桜と一年生

 桜並木の歩道を黄色い帽子をかぶった一年生が、登校していきます。手をつないで、それも大きく振って…。顔には満面の笑みをたたえています。
 
 黄色い帽子は、一年生の証です。
私の時代の一年生は学生帽に大きな草履袋入れでした。胸には、日本手ぬぐいを折り畳んで名前を墨で書き込んで…。どうしてああいうスタイルだったのでしょうか。
 
 中学一年生の時に兵舎だった校舎の周りにとても立派な桜の木がたくさんありました。花びらは、雪のように積もります。その花びらを学生帽の中にいっぱい詰め込んで、かぶり教室に入っていきました。授業が始まってもかぶっていました。先生が来て「教室で帽子をかぶっていてはいけません。取りなさい!」
 
 私は、帽子を取りました。床の上にいっぱいの桜の花びらが散らばりました。先生は、笑顔を見せて、一緒に掃いてくれました。


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