「 KOTO?」「12TAKA!」
 初めて、独りで
お金を使ったら…

■その12
 【バングラデシュ・レポート】

  
        
   バングラにちょっと慣れた頃1qほどのところにあるマーケット通りに新婦と妻がバングラの民族衣装をあつらえに行ってしまいました。私も行きたかったのにおいてきぼりをくってしまいました。そこで勇気を出して、独りで出かけることにしました。お金を使ってみたかったのと、お金を使うときの言葉を使ってみたかったからです。それともう一つ、バングラデシュの詳しい地図を手に入れたかったのです。
 
 なぜって日本でみたバングラデシュの地図はインドの隣にあるだけのバングラデシュなんです。わかりますか、この感じが。首都ダッカしかわからない地図なんです。その程度なのです、日本で見る地図は。自分のいる場所と移動していったウットラと言う田舎町の距離ぐらい知りたいですもの。自分の移動を地図の上でなぞりたいですよね。
 「RIKISYA」に乗っていきたかったのですが、怖くて乗れなかったのです。行きは…。この「RIKISYA」は 「力車」で「人力車」のことなのです。日本人が持ち込んだと聞きました。私が小学生の頃に、どぶ板通りでアメリカの水兵とパンパン(街娼=これはもう死語です)を乗せてよく走っていたのを見ていました。乗ったことはありません。自転車の後ろが二輪なのです。だいたいマーケットから新郎兄の家まで4〜5TAKAでいいと聞いていました。

 CDカメラを持って歩きながらの独りでのお出かけでした。目が合います。キュートな挨拶が交わされます。CDカメラを向けると人が集まってきます。「見せてくれ!」「撮ってくれ!」の人だかりです。もっとも日本でもCDカメラを持ち歩いて撮ってその場で見せてあげると「へー」と言う状態ですから(これは、つい最近中央のモアーズのある店で店員さんを撮ったことから、そう感じています。)日本の最先端にある技術に関心をよせるのは当たり前でしょう。私だってバングラに行くために1月に買ったのですから。

  マーケットで本屋が見つかりました。
「KOTO?(いくらですか?)」地図を指さして使いたかったバングラ語を使ってみました。「12TAKA。」 ピンで下げていた地図が切れています。でも英語で書いてある手頃な地図だったので、「 I WANT THIS MAP. BUT THIS MAP IS BROKEN,  IWANT NEW  ONE.」と今度は英語で言います。店長が新しいのを探しましたがないと言います。「じゃ、それでいいからください。」そして改めて私、
 「KOTO?」 
店長
 「12TAKA」
私、「UNBLIEVABLE!THIS MAP IS BROKEN, KOTO?」とはっきり言いました。
すると店長、セロテープで切れた部分を張り付けて、
 「12TAKA」
私、
「NO、10TAKA」
店長。
「DON'T MAIND!」
 なにがDONT MAIND だ。切れてるのをセロテープで貼って元値じゃねえよ? 
 この声高なやりとりを周りの人がにやにやして聞いています。
「切れてるじゃん!いらないよ。」と日本語で言いました。
「OK, 10TAKA」店長が折れました。
すごいことです。このバングラデシュで2TAKAもまけさせてしまったのです。
 帰ってからバングラデシュのみんなに誉められました。やったね、です。

 帰りはRIKISYAに乗ってみました。家まで帰れるか心配です。でも車主は私がどこにいるのか知っていました。なにせ初めての日本人ですから、狭い町のこと。私たちのことは知れ渡っていることがわかります。
「BANBIKE=右に曲がれ」
DANDYIKE=左へ曲がれ」と一応、言って
みました。覚えた言葉を使いたいではないですか。降りるときのことです。5TAKA出したら、車主は手を引っ込めません。もう1TAKAくれと言うんです。4TAKAでいいところ5TAKAだしてんだからいいじゃねえかよ、と腹の中はそういっています。でも、相手の粘りに負けて、1TAKA紙幣を出しました。汚ねえ紙幣です。汚いではありません。
「汚ねえ」です。数字が真っ黒で見えないのですから。

 初めての独りでのお買い物は、1TAKAの得をして裕君の勝ちでした。

KEN

    


   素敵な少女が声をかけてくれました。
   さっそく写真を撮らせてもらいました。
     ちょっと硬い表情で緊張…。
  


   少女の足下を見ると一人は裸足でした。
 釘などは落ちている道路ではありませんが…




大きなアルミニュームのお皿に、スパイシィで
素敵な香りのするカレーが山盛です。奥にはた
っぷりと白いご飯が用意されています。お昼時
の光景です。
 

 

 私の記憶では、小学生の時にこのような大八車
に荷を積んで道路を行き来していたのですが、こ
れは、少し粗末な感じがしました。