【 もうひとつの宇宙 】
屋根裏部屋におばけがいる、と信じ込んでいた幼いころ
夜空を見上げながら「今夜の星は随分大きくまたたいているなあ」と思ってい ると、星ぼしの間からかすかな光りが影のように目をひきとめました。
それはまるで青い瞳が涙をいっぱい浮かべながら
揺れているようにみえました。
瞬間、私はその光りに心を奪われてしまいました。
すこしでも目を離すと見失ってしまいそうな、
その光りの影を私はまばたきもせず
いつまでも、 いつまでもつめていました。
それ以来あの星を見つけることは二度とありませんでした。
でも、私の心には小さな宇宙が生まれました。
星ひとつぶの宇宙
それは私の感動、私の想像、私の表現。 そしてそれは私の記憶。
|