鎮魂頌/ALI PROJECT
イ)愛する者を
守りぬくため 僕らは命を 投げ出せるだろうか ロ)この手に握る 平和という名の 剣をかざして 戦うのだろうか ハ)生まれくる前の我 それは今ここに 眠る英霊か ニ)真白き鳩が 舞い降りるたび さわぐ梢の間 真昼の月 ホ)迷える小径 たどりついた地で 遠い兄のような 声を聞く ああ君 我の代わり生きよと |
へ)頭を垂れて 祈りつづける 老いし人の背に ゆらいだ陽炎 ト)終わりなき悲しみを 包み抱くのは 誰が眼差しか チ)蝉時雨だけが 降り注ぐ日の まばゆい空の 青さが染みる リ)さまよう心 呼び戻した地に 優しい姉のような 唄を聞く ああ君 死にたもうことなかれと |
ヌ)真白き鳩が 飛び立ってゆく 翼の先の 光に向かい ル)忘れることなき 涙の川の 果てない流れを 人は渡り ヲ)生きる果敢なさ |
イ) 愛する人のために、命を捨てることができますか? ロ) "平和を守るため"に戦うことが、できますか? ハ) 今の君は、そんなふうに死んでいった人の、生まれ変わりであるかもしれないのです。 一度でも、そんな風に思ってみてください。 ニ) その地には白い鳩しか舞い降りず、あたかもそれは、眠る魂の化身のようです。 揺れる梢の向こうには、真昼の白い月がかかり、静寂があたりを包み込んでいます。 ホ)「迷える小径」…"この地で会おう"と言って散っていった命が、辿った道のこと。 あるいは、現世を生きる君の、人生の迷い道のこと。 「たどりついた地」…靖国の地。 「遠い兄のような声」…兄のように。あるいは前世で兄だった人の、力強く響く、英霊の声です。 「ああ君 我の代わり生きよ」…どうか僕の代わりに生きてくださいと云うその声が届きますか? へ) 終戦60年。戦争知るのは今や老いし人ばかりです。その方々の話に耳を傾けましょう。 ト) その方を見守るのは、ご子息、ご兄弟、あるいは共に戦った友の、御霊でしょうか。 そこに在るのは悲しみばかりではなく、先人を敬う、尊い想いも寄り添っています。 チ) 終戦の日は、雲一つない青空だったといいます。その日、人々はどんな思いで、その青さを仰ぎ見たのでしょうか。 暑い夏の盛りのなかで、今年もまたその日がやってきます。 リ)「さまよう心」…死んでいった人たちの魂。あるいは、現世を生きる君の、行き場のない心。 「呼び戻した地に」…靖国の地。 「優しい姉のような唄」…姉のように優しく囁きかける、君を見守る英霊の声。 「君 死にたもうことなかれ」…今の時代、容易く自ら命を絶つことを考える若者に伝える言葉です。 (ああ与謝野晶子が戦中の弟に送った言葉に比べると、なんと希薄な空しい響きになることでしょう) ヌ) それでも、翼の先には希望があり、 ル) 忘れてはならない記憶を人は抱えながらも前を、未來を見つめ、 ヲ) どんな時代であろうと、人々は生きる意味・意義を見いだす。 ワ) どうか、みなさん、おのれのために日本のために、誇りを持ち、強く生きてください。 |