第22回 ホームステイで
カナリアの食と生活を体感

スペイン・カナリア諸島(その2)

 前回は北欧からアフリカ近くにあるスペイン・カナリア諸島へと飛んだお話をしました。
今回は「食」と「家族」を中心にカナリアを見聞してみようと思います。

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カナリアでのホームステイ
 無事に空港でキャロリーナさんと5年ぶりの再会を果たし、私はLas Palmas市内にある彼女のアパートにお世話になることになりました。部屋は日本のアパートとは全く違い、一人暮しでも3DKの広々とした所なので、私一人が増えても全然構わないといった感じ。すっかり彼女の好意に甘えさせてもらいました。

どこか懐かしい食べ物

 カナリアでは日本でも馴染みのある食事を食べました。例えば,ふかしたジャガイモとツナを混ぜて衣を付けて揚げたクリケットは,食べてみると日本のコロッケにそっくり。おそらくクリケットとコロッケは密接な関係があるのでしょう。クリケットは,ナゲット程度の大きさでソースはかけずに食べます。アボカドサラダも定番。ツナとトマト,オリーブの実も入れて,酢と塩をかけて頂きます。「日本ではアボカドをマグロの刺身の代わりとして醤油を付けて食べる」と言ったら「え?これを魚の代わりに食べる?」とすごく変な顔をされました。お菓子では,フランという,どう見ても日本のカスタードプリンそっくりなものがあり,レモンの皮を入れて香りをつけたりします。飲み物の定番はシャンティと呼ばれる,7-up(セブンアップ:緑のボトルのジンジャーエールのような清涼飲料水)をカナリアのビールTropicalで割ったもの。ほんのり甘く,アルコール度も低いので,子供でもOKですし,仕事やドライブの途中でも飲むことができます上の写真:手前ではスパニッシュオムレツを焼いていて、その奥にはクロケット、そしてアボカドサラダ。味付けは塩とオリーブオイルが基本。

カナリアの母に料理を習う
 キャロリーナさんの実家でカナリアの家庭料理の作り方を教えてもらうことになりました。カナリアでは「mojo(モホ)」と呼ばれる独特のソースを作り,それをゆでたジャガイモにかけたり,スパニッシュオムレツに添えたりします。これさえあればすぐにカナリアでの味が再現できるので、レシピを紹介します。少しスパイシーですが、辛くはなく、サラッとしたサウザンアイランドのような風味で、食卓の良いアクセントになります。

MOJO: モホの作り方】 300ml程度(食事約3回分) 

材  料

分  量

作  り  方

garlic

ニンニク

5片
1. ニンニク・塩・cominosを木製のポット(写真)に入れて細かくつぶす

salt

一つまみ

cominos

香辛料

少々

paprika

パプリカ

少々
2. パプリカを1.に入れ、混ぜる

olive oil

オリーブオイル

1カップ
3. オリーブオイルと酢を2.に入れ、更に混ぜる

vinegar

大さじ3

red bell pepper

赤ピーマン

中1個
4. 赤ピーマンを滑らかになるまでミキサーにかけ、3.に入れて全体が馴染むまでよく混ぜる

特産品はバナナ
  カナリアの特産品として有名なのがバナナ。島のあらゆる所でバナナを栽培しているビニールハウスを見かけました。日本ではエクアドルやフィリピンから輸入するバナナが主流ですが,カナリアのバナナはヨーロッパの多くの国に出荷しているということです。カナリアのバナナは,日本で馴染んでいるものよりも小ぶりで,実の皮が厚く,皮をむくと,中からねっとり,ほっこりした濃い甘味の実が出てきます。これをそのまま食べてももちろん美味しいですが,バターでソテーしたり,衣を付けて揚げ(ベニエ)ても風味が楽しめます。最近の市場では,より大ぶりな品種に取って代わられている傾向があるそうですが,伝統的なバナナ品種を守る運動も出てきているということです。
 私達もたまたまドライブしている途中,バナナの出荷場に立ち寄りました。「日本から来た」と言うと彼らは喜んで,「これを土産にしなさい」と言って,出荷途中に出た余分なバナナをスーパーの袋2つ分もくれました。もちろん日本に持ち帰ることはできませんでしたが,おやつとして滞在中に楽しみました。 
写真:巨大な房になっている青いバナナの実を小分けにして(a hand of banana)、ブランドのシールを貼って箱詰めする作業

 

豊かな漁場本格的な日本食も

 カナリアは潮の流れの影響で多種の魚介類が豊富に獲れる場所です。また漁をするだけではなく日本に出荷するための魚を養殖する場所も海岸沿いに多数あり,日本の水産会社の船も頻繁に寄港するそうです。そのために市内には意外にも日本料理屋が何件もあり,新鮮な刺身や鍋料理が食べられるのです。カナリアでの最後の夜はキャロリーナさんの友人達を連れて日本料理を食べることにしました。彼らは中華料理は食べたことがあっても日本料理は初めて。箸の使い方はもちろん,出てくる料理全てに興味深々。スペイン人は刺身も海苔も食べられますが,意外にもアンコはダメだったようです。(豆が甘いのが苦手らしい)そこは日本人が経営する店ということもあり,想像以上に本格的な和食を食べることができました。お客さんも日本人の水産関係の人ばかりで,「日本から単身観光に来るなんて珍しいですね」と声をかけられたりしました。まだ日本からカナリアへのツアーはほとんど無いそうです。

カナリアでも日本の大相撲は人気!
 キャロリーナさんの実家は車で10分足らずの所にあるので、よく食事をご一緒するためにお邪魔しました。そこにはお父さん、お母さん、お祖母さんがいて、彼らはほとんど英語は話せません。そして異国から来た私に対してとてもシャイでした。私もスペイン語は全くダメなので、始めはキャロリーナさんに通訳してもらいましたが、打ち解けて行くにつれて身振り手振り、表情でコミュニケーションを取れるようになりました。「日本には40年前くらいにお祖父さんが行ったことがある」「日本のハイテクはどこまで進んでいるんだ」という話から、「カナリアでもスモウは放送されているよ」ということまで言われ、すっかり相撲の話で盛り上がりました。特にお父さんは大の相撲ファン。「今のスモウ・チャンピオンはアメリカ人。日本人は弱いのか?」、「取組の前に撒く白い粉は何か?」ということや、「日本人にはどうして胸毛がないのか?それとも剃っているのか?」
(確かにスペイン人はみんな立派…)といった答えられない質問も出されました。そして何と「最近マワシが外れたというニュースがあったが、その後どうなったのか?」という情報まで、カナリアの人は知っていました。私も相撲にかけては話が尽きないタチなので、ボディランゲージでいつまでも笑いを取ってしまいました。家族は「こんなに笑ったのは久しぶり!」とお祖母さんまでお腹を抱えて大喜びで楽しんでもらえました。

意外に保守的なスペイン家庭 一般的なスペイン人家庭は一昔前の日本の家庭ととてもよく似ていて,かなり保守的。アメリカや北欧の家庭では子供が18歳を過ぎると家を出て,ボーイフレンドやガールフレンドと生活しても抵抗を感じないようですが,スペイン,特にカナリアではそのようなことは御法度と考えられているそうです。家庭でも父親が絶対的な権限("男性性":スペイン語では「マッチョ」と言う)を持っていて,母親は父親に従うのが美徳とされ,かなりの割合の既婚女性が専業主婦になるのだとか。夫の親と同居することも珍しくありません。特に娘の交際にはいろいろ心配もあって両親は口を出し,娘も親に反発しながらも結婚するまでは実家で家族と同居するのが一般的だということです。

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