展覧会の紹介

多摩美術大学版画OB24人展 さいとうギャラリー(中央区南1西3、ラ・ガレリア5階)
2002年2月19日(火)〜24日(日)

 多摩美術大学版画OB24人展恒例の版画展もことしで5回目です。91年から一昨年までに卒業した若手が出品しています。全体的には、技法はばらばらですが、わりと抽象が多いようです。
 中塚健太「ある空虚な時間の…」は、見たことのない風景のような不思議な世界。スケール感があります。
 佐竹邦子「風分子-18」は、ベニヤによるリトグラフ。巨大な画面はパワーと運動感に満ちています。自由な黒い線が力のみなもとなのではないかと思います。
 鈴木康は木口木版。「珊瑚」など、人物の配置がうまい。「カメレオン」など、めずらしく色を使った作品もあります。
 西野恵「最下層」のシリーズは、エッチング、ドライポイントなどの技法を適宜用いています。人と虫が結合したような、なんとも奇妙なモティーフ。背景は白くとんでいます。
 馬場満「金魚とP.P.D.」。魚群がびっしりと空間を埋め尽くすさまはどこか漫画的ですが、筆者にはどうも、砂漠を爆撃する航空機の編隊のように見えてしまうのです。
 西岡久實は「take space」などの木版作品で、色の重なり合いによる美しさを追求しているようです。
 この展覧会の生みの親的存在の、渡邊慶子さん(札幌)は、「来年は、会場で実演をやってもらうつもり」と話していました。
 ともあれ、道外の新進版画家の作品がたくさん見られる場として、貴重な展覧会といえそうです。

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