2002年9月21日(土)
2002年10月19日(土)
2002年11月2日(土)
今回は特大スペシャル版。3週分まとめてお送りいたします。

▽▲ 9/21日分 ▲▽
本日のテーマ
・自由課題 ストーリー 2
       シナリオ 0
出席者:女 5名  男 1名

 早くも秋の空。「ドラマ」の広告は、“風立ちぬ。躍進の予感”というキャッチフレーズに したのだが、みんなの胸中はどんなものだろうか。
 間もなく華燭の典をあげる二人は、諸準備で忙しいのに独身最後の作品を提出してくれたし、威勢のいい新人の参加もあるし、予感の正しさが証明される日も近いと信じている。
  


〇自由課題(ストーリー) 


1 神山作品「ふたつの心」(「午後のX−X’」改題)



 前回のゼミでやったばかりの作品だが、新装改題で、再登場。
 結婚して10年の夫婦の間が波立つ。妻は疑心暗鬼に陥るが、それは事実である。夫と愛人は高校の同級生で、二人はお互いに気があったのだが踏み込めなかった。だが、20年ぶりに再会し、今度は踏み込み過ぎてしまったのだった。
 「二つの心」とは、だれの心か。妻と愛人、妻と夫、愛人と夫…。当然、女同士の二つの心の方に主題が行くべきだが、絞り切れていない。ストーリーとしては、まだ発端だけである。これからつくりあげていくものだろう。女同士のドラマは、過去にもいくつか話題作がある。新味をどうだすかが課題。





2 野竹作品「罪と罰」


 これまた、高校時代の恋の思いが現在の暮らしを壊してしまう話である。ただし、この場合は、教師と生徒。
 歩は結婚して夫も子供もいる幸せな主婦である。だがその心にさざ波を立てる年賀状が今年も届いた。高校時代に恋した担任教師新藤からのものである。その恋は実らなかったが、年賀状のやり取りだけは続いている。二人は突然、再会する。だが、それは、あまりにも悲劇的に…。幼稚園に自転車で行った夫と長女が、車に撥ねられ、亡くなった。その相手というのが、なんと新藤だったのだ。夫と長女を不意に奪われた歩の心は壊れてしまう。新藤は執行猶予になった。歩の心は、愛と憎しみがからみあってどうしようなくなる。男の家庭をめちゃめちゃにしたいという思いがつのる。歩は新藤を誘い出す。しかもそれを、新藤の妻に密かに通報しておく…。だが、そのことがきっかけとなって、歩と新藤の秘められていた思いが明らかになる。新しく男と女の関係に変わり、悲劇はさらに…。
  野竹流の独特の匂い(毒?)があって、とてもいい。歩が狂うほどに美しくなって行くという感じに、女の怖さがあっていい。だが、新藤が、実は妻よりも歩の方が好きだったというのはどうか。そういうことではない方が、贖罪意識が転じて、歩の魔性に魅せられて行く男のどうしようもなさが出るのではないだろうか。愛憎渦巻くエロスのあるドラマに仕上げてほしい。



 終わっていつものように、「ロジエ」でアフターゼミ。
 今日は、新人Kくんの参加で気分も新たに盛り上がった。穏やかな中にも、しっかりした芯のある感じがいい。わがゼミの先輩諸兄諸嬢とも、あっというまになじんだようだ。すぐにも作品をだしそうで、とても初めてとはみえない。頼もしいかぎりである。


▽▲ 10/19分 ▲▽
本日のテーマ
・自由課題 シナリオ0 ストーリー3       
出席者:女 7名  男 1名  先輩(男) 1名
 前回は、おめでたいイベントのために休講となったので、久しぶりのゼミ。だが、場所は違ってもみんな顔を会わせたので、久しぶりという感じはしない。
 しかし、新婚旅行の土産話はアフターゼミでと、さっそく作品研究に入る。10月末の二つのコンクールを目指している人も多いようだが、それは個別の指導検討に任せることにする。

○自由課題(ストーリー) 


1 外野作品「微熱」

 

 コンクール用に新たに考えた物語。相変わらず旺盛な創作意欲は素晴らしい。
 まだ18才の短大生美帆が妊娠する。相手は大学生。美帆は生みたいが、相手の男は反対する。美帆は男に嫌われたくないため中絶しようとするが、恐怖心にかられて土壇場で逃げ出す。その足で東京に出る。そして、様々な体験をして、やっぱり生もうと決心して故郷の岡山に帰る。
 こういうテーマ(題材)は、意見を言いがたいものがある。しかもドラマとしては、発端から結論が予測されてしまうので、余計むつかしい。美帆は見ず知らずの男に優しくされて泊めてもらい、隣室の女性(シングルマザー)と親しくなり、男が育った孤児院に行く。一方、大学生は、美帆を迎えに行く途中で迷子を助け、「子供」の体温を感じる…。
 少女が赤ちゃんを生むことになるのに、都合のよい状況だけが与えられている。この人間をこうさせたいから、こういう状況を配置して、こういう人間を登場させてということでは、ドラマではない。果たしてドラマとして成り立つ題材かどうかということも考える必要があろう。





