2003年4月5日(土)
4月19日(土)

今回は2週分連続です


△▼4/5のゼミ▼△


本日のテーマ
・自由課題  シナリオ  1
ストーリー 1
出席者: 女  2   男  4 

今日は、なんと新人を入れて男性の数が女性を上回った。アシモフ・シナリオゼミ始まって以来のできごとである。果たして、このまま女性優位の構図が崩れるのか。それとも、一時的な春の珍事だろうか。今後の展開を注目しよう。


〇自由課題(シナリオ)


1 楢崎作品「28年目の交換日記」



 相変わらず精力的な作者は、早くも第1稿を書き上げてきた。みんなで回し読みをする。非常に読みやすいシナリオになっている。
 ひょんなことで28年目に再会した中学時代の旧友のそれぞれの人生。彼らを貫く大きな事件がほしいという前回の注文(02/12/7)に答えて、町の靴屋と大手スーパーとの対立が骨になった。買収に奔走するのも対立するのも、かつての同級生である。その間に入って苦労する主人公の女性も、やはり同級生だ。彼女は仕事人間で一生懸命生きている。
 展開は、軽快でなかなかいい。だが、軽快に運ぶのはいいのだが、そのことばかりに気を取られていると、「主人公が立ち止まっていない」という指摘があったように、ドラマが薄くなってしまう。再会して心を通わせた旧友が、交通事故でなくなり、その遺児を引き取るというラストがより感動的であるためには、主人公がもっと困難と立ち向かうことが必要だ。そのために、買収の当事者が主人公であるといいという意見は聞くべきだろう。そうであれば、旧友への想いも納得できるのではないか。この際、作者がもっと悩むことが必要かもしれない。




〇自由課題(ストーリー)

1 楢崎作品「煙草部屋のお話」
         


 またまた、楢崎デーになってしまった。禁煙時代を素早く取り入れてのアイディアは、なかなか面白い。
 外資系会社に総合職として中途採用されたのに、思うように仕事をさせてくれないと不満が一杯の女性が主人公。そんな彼女を冷ややかに見ている年上の派遣社員。彼女は、なぜか社内の事情に詳しい。それは、彼女が喫煙室に行っては、社内の噂話を仕入れているからであった。煙草を吸わない主人公はそうはいかない。彼女が張り切って提出する企画は、横柄な男の社員に負けてしまう。彼は、どうやら、煙草部屋で根回しをしているらしい。主人公は落ち込む。そんな彼女に、派遣社員はなぜか優しくなり、いつしか二人は意気投合する。彼女は、派遣社員が煙草部屋で仕入れた情報をもとに、企画競争に挑み、男に勝つ。かくして、彼女は晴れて米国勤務が決まった。
 女性の仕事の一面を、作者の体験を交えて描こうとしているのは好感がもてる。だが、彼女が力を注いだ企画が具体的でないと、説得力に欠ける。また何で、派遣社員の女が主人公の味方になるのか。「頑張る女性の成功譚をやりたかった」、と作者はいう。その狙いが、実は、はっきりしていないのが問題である。思いつきでまとめたという感じで、まだドラマになってはいない。作者の思いを生かすためには、職場の状況が具体的に描かれる必要があるだろう。これもまた、一寸立ち止まってみる必要があるようだ。






アフターゼミは、いつもの2Fのお店。新人君は公務員で郵便局員だという。構造改革の矢面に立たされている仕事だから、ドラマのネタがいっぱいあるのではないかと大いに期待が膨らむ。新人とはいえ、別のところで両講師と出会っているので初心者ではない。早いうちに作品を出してくれると、みんなにも刺激になっていい。楽しみである。





△▼4/29のゼミ▼△


本日のテーマ
・自由課題  ストーリー 2
コンスト  1
出席者: 女  5   男  3 

今日は、いつものように女性優位である。新しい展開にはならなかった。果たしてアシモフの未来やいかに? しかし、開始時間を30分早くしたのでじっくり取り組むことができた。相変わらずの少数精鋭だが、今月発売の「ドラマ」誌に講師二人のインタビューが載ったので、仲間が増えることを期待しよう。



〇自由課題(ストーリー)


