○自由課題
1 野原作品「勧誘員の男」(ショートシナリオ)
今や、都会人の最大の問題はゴミの分別収集である。とあるマンションに自分勝手でゴミ収集に非協力的なOLがいた。業を煮やした管理人の対OLウルトラC作戦は…。
発想の面白さはあるものの、いささかまわりくどいという評が大勢だった。住人の噂話からでるのは損だ。新聞勧誘員とOLと管理人の三人に絞って、人物の性格に強弱をつけることが大事という指摘をしっかり受け止めてほしい。
だが、「大きなことを拒否する代わりに小さなことを受け入れる」という心理学の典型的な事例のようだというKさんの感想に一同、なるほどと納得。言い得て妙とはこのことだろう。
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2 小沼作品「ポンコツな時間」(「男の願い」改題第2稿)
前回やったストーリーの改訂版。
3組の人間が、それぞれのどうしようもない時間を過ごして、最後にコンビニで一同に会し、さて…というお話である。
ラストで失速したという前回の意見を踏まえての書き直しだが、うまくいったところと逆に弱くなったところと、バランスを欠いてしまったようでもある。
カップルの関係が面白いが、父と子の関係はウエットになってしまって、そのなかにはらんでいる怖さというものが少々薄れたのではないか。中心は家族の問題だというだけに、父と子の関係をどうチャーミングに描きだすかが課題か。
しかし、このなんともいえないデスペレートな感覚はいい。
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○課題 「レモンティ」
1 黒田作品「真昼の救世主」(ショートシナリオ)
久々に登場のショートシナリオの名人。題名がオーバーなのがいい。
コンビニ弁当にあう飲み物を選んでくれる<コンビニ・ソムリエ>という発想に笑いがとまらない。ばかばかしくて後に残らないものを書きたいという作者の発言には、ただ脱帽するしかない。
ただし、ラストはイマイチだ。もっとシャープなオチを期待していたのだから、はずさないでほしい。。
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もうひとつ、外野作品「絵の具の匂い」があったが、これはちょっと長すぎたのと、第2稿だったので、ゼミではやらないことにした。
きょうは、見学者が1名。なかなか活発な女性で、このところ男性の参加が多かったので、彼女の参加が期待される。そうなれば、わがゼミはますます元気になるだろう。楽しみが増えた。
いつもの「ロジエ」では、外野さんのストーリーについて二人の講師からの集中審議があった。面白い発想なのだが、あれもこれもという感じでドラマの中心が拡散してしまった。主人公も分裂している。何を描きたいのかを今一度立ち止まって考えてみるのがいいのではないかと思う。
作者は大いに不満のようだった。だが、その反発心はなかなかいい。へこたれずにぜひとも作品に発現してもらいたい。
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