南武線、横浜線、根岸線

南武線は、東海道本線・川崎と中央本線・立川を結ぶ35.5qの路線で、尻手〜浜川崎(鶴見線)の支線があります。左は、南多摩駅発行の赤帯入り10円入場券(東京印刷2期券)で、券番は0273。稲城長沼から先は複線化が遅かったためか、昭和40年頃まで入場券の売れ行きははかばかしくなく、しかも、南多摩駅は南武線で乗降客が2番目に少なかったので、東京周辺にもかかわらず、非常に不人気な駅だったようです。乗降客が1番少なかった矢川駅の赤帯入り10円入場券はもっと不人気だったに違いありませんが、残念ながら見たこともないので、捏造のしようがございません。

横浜線は、東海道本線・東神奈川と中央本線・八王子を結ぶ42.6qの路線で、横浜駅が始発ではありません。今でこそ 数少ないJRの黒字路線としておおいに繁盛している横浜線も、昭和30年代には「これが本当に東京の近郊電車なのか!」と電車男が随喜の涙を流すほどのレトロな単線だったようです。寒冷な昭和30年代の日本にあって、都心よりも5℃以上寒い東京西部を走る単線の横浜線は、「冷房完備を誇る電車」として有名だったとさ。そんなわけで、入場券買占め隊が訪れた形跡のない横浜線の入場券も昭和30年代には人気がなかったようです。

根岸線は、東海道本線・横浜と大船を結ぶ22.1qの路線で、昭和39年5月19日に横浜〜磯子間が開通した新しい路線です(昭和39年から45年までは磯子が終着駅)。鉄道省時代ならばいざ知らず、中間駅の「根岸」を路線名にするのはとても珍しい。桜木町から先の関内〜磯子までの各駅は乗降客が多かったので、赤帯入り10円入場券は発行期間が短かったにもかかわらず、今もなお、かなりの枚数が残されていて、比較的容易に入手できます。左の券番は0150。開業初日でこんなに売れていたのです。


次回は 御殿場線、身延線、二俣線を訪ねる予定です。