2002年6月15日&7月6日(土)
今回はスペシャル版。2週分まとめてお送りいたします。

▽▲6月15日分▲▽
本日のテーマ
・自由課題 ストーリー 2
ショートシナリオ 1
出席者:女 6名、男 2名、先輩(男)1名、ゲスト1(タケルくん)

 Jさんが7ヵ月の愛息と共に現われた。子育てしながらシナリオに励む女性が、先日のNさん、ちょっと先輩のUさんと、わがゼミでは3人もいる。これは女性が元気な時代の反映だろう。もちろん、子持ちじゃない人も独身の人も元気一杯で、みんな活力にあふれている。
 女性だ男性だと区別はしたくないが、しかし、男性のみなさん、もうすこし勢いよく元気を出して行きたいね。(タケルくんの未来に期待は大だよ!)


○自由課題 

1 小沼作品「君とのハードな日々」(ストーリー)



 毎日を流されるように生きている大学生。デジカメで撮りまくる女。その大学生に告白する弁当屋の娘。彼らにからむチンピラ。チンピラの彼女。こう登場人物を並べると、いつもの小沼世界の色合いになる。
 主人公は大学生とビデオ狂の女なのだが、女の狂気が目立っているだけで、なかなかドラマにはならない。結論だけがあってプロセスがない、という意見が大方の見方であったが、作者自身が行き着く先を決めかねているようだ。作者が決めなければ、ドラマは進まない。雰囲気だけでは難しい。
 それから、ラストの「9年後」という飛ばし方はいただけない。ドラマの常道としては、「1年後」か、もしくは最大でも「3年後」とするべきだろう。





2 城ノ口作品「Juicy Peaches」(ストーリー改定稿)


 小学校の教師。その恋人の女事務員。担任の小6の女生徒。教育実習の来た女子大生。こちらも登場人物を並べてみる。おのずから物語の輪郭が見えてくる。
 だが、普通と違うのが女生徒の存在。背は高く大人っぽい風貌なのに内向的でいじめられっ子で、母親は売春まがいのことをしている。おもいっきり不幸である。彼女は普通であることを願っているが、そうはいかない。
 彼女の悩みは担任は知らない。教育実習の女子大生に心を奪われている間に、女事務員と女生徒は親しくなってしまう。女事務員もまた、自分にはとりえがないと悩んでいる。それに、今の自分は本当にやりたいことをやっていない…。だが、その悩みに恋人の教師は気づいていない。
 教え子の悩みにも恋人の悩みにも気づかない教師。こうなると、彼にどんな魅力があるのか分からなくなるが、彼の実家は大きな果樹園をやっている。その果樹園に行って、女事務員と女生徒の二人はレンタカーにいっぱいに桃を盗む。それは彼への決別のあかし。
 後半、いささか無理のある展開だが、すでにシナリオを書きすすめているというので、出来上がりを待つことにする。
 学校を舞台にするとおのずから展開が見えてしまうきらいがある。作者はそれを避けるために主人公の女を教師にしなかったというのだが、はたして成功するかどうか。忠太郎師のいうように女生徒と恋人を争うという展開もあるだろうが、それもまた難しそう。作者の興味はどうもその方向ではないようだ。むしろ女たちが自立して行くドラマを創りたいのではないだろうか。





3 高野作品「かけら」(ショートシナリオ)


 こちらの登場人物は、19才の少女が二人。それに、犬(!)。実にシンプルである。
 犬と遊びながら会話を交わすだけのシーン展開で、二人について特別の説明があるわけではないのに、その背負っている世界が見えてくるのがとてもいい。一見ソフトに見えて、なかなか深いものがある。
 未完成の魅力といおうか。短い中にも、作者の鋭い感性が垣間見える。作者は、もっと厳しい批評をというが、決して評価基準を下げているわけではない。いいものはいいのだから。
 いっぺんに長いものを書くのは大変だろうから、連作風に、たとえば「すごいすきやった人」のこととか、二人のシーンを積み重ねて行くとよいだろう。ただ、少しひらがなが多すぎるので、これは気をつけたい。




 アフター・ゼミは、いつもの「ロジエ」。ゲストのタケルくんも目覚めて、しっかりと男らしい瞳を輝かせていた。アフターゼミのあと、さらにガーデンプレイスに赴く。今日は欠席のはずだった忠太郎師が仕事を早く切り上げて駆けつけて来られたので、久しぶりの3次会となり、賑やかに時が過ぎた。


