.あなたにとって、数とは何ですか?
―― 計算を行うための無機質な符号?測定や記録をするための客観的な道具?
ことばとしての数(数詞)は、無味乾燥の存在ではありません。ある文化にとって「7」は幸運数であるのに対し、別の文化では縁起があまり良くない数であったりします。また、数の表す音や形によって、私達は知らず知らずのうちに数に対するイメージを操作されています。例えば、日本語話者は数詞の8
eightに接する時、「八」を目にした時と「8」や「[」を目にした時では異なるイメージを抱きます。また「はち」「や」「エイト」といった読み方をすることで、多様な意味を感じ取っています。
言葉としての数は、多くの“まやかし”も生みます。例えば、大嘘つきのことを「嘘八百」と言いますが、「嘘九百」や「嘘一千」と言うのは間違いなのでしょうか?「千の風になって」の曲は、「百の風になって」や「万の風」だったらこれほどヒットしたでしょうか?降水確率が30%ではなく「3割」と言われたら、あなたは傘を持って出かけますか?そして、アイドルのウエストは59でも57でもなく、58センチが黄金値だという理由は何なのでしょうか?
私達は、数詞に数値以上の多様な意味を見出し、知らず知らずのうちにそれに操作されています。本書では、このような音・文字・形といった数の標示方法を考察しながら、我々が無意識のうちに影響を受けている、数のサブリミナル効果を探ります。