○自由課題(ストーリー)
1 よこはまこはま作品「夢が降ってきた」
前回に引き続いての連投。この積極性はなかなかいい。
主人公は、結婚式場の契約ビデオ・カメラマン。ファインダーに写った花嫁は、なんと10年も同棲していた元恋人であった。映画監督になりたかった男と、女優になりたかった女。思いがけない場所での思いがけない再会は、思いがけない結果に…。そして、二人はふたたび夢を追いかけることになり、こんどこそ二人の夢は実現したのだった…。
発想はいいのだが、いかんせん、中身は作者のご都合主義でいただけない。自分勝手に都合のよいところだけを引き寄せても、ドラマにはならない。二人の<再会>以外に、何がドラマなのか。主人公の人生に即して、じっくり再考してほしい。
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2 野原作品「キングダム」第2稿
5月25日のゼミでやった作品の第2稿。名門野球部について行けない二人の少年と、渓流釣りに来ておいて行かれた女。それぞれのキングダムに怒りをもっている三人。これも設定は面白いのだが、話を進ませようとするあまり、ドラマに必要なものがなにか忘れられている。
前回、せりふを多用してごまかしてはいけないと言われたせいか、今回は一言のせりふもなかったが、だからといって作者のイメージがはっきりした訳ではない。ストーリーの書き方を、もう一度ちゃんと勉強する必要がある。ストーリーは、どんなドラマをつくりたいかを、人に伝えるものであると同時に、作者が自分のイメージをはっきりさせるためのものである。
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3 野竹作品「虚言癖の女」(改訂版)
新人刑事がはじめて手掛けた殺人事件の意外な展開。
不倫の男女の心中未遂は、生き残った女の殺人事件かと思われたが、実は妻にも夫を殺す動機とチャンスがあった。どちらかの女がウソをついているのだが、その真相は果たして…。
新人刑事は、恋人のヒントで見事、事件を解決する。仕掛けはよくできている。女二人のしたたかさが描かれるとおもしろい。こういうジャンルのものは、作品のタッチを決めて始めるといいという忠太郎師の助言をしっかり心にとめて、構成に進むこととなった。
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〇自由課題(シナリオ)
1. 外野作品「海を渡った蜻蛉」
これは、作者の時間がないというので、ゼミの始まる前に、講師二人で講評指導をした。ストーリー段階でいろいろ悩み迷走したが、結局一番最初の構想に近い形でまとめ上げた力作である。
今は亡きイギリス人の画家と日本の古い友人の交流。だが二人の交流は最近まで知られていなかった。画家を目指している若者がその秘密を知り、親しくなるうちに、あらためて絵画への思いを強くする…。
たしかに力作ではあるが、<ドラマになるべきものは何か>ということがはっきりしていないのが問題だと思う。これまた、作者の都合で運んでいるだけで、登場人物が悩み、葛藤し、人生を切り開いて行くという、ドラマの基が忘れられているのではないか。もう一度、考え直すこととなった。
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また、小沼シナリオ「ぶらぶら」が提出されたが、これは時間の問題もあって個別に講評指導することになった。
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アフターゼミは、ロジェがお休みだったので、恵比寿ガーデンに直行。今日は事務局長のEさんが欠席だったが、先輩O君が駆けつけ、健啖と痛飲で、暑さを吹き飛ばし、和やかに話が弾んだ。
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