◆この本では、ことばの意外な一面<特に数え方で切り取ったもの>を、数え方ダコを持つ私が体験した様々なエピソードを中心にご紹介しています。自分が子供の頃どんなものに興味があったのか、どんな学生時代を過ごしたのか、そして『数え方の辞典』を出版するに至ったのか、そんなことを振り返るたび、気が付けばその傍らにはいつもそこにものの数え方があったように思います。
◆タイトルの「ひとしお」は、「感慨もひとしお」とか「喜びもひとしお」の「ひとしお」のことを指します。 「ひとしお」は「1(ひと)」と「しお」から成る数え方。調べてみると、これは飛鳥時代以前から日本に伝わる、布を藍で染める工程に由来しているそうなのです。「しお(しほ)」は漢字で「入」と書き、染料に木綿布や麻布を浸し入れる回数を表します。つまり、藍の染料に布を一回くぐらせることを「一入(ひとしお)」と言ったのです。昔の人は、人が喜びや感慨に浸ることを、藍色の美しさがより深くなっていく様子になぞらえていたのですね。(「はじめに」より抜粋)