1 内野作品「ぐるうりぐるり」



 久しぶりの内野作品。未婚の長女と既婚の次女。それに父親とその恋人。父親は長女が結婚したら恋人と一緒になろうと考えている。だが、肝心の長女は見合いを明日に控え、アキレス腱を切って入院する。そこで、舞台は病院となる。彼女は、事故で入院していた若い男と知り合う。その男の両親が息子の結婚を急いでいて、入院中に相手を見つけろとそそのかす。二人はだんだんその気になっていく。ところが、父親の恋人は、何と若者の父親の弟の元妻だったのである。彼女は不幸をもたらす女で、結婚する度に相手が死んでしまうという…。
 ちょっとややこしいが、それが知り合い同士であるというのは、いささか都合がよすぎる関係でもある。この中で一番魅力があるのは父親の恋人だというのが、みんなの一致した見方であった。魅力的な人間を生み出していながら、肝心の作者がそれに気づいていないようなのは、焦点が絞られていないからではないか。思いつきのままに走りださないで、もっとどっしり歩を進めるようにしよう。
 ストーリーの書き方にも、忠太郎師から厳しい批判があった。余計なことを書き過ぎないことも大切である。ところで、舞台が病院だということにちょっと引っかかる。ナースや医者など仕事の場としてならいいのだが、患者たちの恋模様を展開するというのは、(アシモフの個人的な感懐だが)どうも愉快ではない。楽しくない。知り合うきっかけぐらいにして、あとは別の舞台を考えてほしいと思う。






2 小沼作品「ままならぬ世界」
         


 ビデオ店で働く三人の若者が映画を作ろうという話である。だが、そこはそれ、小沼世界だ。もちろんスムーズには進まない。いじめられっ子の中学生が監督になり弁当屋の女をヒロインにするが、当然のように空中分解する。だが、同級生にいじめられている少年を弁当屋の女が助けたことで、一転、彼らの間に絆が生まれる…。ただ、映画を創るのが中心なのだから、どういう内容の映画なのかはきちんと決めておく必要がある。最初に創ろうとした映画と、ラストで創ろうと思った映画は果たして同じなのか違うのか。
 しかし、今までと違って、破壊だけではなく、何かを作りだそうとしているのがいい。ここには、ドラマが生まれ育っていく可能性がある。バイオレンスは易しいが何も生み出さない。だが、エロスには人間が必要である。少年は、年上の女に抱きしめられた時、きっといじめられることから解放されるのではないか。そして、若者たちもまた、おたおたと少年を追い続けながらも成長していくのだ。
 変に斜に構えることなく、ストレートにこの世界に取り組んで行くのがいいだろう。こういうシナリオは、他人に預けずに作者が監督するのがいい、という忠太郎師の言葉が最大の賛辞である。




〇自由課題(構成)

3 野竹作品「罪と罰」
         


 長く取り組んでいる作品だが、ようやく構成にたどりついた。
 高校時代に好きだった教師に同窓会で再会した主婦。だが、教師は冴えない中年男になっている。とはいえ、思い出は甘酸っぱいもの。そんな男でも、ちょっと思い出を確かめたくなる。そんな矢先、息子が車にはねられる。なんと加害者は教師であった。だが教師の方は、被害者が彼女の子供だとは知らない。かくして彼女は、独りの母親として復讐に立ち上がるのだが…。
 相談にのる友人の女性があまり共感を呼ばないのが、意外であった。また、子供が殺されたらこんなふうに冷静に計画できるだろうか、という意見があった。これは傾聴に値する。夫と子供では母親の価値観が違うのだから、そうかもしれない。また、全体が作者に都合よく展開している、そうせざるを得ないように追い詰めていくべき、という意見も強かった。まっとうな意見だが、とはいえ、これがなかなか難しいのだ。でも、そうはいっていられない。前進しなくちゃならないのだから。
 構成を再考しながらシナリオにしてみるのがいいだろう、と言うことになった。





アフター・ゼミは、光愛君がいつも仕事で抜けざるをえないのが惜しい。ゼミにはないものがここで話し合われたりするので、仕事の都合がつくといいのに。
また、後でメーリング・リストで知らされたが、忠太郎師が仕事で海外に行くので、次回からしばらくは独り講師になる。ちょっと寂しいが、師に負けずに言い作品を作り出そう。



次回は、2003年5月3日(土)

東京芸術劇場5F/NO1会議室
時間は、13:30〜17:00


GWでも休みませんよ!


←Click Here
上記作品のディスカッションはこちらで!!
ゼミで話し足りなかったことや後から思いついたこと
また、改めて作者に聞きたいことなどがありましたら
どんどん書き込んでください!
今までにみんなの書いたシナリオのリストを整理してありますので、
それもご覧ください。
←Click!!(.xlsFile 8KB)
※上のアイコンをクリックすると、脚本一覧ファイルをダウンロードできます



[ HOME ] [ BACKNUMBER ]

このページの無断転載・複製を禁じます。
Copyright(C)asimov. 2003 All rights reserved