Essay

まるとの出会い

私とまるが出会ったのは忘れもしない98年の7月。大学を卒業して日本に帰る前にオマーンに立ち寄ったのですが、犬を飼う予定なんてまったくなかったんです。今まで飼いたいと両親に訴えたことはありますが、父は犬好きでも母が犬が大嫌いで絶対にだめといわれていましたし、私自身も犬を飼ったことがなかったせいか犬好きというよりはどちらかというとかわいいねとひとなでして終わってしまうようなタイプだったので自分できちんと世話をする自信がなかったというのも本音です。

オマーンに行ったのは5回目でしたからいつもどおり行くところがないのでショッピングセンターが集まっているQurum地区に行き、サブコセンターというベネトンやクーカイ入っているショッピングセンターに向かったのでした。その中にペットショップがあるのですがそこでかわいい子犬3匹を発見したのです。ケージの中に指を入れるとペロペロなめてもうすごく愛らしいんです。そこに1時間以上いたでしょうか。お店の人がだっこしてみる?というのでだっこしてみたらほんと小さくて軽いんですよ。1匹100リヤル(3万6千円くらい)とのことでした。次の日もその次の日も見に行きました。お店の人も私のことを覚えていて買ったらいいのに!というんですが、でも生き物を飼うと言う事はずーっと面倒を見ることですし責任もあります。かわいいだけで買ってはいけないかな。しかも日本にどうやって連れて帰るか、連れて帰って母は何というだろうかそういうたくさんの問題があったので踏み切れなかったんです。

5日目くらいに3匹のうちの一番かわいい1匹が売れてしまったんです。それからです。あせりだしたのは。イスラム国と言ってもヨーロッパ人とかいますからけっこう売れるのが早いんです。又ペットショップ自体も2件くらいしかありませんから。それで友人に相談したんです。そしたら友人はそんなかわいいだけで買ったってうまくいかないよ、ちゃんと世話できるの?っていったんです。やっぱりそうかなと私も思ったのですがとりあえず犬を見てもらったんです。そしたらかわいい!これは絶対買ったほうがいい!よし買っちゃおうといいだして私より買う気まんまんではありませんか!そして結局出会ってから1週間目に2番目にかわいくてとても元気な子犬を買ったのです。値段はまけてもらって80リヤル(3万円くらい)でした。犬の登録があるので名前をどうすると聞かれてそんな急に言われても…でも今すぐに決めなくてはならないというのでまるっこかったのでまるというなんともひねりもなにもないありきたりな純日本風の名前にしたのでした。最初まるはA.コッカースパニエルだとお店の人が言ってたのですが、あとでジャパニーズスピッツとのミックスだとわかりました。どうりであまり毛がくるくるしてないしのびてないわけです。

まるはちょこちょこ動いてほんとうにかわいかったです。今ではその面影もありませんが(笑)クローゼットの中で寝かせていたのですが、夜泣きをしてそのときはほんとつらくて赤ん坊の母親の気分でした。まるはオマーンの友人たちもみんな気に入ってよく遊んでくれました。一番厄介だったのはトイレのしつけ。おしっこシートがなかったので外でさせるようにしつけていたのですが外が50度近くで暑いので外に出たがらないんです!結局トイレのしつけに失敗してもうすぐ3歳と言うのにいまだにたれながしです。でもまると出会ったことがほんとうに私の人生を変えました。日本に連れて行ったときのこと、両親とのご対面はまた次回に…