2 楢崎作品「火の杯」(第2稿)


 明治時代の大橋図書館の建設にまつわる物語。作者が初めて取り組む歴史ものである。しかも実在の人間を主人公にした一種の評伝である。えてしてこういう世界は、事実の重みにとらわれて人間味がなくなりがちなのだが、書き出しの1行目から人間臭さがあふれ出ていて、その危惧は簡単にクリアしているようで、先行きが楽しみである。
 「精力絶倫の威張り腐った頑固おやじ」とその妾、妾の子(姉弟)と正妻の息子との葛藤、明治の女の頑張り、明治の男の心意気…。
 骨太のドラマが展開されるであろう題材である。しかも、多くの人に知られているものではなく、作者の身近な人間だというのがいい。いろいろと掘り起こしていくと、予想外のドラマが発見出来るかもしれない。まだ、ストーリーとしては、手をつけたばかりという感じなので、大いに今後を期待しよう。





3 野竹作品「虚言癖の女」(構成)


 ストーリーとしては前に検討したものである。それをシナリオ化する手順として、構成(コンストラクション)を考えた。
 新米刑事が殺人事件に出会い、その解決を通して成長するという縦筋と、事件の当事者である夫婦と愛人の三人の人間関係という横筋。愛人と心中した夫とその妻、死にきれなかった愛人。その真相は…。
 重要なきっかけである「そばアレルギー」がどういうものか、正確なところが分からないので、この進め方でいいかどうか判断がつかないところがある。女は夫の愛人ではなくストーカーだったとか、三人の関係はおもしろいものがあるし、新鮮味もあるので、死因についての研究をさらに深めたい。





 後半は、新婚旅行土産のお菓子をつまみながら和やかにすすんだ。みんなの関心はもっぱらコンクールという感じ。大体第1稿から第2、第3稿に進んでいるようだが、その勢いを衰えさせないで、目標に到達したいものだ。頑張れ、みんな!



▽▲ 11/2分 ▲▽
本日のテーマ
・自由課題 シナリオ5 ストーリー1       
出席者:女 4名  男 2名  
 いつの間にか、秋も終わり、早くも冬である。今朝は木枯らし1号が吹いたという。だが、わがゼミのみんなは、寒さもものかわ、元気である。10月末の二つのコンクールに応募した者が多かったが、果たしてその成果はいかばかりか。楽しみである。

○自由課題(ストーリー) 


1 紺野作品「ケツバット」

 

 新人ながら、しっかりした作品をもって初登場である。
 野球が見るのはおろか聞くだけでも嫌というホームレスの男がいる。実は、かつて甲子園で鳴らした男だった。とある日、野球部の女マネージャーだった先輩と再会する。彼女は夫に死なれ息子との二人暮らである。息子は事故で足が悪い。息子のために野球を教えてやってくれと頼まれる。見るのも聞くのもいやだった野球だが、少年が気になって会いに行く。それから、少年とホームレスのドラマが始まる…。
 初めてとはいえ、ふだんから文を書き慣れているらしく、しっかりした構成と筋の運びで、感動的な物語になっている。タイトルに異論がでた。「ケツバット」のイメージがはっきりしないということか。いい話だけに、スムースにいきすぎるのでもう少しザラザラしたものがほしい。頑張ればできるというだけでなく頑張っても出来ないという否定的な人物もほしい、登場人物をもう少し増やしたいとか、さまざまな意見が飛び交った。
 思いついて一気に書いたという分、細かく検討してみるといろいろ疑問が出てくるが、大枠がよくできているので、致命傷にはならないだろう。もう一度練ったうえで、シナリオに進むこととなった。





 今日は、忠太郎師が仕事で来られなかったが、新人の作品1篇だったのでじっくりとやり、早めに「ロジエ」に向った。
 新米主婦のTさん改めOuさんも元気に出席。どうやら、つつがなく日常を送っているようで慶賀慶賀。相方は仕事で一人だったが、たまには別々もいいかも。いやいや、そういうにはまだ早すぎるか。


次回のゼミは  11月16日(土)  です
時間は 14:00〜17:00
←Click Here
上記作品のディスカッションはこちらで!!
ゼミで話し足りなかったことや後から思いついたこと
また、改めて作者に聞きたいことなどがありましたら
どんどん書き込んでください!
今までにみんなの書いたシナリオのリストを整理してありますので、
それもご覧ください。
←Click!!(.xlsFile 8KB)
※上のアイコンをクリックすると、脚本一覧ファイルをダウンロードできます



[ HOME ] [ BACKNUMBER ]

このページの無断転載・複製を禁じます。
Copyright(C)asimov. 2002 All rights reserved