『ダークホルムの闇の君』
著者 ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
訳 浅羽莢子
出版社 創元推理文庫
舞台は魔法が日常的にある世界、そんな世界に魔法のない
世界から事業家チェズニー氏が斡旋して観光団がずいぶん
昔からやってきています。魔法の世界は荒れ果て、住民は
困っています。そこで闇の君に選ばれたのが、魔術師ダー
ク。ここから物語が始まります。
わたしは一度だけディズニーランドに行ったけど、あまり
好きになれませんでした。塩素の匂いがする池に、虫食い
の跡一つない樹木。すべてが人工的なのですね。私には池
には鯉が餌をくれと言い、ぼうふらがわき、虫食いの跡が
あるほどほどの自然が好きです。ディズニーランドが場所
を限定してのものだからいいけど、住んでいるところ全部
が観光地になったら住民はとても迷惑します。
個性溢れるダークと妻と子供たち(グリフィンも含む)が、
そんな状況の中どうするかが見物です。彼らが努力して奮
闘する姿が、わたし達読者にすんなりと感情移入すること
ができます。そしてすべての観光団の親元事業家テェニズ
ー氏に悪感情を抱くところは作者の物語を作るのが上手で
すね。そしてラストはネタバレになるので詳しい説明はで
きませんが、やったやったと快哉をあげ、カタルシスを経
験します。
物語を作る上で、お約束というか、質のよいエンターティ
メント作品です。
P.S 私の作っているサイトドルフィン通信にこの文章
を4月に載せます。