〇自由課題(ストーリー)
1 内野作品「ぐるうりぐるり」
久しぶりの内野作品。未婚の長女と既婚の次女。それに父親とその恋人。父親は長女が結婚したら恋人と一緒になろうと考えている。だが、肝心の長女は見合いを明日に控え、アキレス腱を切って入院する。そこで、舞台は病院となる。彼女は、事故で入院していた若い男と知り合う。その男の両親が息子の結婚を急いでいて、入院中に相手を見つけろとそそのかす。二人はだんだんその気になっていく。ところが、父親の恋人は、何と若者の父親の弟の元妻だったのである。彼女は不幸をもたらす女で、結婚する度に相手が死んでしまうという…。
ちょっとややこしいが、それが知り合い同士であるというのは、いささか都合がよすぎる関係でもある。この中で一番魅力があるのは父親の恋人だというのが、みんなの一致した見方であった。魅力的な人間を生み出していながら、肝心の作者がそれに気づいていないようなのは、焦点が絞られていないからではないか。思いつきのままに走りださないで、もっとどっしり歩を進めるようにしよう。
ストーリーの書き方にも、忠太郎師から厳しい批判があった。余計なことを書き過ぎないことも大切である。ところで、舞台が病院だということにちょっと引っかかる。ナースや医者など仕事の場としてならいいのだが、患者たちの恋模様を展開するというのは、(アシモフの個人的な感懐だが)どうも愉快ではない。楽しくない。知り合うきっかけぐらいにして、あとは別の舞台を考えてほしいと思う。
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2 小沼作品「ままならぬ世界」
ビデオ店で働く三人の若者が映画を作ろうという話である。だが、そこはそれ、小沼世界だ。もちろんスムーズには進まない。いじめられっ子の中学生が監督になり弁当屋の女をヒロインにするが、当然のように空中分解する。だが、同級生にいじめられている少年を弁当屋の女が助けたことで、一転、彼らの間に絆が生まれる…。ただ、映画を創るのが中心なのだから、どういう内容の映画なのかはきちんと決めておく必要がある。最初に創ろうとした映画と、ラストで創ろうと思った映画は果たして同じなのか違うのか。
しかし、今までと違って、破壊だけではなく、何かを作りだそうとしているのがいい。ここには、ドラマが生まれ育っていく可能性がある。バイオレンスは易しいが何も生み出さない。だが、エロスには人間が必要である。少年は、年上の女に抱きしめられた時、きっといじめられることから解放されるのではないか。そして、若者たちもまた、おたおたと少年を追い続けながらも成長していくのだ。
変に斜に構えることなく、ストレートにこの世界に取り組んで行くのがいいだろう。こういうシナリオは、他人に預けずに作者が監督するのがいい、という忠太郎師の言葉が最大の賛辞である。
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〇自由課題(構成)
3 野竹作品「罪と罰」
長く取り組んでいる作品だが、ようやく構成にたどりついた。
高校時代に好きだった教師に同窓会で再会した主婦。だが、教師は冴えない中年男になっている。とはいえ、思い出は甘酸っぱいもの。そんな男でも、ちょっと思い出を確かめたくなる。そんな矢先、息子が車にはねられる。なんと加害者は教師であった。だが教師の方は、被害者が彼女の子供だとは知らない。かくして彼女は、独りの母親として復讐に立ち上がるのだが…。
相談にのる友人の女性があまり共感を呼ばないのが、意外であった。また、子供が殺されたらこんなふうに冷静に計画できるだろうか、という意見があった。これは傾聴に値する。夫と子供では母親の価値観が違うのだから、そうかもしれない。また、全体が作者に都合よく展開している、そうせざるを得ないように追い詰めていくべき、という意見も強かった。まっとうな意見だが、とはいえ、これがなかなか難しいのだ。でも、そうはいっていられない。前進しなくちゃならないのだから。
構成を再考しながらシナリオにしてみるのがいいだろう、と言うことになった。
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アフター・ゼミは、光愛君がいつも仕事で抜けざるをえないのが惜しい。ゼミにはないものがここで話し合われたりするので、仕事の都合がつくといいのに。
また、後でメーリング・リストで知らされたが、忠太郎師が仕事で海外に行くので、次回からしばらくは独り講師になる。ちょっと寂しいが、師に負けずに言い作品を作り出そう。
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