生徒が夢中になる辞書引き競争

はじめに

一年生一学期国語辞書の引き方を指導する。引き方がわかっても億劫がる生徒は多い。
なんとか億劫がらず辞書を引くようにならないものか。そこでゲーム感覚でできる辞書引き競争を考えてみた。
尚これは以前教科担任をした一年生が、休み時間に辞書を使って競争して遊んでいた方法をヒントにしたものである。

授業の様子とルール

教師の指示した語句を一斉に辞書で引き、見つかったらを挙手をする。早い順にポイントをつける。
学習班の中の生徒は一人ずつ順番に試合に出場する。卓球や剣道などの団体戦のイメージである。
試合に出ていない生徒も辞書を引いてかまわないが、挙手することはできない。言葉が見つかったら
ポストイットを張っておく。進出語句が20あっても5周すれば終わりなので、15分もかからない。

今日は、辞書引き競争をやります。学習班になりなさい。

学習班は四人にしてある。1クラス9班構成。机を横にしてくっつける。

黒板に、1位5点、2位4点・・・5位1点と板書する。

班の四人のメンバーが一人ずつ順番に出場する。一回に出場するのは各班から一人ずつ計9人である。
その中で1位から5位までに入賞するとポイントを得る。

今日は、昨日寝た時刻が一番遅い人が、記録係です。
班内で、寝た時刻を教え合って決めます。

身長が高い人、兄弟の多い人、誕生月の早い人など、人間関係作りになるものを言う。
プライバシーに関わることは、配慮する。

机の上は、辞書とポストイットだけを残して片づけなさい。ただし記録係は点数を記録する筆記具とメモ用紙を用意しなさい。今日の順番は、○○くんの席の人から時計回りです。

記録係を氏名にし、スタート位置を人間関係作りになるものにしてもよい。教科書はしまわせる。
発問の前に調べるというずるをさせないためである。

では一回戦です。一番目の人用意。3、2、1「夢中」夢と中という漢字です。

口頭でわかりづらいものは、板書する。厳密さを求めるクラスには、「両手は頭からスタート」と指示する。

1位、2位、3位、4位、5位。・・・惜しい6位、7位・・・

挙手した順に指を指しながら言っていく。顔を上げないと自分の順位がわからなくなるので注意させる。
班の他の生徒が確認してやるとよい。

記録係は得点をメモしなさい。

辞書を忘れた生徒は、同じ班の友だちから借りて出場させる。ただし自分の辞書ではないので、ポストイットは
はれない。しばらくすると全員持ってくるようになる。ならない場合は次の手へ。

では二回戦です。二番目の人用意。3、2、1・・・

同様に繰り返していく。3〜4周くらいが適当。生徒はもの足りず、もっと引きたがるようになるからだ。
その場合は延長戦として、教科書から離れた語句などを問題に出している。

これで終わりです。記録係は班の合計得点を計算して黒板に書きなさい。

黒板のすみに1班から9班と書いておく。各班の記録係が累計を計算して記録しておく。
生徒たちはとくに発表しなくても、書いているときに「○班強いな。」とか「△班全然ダメだ。」と言っている。
このポイントは平常点に組み込んでもよいし、組み込まなくてもいいだろう。

最後の授業で「国語の授業で楽しかったこと、つらかったこと」「新入生に国語の授業を紹介する」という作文を
書いて貰ったところ、一番学力的には低いMくんは次のように書いてくれた。


「1年間の国語の授業で楽しかったのは、辞書引きです。先生が言った言葉を辞書で引いて、
順位をつけていくのが楽しかったです。」

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