2004年7月17日(土)
 


△▼7/17のゼミ▼△


本 日のテーマ
・自由課題

ストーリー      4
ショートシナリオ   1
出席者: 男 5   女 4


 アシモフさんが仕事だったため、忠太郎の担当となった。中野Kさんが今回から復帰した。前回「夏枯れかも」といったあおりか、5本もの提出作品があっ た。2本は次回まわしかとも思ったが、鉄は熱いうちに撃てということもあり、アフターゼミも使い、5本にみんなが燃えた。もうすぐ、「甲子園」ですなあ。 僕は、あの主題歌「栄冠は君に輝く」(西条八十・作詞)が大好きでして。



1.伊波作品「僕がブローニュに行って](ストーリー)

 僕は新宿二丁目のゲイバーで働く絵描き志望の30歳。僕には立花さんと言うお じさんのパトロンがいる。僕の希望はパリに勉強に行くことだ。幸いに資金もたまり、立花おじさんの了解も取れて、壮行会の後一同はバスをチャーターして成 田に向かった。一同とは、そちらのほうの仲間たちである。
 さて、パリについて僕は、絵描きの聖地とも言うべきモンマルトルのアパルトマンに住み着いた。そして知り合ったのがジュリアンというエイズの青年で、二 人は愛し合う。
 と、紹介していくうちに、あらら、僕までパリに行った気分になってしまった。それと、この話、一人称で書くと、なんかぴったりするねえ。作者はすでにこ れを200x66枚のものに書き上げているという。この長さは作者にとっては初体験だ。もうすぐ送られてくるというから、それを読んでからもう一度ここに 取り上げようと思う。
 「伊波さん、パリは知ってるの?」「いいえ」「あのお、もしかしてあなた、そっち系のひと?」「いいえ」というやり取りがなんとも可笑しかった。


2.内野作品「ハーフ・ナイト」(ストーリー第2稿)

 前回、作者のこの作品についての「呟き」を紹介したところ,ご主人が「おいお い、大丈夫かい」といったらしい。それほ どアブナソウナ材料なのだ。でも私、これから書きたいものは書くんです、その度胸がつきましたという頼もしい答えだった。そうだ、日常生活じゃあいろいろ あるんだもの、せめてシナリオじゃあ跳ばなきゃア。
 前回よりはるかにまとまりが良くなった。問題の「十数年」はまだ未解決だが、ヒロインと夫、そして彼女が惹かれる絵描きの三人の関係は、劇的に煮詰まっ た。難しいのはこの絵描きの人物像だ。この男をちゃんと描けるかどうか。
 僕が「つまり、この話は、女が男二人を滅ぼすということかなあ」といったら、横浜Yさんが「愛についての定義の違いが引き起こす悲劇、という見方もある わ」といった。う-ん、こっちのほうがよりドラマチックになるかも。それから高円寺T君の「絵描きがヒロインの娘の絵画教師だったら」というアイデアもな るほどと思った。
 作者は前置きとして「背景」なる一節をつけたが、それにあまり縛られず想像力をはばたかせたほうが良いようだ。
 日常と非日常を上手く使い分けていたヒロインがどうそのバランスを崩していくか?もう一度自分のためにストーリーを検証することをすすめたい。僕はせっ かちだから、「見る前に翔べ」もありと思うのだが。


3.金子作品「GO  TO HEAVENN」(200x30枚・ショートシナリオ)

 うちのPCには感嘆符がないので失礼。いまやインターネットで自殺の同行者を 探し、あっけなく天国に行く時代で、そ んな風潮を軽やかに描いている。男と女の自殺希望者が出会い、二人は理想的な死場所を求めてさすらう。そんな二人に付きまとうのが、かおりちゃんという (僕は、かおりという名前にひときわ思い入れがあり、シナリオの人物だろうとなんでも、チャンをつけるのです)、女子高生だ。彼女は「私さあ、いっぺんで いいから人が死ぬとこ見たかったんだ」という野次馬精神の持ち主。
 三人組みがたどり着いた場所はある岸壁で、そこには首吊りの腐乱死体があった。それを見て、かおりちゃんは「ボ二−タ」という。何で「ボ二ータ」なの か、どうして彼女が名前を知ってるのか、一切説明がない。
 おかしなもので、ここのところが好評で、なぞがナゾを呼ぶという風になってないのが残念だったけど、あるいは作者は無意識にシナリオのヘソを書き込みな がら、へそとは明確に意識しなかったのかも。
 よくある現実をドラマがなぞる場合、ただのなぞりではなく、何かドキリとしたものが欲しい。女子高生をお迎え寸前の老婆にしたらとか、一番死にたかった のは彼女だったとか、これはホラーが似合うとか、二人が彼女を殺すのよとか、意見百出だった。


