10円広島A型券

広島印刷場のA型10円券は、1期から4期まで発行されたといわれています。1期券は、
・驛が旧漢字
・通用当日1回限り
・客車内に立入ることは出来ません(句点なし)
・裏面は番号のみ

入場券買い占め隊が買い占めたと思われる牧山駅の入場券。その不人気さは尋常ではなく、もし、10円券に切り替わってすぐに、この様式の券が売られていたとすると、僅か年2枚のペースでしか売れていなかったことになります。

左は昭和34年に発行された道後山駅の広島A型2期券。
・通用発売当日1回限り
・客車内に立ち入ることは出来ません
・その他は、1期券と同じ









左は昭和32年に発行された呉駅の広島A型4期券。
・駅が当用漢字になる
・「客車内に立ち入ることはできません。」と、句点(。)が入った



左の2枚は、鉄道入場券図鑑にはない様式のA型10円券です。硬券入場券プロのあなたなら、違いはお分かりですね。

入場券の券番は信用できないとの風評があるようですが、とんでもニャイ! 昭和28年度鉄道統計年報によれば、昭和46年に無人化された津山線各駅の入場料収入を含む旅客雑収入は以下の通りです。
備前原:306円、玉柏:110円、牧山:140円、野々口:690円、建部:1555円、神目:100円、誕生寺:930円、佐良山:106円、津山口:2010円
玉柏、牧山、神目、佐良山は、旅客雑収全てが入場料であったとしても、この年度は10枚程度しか売れていなかったことになります。裏面の券番はその不人気を忠実に反映しているのです。
(ちなみに、噂の不人気駅の昭和28年度旅客雑収は以下の通りです。函館本線・桂川:100円、瀬棚線・茶屋川:330円、池北線・川上:155円、手宮線・色内:2460円、小本線・宇津野:1171円、相模線・倉見:1040円、中央線支線・東京競馬場前:9495円、芦屋線・筑前芦屋:3569円。以上、ご参考まで)