CD批評コーナーVol.9

 ※コメントは客観的というよりかなり主観的ですがご了承ください。 

Pascal Machalani"Ma Fi Noum"
意地悪顔というあだ名がすっかり定着?した感のあるパスカル。このアルバムは過去のヒット曲をリミックスしたベスト+新曲となっています。このアルバムかなりいいです。もともとパスカルのヒット曲というのは名曲が多くアラブポップスファンならう〜ん、いい!と思える曲ばかりなのですが、それが詰まっている上、リミックスされているのです。リミックスといってもクラブ度はそんなに強すぎずせつな系の女王パスカルの良さが失われていない。とにかくいいのです。パスカルのCDは買ったことがないわという方にも超おすすめ。どの曲もヒット曲なだけあってお勧めなのですが、しいてあげればせつな度全開の2曲目(Gara Eh)、シャンプーのCMがなつかしい4曲目(Nashftely Dammy)、のりのいい4曲目(DagDig)、永遠の名曲8曲目(Nour Elshams)などなどあげればきりがない!とにかく私的には最近の中では一番買って良かった!と思えたCDでした。3曲目のMa Fe Noumは新曲ですが、ダニアが歌いそうな曲調。日本でもありそうな曲です。ちょっとなつかしめなのがいい感じ。やっぱりチャカポコという人は5曲目(Talab Eede)をどうぞ。

Ragheb Alamah "Tab Leh"
アムルとならぶトップシンガー、ラーギブ。今回のアルバムも期待されましたが、私的にはすっかり肩透かしをくらったという感じです。前回はアムルを意識したスパニッシュ&クラブっぽい曲調が多かったのですが、今回はなぜかエジ度最高潮。ジャケットのビジュアルとかなりギャップがあります。ラーギブらしい曲が全然ありませんでした。がっかりです。大ヒット中のタイトル曲(Tab Leh)もバリバリエジプト方言で歌い確かにエジプト人にはすごく受けそうな曲なのですが、ラーギブにはあわないというか。。。つまりラーギブがヒシャーム・アッバースになっちゃったような感じなのです!このアルバムを聞いていて何度もヒシャームかと錯覚したほど。2曲目(Yerkhas Elghali)、7曲目(Laialena El Qadema)で唯一ラーギブさが少し出ていますが、6曲目(Ahebik)なんてまるでイハーブ・タウフィーク。チャカポコももちろん数曲あるのでエジポップファン(アムル系以外の曲が好きな方)はかなり満足されるかと思います。でもラーギブ、レバノンのファンを忘れてしまったのか!という叫びも聞こえてきそうです。

Rashid Al-Majid "Meshkalny"
初登場のサウジ出身のラーシッド。前作のウェーリーあたりから湾岸一辺倒から抜け出して万人受けする曲をリリースし、すっかりアラブ全国区になりました。このニューアルバムのタイトル曲、Meshkalnyも大ヒット。湾岸歌手は湾岸以外では全く知られていなかったり人気がなかったりしがちなのですが、エジやレバノンなんかでも受ける曲にすると途端に売れ出したりするのです。というわけで私もかなり期待してこのアルバムを聞いてみたのですが、やられました…シングルカットの曲以外はみごとに全部ピュア湾岸!なのです。ええっそんな…といったかんじ。これが湾岸歌手の手法なのか。シングルカットは幅広く受け入れられるように湾岸度をおさえて、でもアルバムを購入するのは湾岸人だからそれ以外の曲は湾岸人に受けるように全部湾岸調にするという。う〜ん、最近はそういう手法が流行っているのか。まあ、湾岸調といってもわりとミディアムスローからミディアムテンポの曲が多く聴かせる感じです。特にこれといった曲はありませんでしたが、しいてあげれば8曲目(Minhu)は湾岸せつな系。ちなみにMeshkalnyの作曲は名鑑でも紹介されているHussain AlJasmi。彼はいい歌作りますね。。
Assi El Hilani "Al Qarar"
男性歌手のCD批評が少ないということで今回は男性中心でピックアップしてみましたが、期待を裏切られてばかり。今度こそはと聴いたアースィーのCDでしたが、またもや裏切られてしまった?結論から言うと前作のほうが全然よかった!今回のできはちょっとイマイチ。シングルカットのWa In Kan Alayaはちゃかぽこ+クラブ風。今年はエジ路線でいく歌手が多いけどそれが流行ってるのか?途中ではいる英語の掛け合い。グレース・ディヤブと書いてあるが、アムルの妹?なわけないですよね。2曲目のHabibiはアースィーらしい一曲。ところでアースィーというのは芸名なのですが、どうしてアースィーと名付けたか知ってますか?アースィーというのはアラビア語で冷酷な、非情なという意味があって、お父さんに猛反対されても歌手への道をあきらめなかった、そんな絶対に押しとおす頑固なところからアースィーと芸名をつけたそうです。7曲目のタイトル曲(Al Qarar)は異常に前奏が長いピュアレバニーズソング。10曲目(Youm Youmain)はちょっと懐かしい&せつな系な感じ。ラーギブが歌いそう。全体的に無難といえば無難ですが、アースィーならもっと上のレベルを期待したいものです。