡人の美貌 とモノの言い方だった。目を治すためにイラクの少年が来日したが、そっちには目が行かず未亡人ばっかりうっとり観てた。
 もちろん彼女は教育もあり、美貌だし、頭もよさそうだし、旦那と修羅場もくぐっているから出来た女なんだが、あの坊やの騒動は「マスコミ造り」だ。
 この作品のヒロインは、アラブ系の少年としばらく行動を供にするのだが、「出来た女」ではない。しょうもない男と寝て、名前もいくつも持ち、万引きを し、ふらふら漂っているアバズレだが、「人の心」が分かる女だ。心の痛みを抱えてる女だ。作者に言わせれば「SOS」を出している女らしい。誰に対して? そんなのはいい。僕だって、SOSを出さない30代なかばをすぎてから、心がだらけてしまった。
 女のそこがいい。宿無しだから、きっと地方から出てきた女の子だ。ちょっと前に付き合っていた男は、薬ヅケのチンピラで自分で首をつってしまった。コン ビにで万引きしたアラブ少年を救ってやる。そして夜の公園での再会。
 女は名前を聞く。少年は答えない。「この子、日本語駄目なんだ」。オマワリが「いた、いた」と、少年を見つけて走ってくる。話を聞くと、少年はオマワリ がさっき麻薬売買で踏み込んだアラブ人のアパートから逃げ出したばかりだという。彼等の一味だというのだ。連行しようとするオマワリに女は拳銃を向けた。 首をつった男の部屋から持ち出したものだった。ここで皆さん、女がどうしたと思います?
 話は、二人のロードムービーだ。オマワリを裁かなければ話は進まない。
 「女は拳銃でオマワリを撃つ」。そう、正解なんだが、ここが作者のいまだ若々しいところで、勢いよく派手に話を転がしてしまう。そうじゃない、せいぜい 暴発か殴り倒すぐらいが、ころあいなんだねえ。
 「筋」のために人間を乱暴に扱ってはいけない。
 ほかにもディテールで困惑が出た。勢いで書いたという作者の言やよしだが、細部もまたシナリオだ。少年は最後に女に叫ぶ、「僕の名は、ビン・ラデイン」 と。かっこいいんだが、もう少しかっこよさをそぎ落とすことだ。




 アシモフさんの音頭でアフターは、「納涼会へ」とビヤホールに繰り込み、おしゃべり3時間。忠太郎は前の日の深酒で体調悪く、中ジョッキ2杯に控えた が、中には5,6杯いった人もいるみたい。
(ゼミ報告は、アシモフさんと事務長の追加があるかも。-----)






次回は、2004年9月4日 (土)

東京芸術劇場5F/NO4会議室
時間は、13:30〜17:00

8月は、第一週の8月7日だけで、第3週はお休 みになります。

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それもご覧ください。
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