4.小俣作品「WEDDING  PRESENNTS」(ストーリー)

 といってもペラで5,60枚はあるから堂々たる長編で、一気に読ませる。女と 深くかかわるのが嫌いなプレイボーイの「結婚」についての喜劇である。
 もともと僕は、映画やドラマで「人間の真実風」を押し出したりあげつらうのが大嫌いで、その点この作者のものは、「真実風」の周りをじれったいほどぐる ぐる回ったり、時にはそれをひっくり返したりのユーモアとウイットがあふれていて、好きだ。
 とりあえず上記の仮題がついているが、僕なら、「ラプソデイ・イン・マリッジ」とか「結婚狂詩曲」とかつけたいところだ。
 作風の一端を紹介すれば、その人間観察の特徴が分かると思うので。主人公にはステデイに付き合ってきた年上のOLがいる。彼女はこう口説く。「いい加減 一人の人に落ち着きたいの。結婚という枠組みの中で信頼関係を築きたい。女としてそういった確かなものが必要な時期に来ているの。おまけに、体の相性は抜 群なんだもの」。
 作者の武器はあくまでも論理だ。あやふやな感情は相手にしない。そして、「直輝はマンションの自室で考え込んでいた。彼にはこんなときに相談相手になっ てくれる同性の友人はいない。いてもみんな結婚していて、どうせ女房や子供の自慢話を聞かされるのがオチだ」となる。論理のすれ違いは上等の笑いを生む。
 ほかにも、彼に結婚を仕掛ける大学時代のガールフレンドやその義理の妹、二人の母、ヒロインの友人の洗濯屋の娘、面白い人物が一杯だ。
 ヒロインが「あなたのタネだから」といって利用する妹の子供が、実はかって妹と遊んだことがある主人公の本当の子供だった、にいたっては抱腹絶倒なので す。


5.野竹作品「シトラスの香り」(ストーリー)

 ヒロインは優しく頼もしい夫と何自由ない暮らしを送っている。夫は妻が香水を つけるのが好きらしく、時々「シトラス」をかってきてくれる。なぜ「シトラ ス」なのか、そう聞いたことはないが、まさか夫の突然の死にこの香水が絡んでいるとは。
 作者は日常の裂け目に横たわる「闇」と、それをときあかすサスペンスが好きだ。今回も、この形を踏んでいる。
 ヒロインが不審に思い、夫の死の真相に迫るうちに、とんでもない事実が分かってくる。夫には、女装の趣味があったのである。ここまでくると、お話の 「起」 の部分は読み手の興味を引き、次はどうなるのかとあおられるのだが、作者の悪い癖は、結論を急ぎすぎて、読者からじっくりした楽しみを奪ってしまうのだ。
 今回も、未完ではあっても、ストーリーで提出される材料は、その「ナイトレデイ」というクラブのスタッフに杉浦というなぞの男がいて、どうやら夫が親し く付き合っていたらしいという事実だけ。これですぐエピローグに移ろうとする。あれあれ、話は今始まったばかりじゃないか、とかっくんしてしまう。
 サスペンスの形式なんかどうでもいい、簡単にお話をおわらせずじっくりと人物を味あわせて欲しい。じっくりと話を堪能させて欲しい。




 さすが5本となると報告し甲斐がある。デ、息抜きで。アフターのアフターが居酒屋行きとなった。小俣作品の印象からみんなの結婚観の話になったところ、 Z君が「つい2週間前が最後の別れだったンだけど」と切り出した。
 「男と女の話」は本人以外はみんな野次馬になれていいものだ。話し上手のZ君に乗せられて大爆笑。彼女も結婚を切り出した(もち、それとなく)らしい。 どう見ても、できたいい女のようだ。ン年間も付き合ったのだもの、当然だ。ところが、Z君には結婚はまだ早い。電話がないと寂しいし、こっちからかけるの もためらわれる。いずれあれ、その執行猶予中を楽しんだほうがという結論でお開きになった。





次回は、2004年8月7日 (土)

東京芸術劇場5F/NO4会議室
時間は、13:30〜17:00

8月は、第一週の8月7日だけで、第3週はお休 みになります。

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