「メイク・ア・ウイッシュ」を授業するときの注意点
| 2000年秋,向山洋一氏の「Make
A Wish」の授業を知った。「ジュニアボランティア教育40号」の特集を読んで, ぜひ中学生でも追 試したいと思ったのだ。いやむしろ受験をひかえた中三の生徒にこそ授業したい、するべきだと思った。さっそく騒人社の「かんどうボランティア・ブックス」を購入した。後はいよいよ授業をするだけである。 しかし気になる点が一つだけあった。私が持っている資料だけで最も正確に追試できそうなのは,山口県の河田孝文先生の授業であった。 |
ところが最後の方にこうあった。
| 残された二十分で,もう一冊の絵本「しょうちゃんの夢のバス」を 読み聞かせた。 ?? |
小学校で残り二十分ということは,中学校では二十五分残る? 「残り25分をいったいどうすればいいのだ!」 「Make A Wish」に限らず,セミナーで行われる模擬授業は授業時間よりもはるかに短い時間で行われている。限られた時間で絞りにしぼった言葉でエッセンスを抽出するからだ。
| だから実際に授業にかけるときは,時間を考えて再構成するべきなのだ。 |
| 失敗の記録 |
実はこれは失敗の実践の記録である。時間が余りそうだと予想はしていた。しかし私は簡単にこう思い込んでいたのである。 これは授業の達人がやったから25分だったのだ。未熟な私がやるならもっと時間がかかるに違いない。 そして追加した内容はただ一つ。「Make A Wish」の言葉と「Make A Wish」の英文ページを訳させるだけであった。特に必要なことかどうかもわからなかった。ただ中三の二学期なんだからこのくらいは訳 せるんじゃないかと思いついただけだった。しかし予想に反して意外なほど生徒は訳せなかったため,すぐに日本語のページを配ってしまった。そして本当に20分以上余ってしまった。
| 「Make A Wish」をどう50分でやったか |
さぁ、困った。中三のこのクラスは2年間持ち上がりで国語を持っていたクラスだ。せっかく生徒の反応も良く感動しているのに,「じゃ,国語の授業しようか。」とは言い出せなかった。そこでなぜこのクラスで「Make
A Wish」をしたかったのかを思い出した。
それは,
| @
無理だと思う夢でも持ち続けていくことが生き甲斐になること A あきらめ ないで努力をすると叶うようになること |
であった。受験まではまだ三ヶ月以上100日ほどあることも思い出 した。追加した内容は以下の通りである。
| @いろいろなボランティア A成長曲線の話 B「電波少年坂本ちゃん」の話 |
@は高校生,大学生になったら人の役に立つことをしてみたいという感想を書いていた生徒がいたので,具体的にどんなボランティアがあるか紹介したのだ。
Aは努力と成長の関係である。 Aは努力と成長の関係である。受験生活まっただ中の生徒たちにぜひ知ってほしいと思ったからだ。努力をしても結果が出ないと悩んでいる生徒に「とにかく100回,100日続けてみることだ」と伝えた かった。生徒たちは本当に真剣に聞いていた。
Bは当時の人気番組のコーナーの話である。高校中退のお笑い芸人が 東大合格を目指すという企画であった。そのときこのコーナーはすでに90日を過ぎており、坂本ちゃんの成績も急上昇中だったので説得力があった。
| しかし後半の話の方がインパクトが強く,結果として「Make A Wish」の授業の印象が薄れてしまったのではないかと感じた。このことから追試する場合は,時間に合わせてねらいが達成できるよう再構成するよう注意すべきだということがわかった。 |