▽▲7月6日分▲▽
本日のテーマ
・自由課題  ストーリー2
出席者:女 5名、男 2名、見学(男)1名
 アシモフ師が所用があり、忠太郎の担当となった。はや7月、今年もめぐりきた「トライの季節」ですねえ。そのせいか長編がめじろおしで、Jさん「ジューシー」、K 君「ポンコツ」、Nさん「誘拐」、Uさん「海をわたる」、Kさん「帰宅しない」と出て、これからも続くだろうからこっちも気合を入れるぞー。題名みんなちぢめたけど、日本語ってヘンでこれでもチャンとした題名になってるねえ。

○自由課題 


1 よこはまこはま
(このネーミングは音の響きがよくて、自我自賛だがいちど使ってみたかった)作品
  「穏やかな川」2稿(ストーリー)

 
 一気はイッキ飲みが嫌いだ。なぜなら数年前に兄がイッキ飲みで死んだからだ。(ここで忠太郎、主人公の名前まで一気はやりすぎだよ)そんな兄思いの弟が墓参りでひとりの美しい女に会う。彼女は小さい男の子を連れていた。話をきくと、なんと女は亡き兄の恋人で少年は忘れ形身だった。もちろんここから始まるのは、ふたりのつねに死者(兄)を意識した恋物語だ、とみなさん思うだろうが、そうではない。
 一気19歳、あずさ29歳、男は女に同情し、女も男を憎からず思い、そうなるとすぐにでもそうなってしまうと思うのは短絡的思考で、作者はキスぐらいかなあと言う。もちろん愛のありようはさまざまで、相手にふれない愛があってもいいけど、この場合は説得力があるかなあ。すぐにそうなってしまう今時の風潮はなげかわしいが、と言ってこらえにこらえた末に、アニキごめん、あなたゴメンとヒシと抱き合う展開もあるわけで、不倫ばやりの世の中に投じた一服の清涼剤ではあった。
 でも、ここまでくると、はじめのイッキ飲みはどう関係があるのと皆さん思うはずで、イッキ飲みは全く必要ありません。良くも悪くも、純情さわやか路線の得意な作者の「愛の寓話」であった。
 「時代劇にしたら」という事務長の意見、「あずさの視点から話をくみなおしたら」と言う見学Kくんの指摘が面白かった。





2 中野N作品「レット・ミー・トライ・アゲイン」4稿(ストーリー)


 ねばり強い、あきらめない、うたれ強いはNさんの美質だ。こだわりにこだわり、今度もストーリーの第4稿だ。
 日米2世の青年が東京にやってくる。彼はジャーナリストで、ある精神科の女医を取材する目的があった。彼は対人恐怖性で、その治療に卓越した技術をもつ女医に興味をもったのだ。そしてもうひとつ、幼いころ彼を捨てて日本に帰った母に強い思慕の情を抱いている。
 こう紹介すると、当然その女医が青年の母親であるとは想像がつくのです。大病院を経営する母親はやりてで、ひとすじなわではいかない女。さあ、晴れて二人の対面なるか、かの名作「瞼の母」のように、母と知りつつお母さんと言えずに去る息子、はたまた息子と知りつつ母と名乗れぬ世のしがらみ、どっちだどっちだとハラハラする話かというと、これが違った。
 作者の混乱はきわまれりで、以後の展開は、女医に復讐しようとするナース、女医に恋焦がれる資産家の息子、さらにインターネツトオタクふうな青年の異父妹まで出てきて、ヤヤこれはギリシャ悲劇風な壮大なドラマかと思わせたり、大病院のお家騒動かと思わせたり、これまたそうとは知らない異父兄妹の禁じられた愛の話かと思わせたり、欲深か贅沢きわまりないのです。
 どれかひとつにしてよという悲鳴もでるわけで、「だったらわたし、対人恐怖症(妹が醜貌恐怖症でもある)をとります」と作者は決然といってくれて、ヤレヤレだった。



さて、両作品からの教訓──「二兎を追ってはいけません」。


 アフターゼミは、めずらしくロジェが満員でルノアールへ。忠太郎は疲労困憊で中座したが、あとでO・Tカップルが駆けつけたもよう。みんなで「いっき」になったのかな。


次回のゼミは  7月20日(土)  です
基礎コース 12:00〜14:00
上級コース 14:00〜17:00

連休中ですが、休みません
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