2002年12月7日(土)
2002年12月21日(土)
今回はスペシャル版。2週分まとめてお送りいたします。

▽▲ 12/7日分 ▲▽
本日のテーマ
・自由課題  ストーリー 2
ショートシナリオ  1
長編シナリオ 1
出席者: 女  5   男  3 

 いよいよ師走。コンクール・ラッシュが終わるとすぐ年末になる感じだが、みんなの勢いは衰えない。さすがである。世間では、ノーベル賞や拉致問題など、一見ドラマティックな事件が話題になっているが、ワイド・ショー的な出来事にとらわれずに、自分に引き寄せたドラマを発見しようとしている姿勢がとてもいい。寒さ厳しい冬だが、体調に気をつけていきましょう。  


〇自由課題(ストーリー)


1 紺野作品「ケツバット」第2稿



 野球嫌いのホームレスの青年の話である。あらすじは前回(11/2)を参照してもらおう。もちろん、前回より細かく運ぶようになっているが、果たしてそれは成功しているだろうか。
 元高校球児と元マネジャーの風俗嬢とその息子の三人以外に、新しい人物が二人登場する。その一人、栗田という男の存在が大きい。栗田はかつては博徒だったという。だが、博徒というのは作り過ぎではないかという意見が強かった。風俗嬢に男がいるのは自然で、男に息子がなついていないというのも特別のことではない。それだけに、本命の元高校球児の登場の準備としては、少々決まり過ぎの感がある。栗田を触媒として三人のドラマが深まるのならいいが、彩りを派手にするだけに終わったらつまらない。それぞれの心情をもっと深めてほしい。
 これは、ストーリー段階で論議をつめるといろいろ迷いが生じそうだ。いっそシナリオにしてしまったほうがいいかもしれない。期待しよう。





2 楢崎作品「28年目の交換日記」


 明治ものの大作に取り組んでいると思ったのに、なんと新しいストーリーが生まれたらしい。このすばらしいエネルギーはどこから生まれてくるのか。
 主人公のOLも、今は45才。その中学時代の友人たちとの再会の物語であ
る。登場人物が多いのに滑らかにストーリーが書けるようになった、と忠太郎師からお褒めのお言葉。確かにこのところ、文体は軽やかでいい。
 45才という人生何度目かの転機をとらえて描こうというねらいはいい。だが、ちょっと人間が多すぎるようだ。役割が重複する人間は減らした方がいいかも。交換日記というのがいい。それぞれの人物の背景がかかわってくるので説得力がある。
 人間関係はおもしろいのだが、彼らをつらぬく大きな事件がほしい。せっかくの「交換日記」なのだから、それがらみの何かが…。教師が登場してもいいかも。担任教師をめぐるドラマがひとつあってもいい。あるいは、中学校がどうかなってしまうとか(火事?)。28年ぶりに心を通わせた同級生の遺児を引き取るというラストシーンは、ちょっと甘いがようだ。だが、最後がいいという意見も強かった。





〇自由課題(ショート・シナリオ)


1 こはま作品「メール」



 久々の登場。コピーライターを目指している男と看護婦の恋人。二人は5年越しの仲。なのに、夢を果たさず田舎に帰ろうという男。恋人はそれが許せない。おもいきりぶん殴る。男は鼻血を流してもなお、「こんなに強く…、思ってる?」と思う。女も、そういう男を許しているのであった。
 しゃれた小話を狙ったのだろうが、こういう小手先のものでなく、しっかり考えた話が読みたかった。作者はもう新人ではないのだから。次の機会に期待しよう。





〇自由課題(長編シナリオ)


1 高野作品「マシンガン」



 初めての長編シナリオである。個別指導で行くべきかと思ったが、当の本人からゼミでやってほしいという希望がだされたので、次回に取り上げることにする。





アフターゼミの「ロジエ」は、今日が最後。マスターにお別れの挨拶をする。3年半の間、「ロジエ」のおかげでアフターゼミが楽しかったのは、お店の雰囲気だ。その中心にあった笑顔の店員ケイコさんは7月に退職して結婚したそうで、この日は新婚カップルで挨拶にきたそうだ。わがゼミでもカップルが誕生したし、まことに思い出の多い<恵比寿>であった。

