展覧会の紹介

自由美術2001北海道グループ展 札幌時計台ギャラリーA・B室
(中央区北1西3)
8月27日(月)〜9月1日(土)


 自由美術協会は、1937年、前衛画家が集まって結成された全国公募展です。
 その当時は自由美術家協会と称したそうです。
 戦争中は改名を余儀なくされるなどしました。戦後は、モダンアート協会、次いで主体美術協会と分離し、現在にいたっています。
 今回の展覧会には、道内在住の14人が1、2点ずつ出品しています。だれが会員で、だれが一般出品かを、とくに札などに記さないあたりは、自由美術の伝統ですね。

 目立つのは、フォルムの判然としない、茫漠とした抽象画です。
 赤がまばゆいベテラン佐々木美枝子さん(札幌)、比志恵司さん(夕張)、北海道の農村を空中撮影したようなパッチワーク模様の北島裕子さん(千歳)などです。
 これまでピンク系が多かった佐藤泰子さん(札幌)は、珍しく抹茶色のような地に塗った作品を出しています。強い光を見た後目を閉じたときに瞼に見える模様のような、あるいは桜の花びらを拡大したような画面は、おそろしく短い一瞬のようすを固着することによって、反対にはるかな時間の流れのようなものを感じさせます。

 もうひとつ目立つ系統は、何らかの形で、現実社会への違和感を訴えるものです(あいまいな言い方ですが)。
 代表的なのは深谷栄樹さん(釧路)。しゃれこうべを描いた「作品21」の連作には「アウシュビッツ」というドイツ語の単語が見えます。
 佐々木俊二さん(室蘭)や森山誠さん(札幌)の作品に登場する人物も、もうかなり崩壊が始まっている物体のような感覚で描かれています。
 黒田孝さん(伊達)は、空中に浮かぶ岩のような物体から、石造りの塔のような物体にモティーフは変わりましたが、依然として冷ややかな不安感を漂わせています。

 ほかに大崎和夫(十勝管内新得町)、川森巧、工藤牧子、山本昇、吉川孝(以上札幌)の各氏も出品しています。
 高橋靖子さん(江別)については9月1日から、ホテルDORAL(札幌市中央区北4西17)で個展が始まりますので、その際に述べたほうが良さそうです。

 そういえば、自由美術協会には彫刻部もあるはずなんだけど、どうしたんだろう。