2002年6月1日(土)

本日のテーマ
・自由課題  ストーリー 2
出席者: 女  4   男  1  ゲスト 1(男)

   今日から6月というのに、まるで真夏の暑さ。だがそれにも負けぬ熱気あふれる ゼミであった。忠太郎師が今回も撮影で来られなかった代りに、先輩でマンガ原作者として活躍中の神崎史土氏がゲストとして特別講義をしてくれた。身近にプロになった先輩の話を聞いて、みんなにも大いに刺激になったと思う。

○自由課題(ストーリー)


1 楢崎作品「レット・ミー・トライ・アゲイン」第3稿



 アメリカ育ちの青年ジャーナリストが、日本の精神科の女医を取材に来る。実は、彼女は青年の生みの親である。女医はやり手で世界にその名をとどろかせている。だがその娘は母親に反抗してインターネットで女医の病院を告発している。母娘の葛藤に実の息子がからむ複雑な人間関係。
 だが、この物語のキイは<対人恐怖症>である。青年もそうだし、少女もその一種の<醜貌恐怖症>にかかっている。こういう視点は楢崎作品の特異なところである。
 だが、この医学がらみの母娘の葛藤と、生みの母と息子の出会いという<瞼の母>的な話と、異父兄妹の愛という3本立ての話は、複雑過ぎるかもしれない。そして、その複雑な人間関係を整理しようとするあまり、逆に謎がなくなってしまっている。面白くなる話だけに、ひとつドカンというものが必要だろう。





2 野竹作品「虚言癖の女」改訂版



 6月から完全復帰という作者は、前回に続いての連続登板。リッキーくんは夫に預けて意欲満々。
 新人刑事が出会った事件は、不倫の男女の心中事件だった。男は死に女が生き残る。女は男の妻との離婚話が進まず心中を持ちかけられたと証言する。だが男の妻の話では、夫婦仲は良く、愛人の女はストーカーだったという。
 本当に心中だったのか。はたまた男の妻の言うことは本当なのか。新人刑事は、二人の女の証言のどちらを信じたらいいのか悩む。果たしてどちらの女がウソをついているのか?
 これからが面白くなるところだが、この先どう進めていいのか悩んでいるという作者に、いろいろな角度からアドバイスする。狂言回しの新人刑事の成長物語でもあるわけで、その方に気をとられると、二人の女の中に深く入って行けなくなる。それが難しいところだ。
 たいていはヒョンなことから真実が暴かれ、新人は一人前の刑事になるというのが常道だが、その「ヒョンなこと」をみつけるのがやっかいなのである。 



〇特別講義


神崎史土「『復活師』について」



 さて、いよいよ本日のメインイベント、神崎氏の登場である。氏は集英社のマンガ原作賞に入選して、「ハイ・ライフ」(講談社)というスノーボートの世界を描いた作品でデビューした。以来、スポーツものを得意としているのだが、今度は医学もの大作に挑み、堂々「マガジン・スペシャル」6月号の巻頭を飾った。
 カナダに行ったときに「レザレクション」という言葉を知り、それに天啓を得て、「復活師」を考えた。医学ものは資料代が大変。手塚治虫の「ブラックジャック」を意識したという。第1回は、膝の靭帯を切ったサッカー選手を3ヵ月後のワールドカップまでに<復活>させるという物語である。
 まず作品をみんなで回覧し、シナリオと設定の資料が配られ、作品作成のプロセスと苦労が語られた。マンガと映像のシナリオの違いについて経験に即したことや、関心の高いギャラについて、また編集部の好みとか、プロならではの微妙な内幕が話され、あっと言う間の1時間半だった。これからも時々は、ゲストを呼ぶことも考えよう。




 終って、いつもの「ロジエ」タイム。ゼミでは聞き足りなかった神崎氏の話を中心に話がはずんだ。また、日テレにギリギリで応募したというK君の達成感のある顔付きが爽やかだった。

次回は6月15日(土)
時間は、14:00〜17:00です
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