〇自由課題(ストーリー)
1 内野作品「ノット・ストレート」
題名は、ラグビーの用語。ラグビーのボールは、前に放ってはいけないことになっている。そこからきている言葉だそうだ。二度と「ラグビー」にかかわりたくないと思っていた男の物語である。
大学時代、名門のラグビー部にいた男。すでに結婚し子供もいる30代半ば。妻が、息子にラグビーをやらせたことから、男の中で封印していた思い出がよみがえる。男はレギュラーではなかった。その苦い思い出。かつての主将が企画した同窓会の案内がくる。往時のスーパースターだった男は欠席だった。彼は九州のチームにいる。彼との間には、親友の死という忘れがたい思い出がある。
男たちの過去が錯綜していて、人物関係がすっきり飲み込めない。人物関係を分からせようとするあまり、それに力を入れすぎて現在がおろそかになっている。現在の事件(行動)は、12年後の「再会」と、主人公の「再起」なのだが、過去の説明が多すぎて、現在がよくわからない。過去のいきさつだけではドラマにならない。それが小説と違うところで難しいのだが、そうも言っていられない。もっともっと、現在の物語を考えよう。
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2 神山作品「流星」
拾った手帳を巡る二人の女の物語。雰囲気がいい。かねてから「グロリア」のような世界を、といっていたが、その方向には行っている。事件は大きくしないほうがいい。小さな街の小さな犯罪。主人公の年齢が高いかとも思ったが、虚無感をもてる年齢がいいという作者のイメージを尊重しよう。
二人の女の関係は、積み重ね次第だ。あまり出席できない状況を考えて、コンストに進むことをすすめる。その中で、ストーリーを深めていくのがいいと思う。今後に期待しよう。
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〇自由課題(シナリオ)
3 紺野作品「ケツバット」(冒頭)
完成したのではなく、始まりの部分をシナリオにした。これからどう進めたらいいか迷っているという。だが、ここまででいえば、不要なシーンが多い。いろいろ説明しようとして、なかなか本題に入っていかないのがもどかしい。どうしてホームレスになったかは、一言あればいいのではないか。そのいきさつを長々と説明されても、特に新しい発見があるとは思えない。最初のストーリーにあった勢いというものが消えてしまったようだ。
ゼミで検討すると必ず陥りがちのことなのだが、いろいろな意見を全部取り入れようと思うあまり、不要なシーンが多くなってしまう。取捨選択する力というのも大事なことである。
この作者の場合は、書きなれているだけに、これからは、ドラマのスピードというものを考える必要があろう。
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アフターゼミは、いつもの2Fの喫茶店。大分池袋にもなれて来た。今のところ、この建物の中だけだが、元気な者たちは、街中にも拠点となるべきところを見つけたようだ。いずれ、忠太郎師が帰ってきたら、帰朝祝いなどは街中でやりたいものだ。異国の撮影は大変だと思うが、順調に進んでいることを祈ろう。
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