▽▲ 12/21分 ▲▽
本日のテーマ
・自由課題        ストーリー  2
長編シナリオ 1
出席者:女 6名  男 1名  
 いよいよ恵比寿最後の日。朝から雨。これは別れの涙雨か。だが、身の切るほどの寒さではない。夕方から雪になりそうだという予報が気になる。最後のゼミは、長編シナリオを回し読むことから始まった。

〇自由課題(長編シナリオ) 


1 高野作品「マシンガン」

 

 長編第1回の力作である。<触れる>ということをキーワードに、4人の若者のドラマが紡がれている。中心は二人の少年少女。父に暴行を受け、母に見捨てられたと思っている少年と、父に犯された少女。二人が出会って、やがてお互いに<触れる>ことが出来るようになる。
 ワープロでなく手書きのせいもあるが、原稿用紙のマス目に一字一字ていねいに書かれているのがとてもいい。自分の言葉で語ろうとしているのがうかがわれる。ぎりぎり自分の表現を見つけようとしている。初めての長編ということで、その一生懸命さが初々しくてとてもいい。
 少年少女以外では、刑事のキャラクターが面白い。作者も相当気に入っているらしく、ちょっとしゃべらせ過ぎのきらいもあるが、それだけしっかりと作者の思いを伝えようとしているわけで、その真剣さは悪くはない。
 主人公の二人と友人二人とはウェイトが違うので、エピローグ部分では主人公二人に絞った方がいいのではないか。思いを流さずに正面切って考えていこうというストレートな姿勢は貴重である。





○自由課題(ストーリー)


1 辻口作品「SHOKO」



 久しぶりの登場で、恵比寿での掉尾を飾ってくれた。
 少女小説の題材として暖めていたものだそうだが、なるほど複雑な人間関係
である。始まりは1956年。それから40年に及ぶ、3代にわたっての「SHOKO」を巡るドラマが展開する。
 初代SHOKOは、医者の息子と腹違いの5才の女の子。息子勉は先天的に
心臓に欠陥がある。そして、初代が17才になったときに、悲劇が始まる。さらに18年後、あらたなSHOKOが現れる。2代目は医者の友人の外科医の一人娘。
  二代目は、人気バンドのギタリストと引かれ合う。そして、さらに17年後の2003年。ギタリストはまだ現役で活躍しているが、そのライブの観客の中に3代目SHOKOがいる…。三人のSHOKOを貫くものは…?
 あまりにも複雑な構造のせいで、説明しきれないが、お許しあれ。SHOKO因子がどう受け継がれていくかというのは、現代の寓話として興味をそそる。善悪をはっきりさせて、人物の造形をくっきりさせるようにせよという忠太郎師の意見をかみしめて進んでほしい。シナリオ化に取り組むのがいいと思う。





 さて、心は、忘年会。桐杏学園への挨拶もそこそこに、恵比寿ガーデンプレイスに向う。幹事の奮闘で一番奥の落ち着いた席が用意されている。先輩4人を含めて総勢17名。仕事で来られなかったパルプ君の顔が見えなかったのは惜しいが、ここから馳せ参じたはせおさんとHKさんを含めて、ズラーッと並んだ様は壮観だった。晴れやかなメンバーの顔をみて、この3年半の充実が思われて嬉しかった。
 2次会のカラオケにもほとんどが参加。雨が雪に変わるのではないかと心配していたが、杞憂であった。いつまでも終わりが来そうになかったが、ともかく三本締めで無事に恵比寿時代は終了した。
 その後の3次会がどうであったかは知る由もないが、来年の新天地での飛躍が期待出来る雰囲気であった。
 では、みなさん、よいお年をお迎えください。心機一転、池袋で会いましょう!


次回は、2003年2月1日(土)

初の池袋ですよ!
東京芸術劇場5F/NO4会議室
時間は、14:00〜17:00

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