○自由課題
1.こはま作品「反射光」
これはストーリーをゼミで検討したもの。こういう形でシナリオが出来上がってくるのは、嬉しい。登校拒否で父親との折り合いも悪い女子高生と、これまた登校拒否の高校教師が、沖縄の島で出会って、そして…。みずみずしいという評価が高かった反面、女子中学生の性意識が問題という声もあった。また、設定のよさとシナリオの言葉とがあっていないというのもあった。珍しいことに、両講師が賛否に分かれてしまった。めったにないことだが、それだけに問題作だということか。だが、設定の面白さは認められた上での話なのだから、それぞれの意見をよく考えて再考してほしい。でも、もうコンクールに応募してしまったのだから、ちょっと遅いか。
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2.山室作品「サンクチュアリ」第2稿
「嵐が丘」を演じる演劇部の二人の女子高生と、ドジな銀行強盗との奇妙な旅のお話。我がゼミでは、テレビではなく映画を考えているという初めてのシナリオ。作者はいつも独特の世界を作り出している。今回もその匂いは横溢しているが、二人の女の濃密な関係の中に男という異物が介入したことで、その関係がどう変わるのか。そのあたりの描き方が足りないようだ。軽く展開しようという意識が勝ちすぎているように思われる。ロシアン・ルーレットの扱いに強い異論がでた。きっとここまでにもって行くプロセスに、ドラマとしての説得力が不足しているからではなかろうか。また、なぜ、二人とも役者ではないのかという疑問もある。映画の脚本としては、もう一つ話が足りないのではないか。
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3.高野作品「セピア」
これは、本日唯一のストーリー。新人らしい初々しい作品である。母親を助けようとして車にはねられた少女と、入院先で知り合った少年との物語。少女はかなり屈折している。母親を助けたからといって母娘の仲がいいわけではなく、折り合いは悪い。少女は初めは少年とうまく付き合えないが、カウンセラーの医師のお陰で心を開くようになる。この医師も屈折している。だが、母のもとに帰りたくない少女は病院を脱走し、少年と逃げる。貨物列車に乗って逃げる、というのがいい。果たして二人はどこまで行くのか。列車に乗ったところでエンドマークだという意見もあったが、それでは惜しい。作者は、シナリオでは、少年との二人の生活から始めたいという。その想いは意表をついていて面白い。もう少しストーリーを深めることになった。
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○課題 なし
阿部君から「システム手帳」のショートシナリオが提出されていたが、本人が欠席なので、次回へ。
終わって、恵比寿ガーデンプレイスに直行。両講師の撮影所時代の同期生鈴木英夫さんがニューヨークから一時帰国したので、一緒にアフターゼミとなった。きょうの出席者の全員が参加。これも珍しい。最初からお酒が入っておいしい食べ物もあって、話は大いに盛り上がり広がったようだ。鈴木さんは、NYの大学で日本映画を教えているので、その資料の収集に帰ってきたのである。あのテロの日、現場近くを歩き回って煙臭くなって帰って来たという体験の持ち主なので、そのあたりの話をいろいろ聞いたのだが、つい旧知の三人での話が中心になって、みんなには伝わらなかったかもしれない。機会があったら、今度はNYの映画・テレビ事情をゼミで話して貰おうと思う。
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