関東地方のその他の駅の入場券


突然ですが、昭和38年度における関東支社管内の主要な駅の旅客雑収入と入場料金は次の通りです(カッコ内の数値は、昭和28年度の旅客雑収入)。

東京:旅客雑収入=67,359,305円、入場料金=65,418,690円
(S28旅客雑収入=29,979,155円)
横浜:旅客雑収入=12,084,545円、入場料金=11,630,940円
(S28旅客雑収入=2,303,479円)
千葉:旅客雑収入=4,008,135円、入場料金=3,373,990円
(S28旅客雑収入=267,141円)
浦和:旅客雑収入=1,853,163円、入場料金=1,698,190円
(S28旅客雑収入=388,000円)
前橋:旅客雑収入=673,313円、入場料金=634,790円
(S28旅客雑収入=305,347円)
宇都宮:旅客雑収入=1,936,301円、入場料金=1,866,110円
(S28旅客雑収入=681,606円)
水戸:旅客雑収入=1,773,014円、入場料金=1,697,170円
(S28旅客雑収入=641,050円)
甲府:旅客雑収入=10,476,390円、入場料金=10,415,980円
(S28旅客雑収入=2,252,035円)
上野:旅客雑収入=41,965,432円、入場料金=38,520,380円
(S28旅客雑収入=31,517,697円)
新宿:旅客雑収入=10,968,881円、入場料金=9,358,270円
(S28旅客雑収入=2,770,176円)
渋谷:旅客雑収入=1,270,600円、入場料金=644,080円
(S28旅客雑収入=277,613円)
井野:旅客雑収入=410円、入場料金=400円
(S28旅客雑収入なし(S32年開業))
大平下:旅客雑収入=7,690円、入場料金=1,050円
(S28旅客雑収入=972円)
寺内:旅客雑収入=915円、入場料金=20円
(S28旅客雑収入=747円)
小作:旅客雑収入=10,295円、入場料金=210円
(S28旅客雑収入=3,562円)
熊ノ平:旅客雑収入=3,550円、入場料金=2,280円
(S28旅客雑収入=270円)

三丁目の夕日の時代から5年後の昭和38年度1年間だけで、東京駅では10円券にして実に650万枚も売られていたわけで、東京駅と上野駅(385万枚)の二駅だけで、1000万枚を越えておりました。


三丁目の夕日の時代の鉄道統計年報全国版に入場料金が記載されていれば、硬券入場券の正確な鑑定が可能なんですが、残念ながら見当たりません。でも、旅客雑収入が大きな駅では、そのほとんどが入場料金であることに着目すれば、旅客雑収入≒入場料金として発行枚数を推定することも可能です。一方、少ない駅では、入場料金が旅客雑収入に占める割合は例えば、井野駅は98%(400円/410円)なのに対して、小作駅は僅かに2%(210円/10,295円)と、バラツキが非常に大きくて、簡単ではありません。が しかし、入場料金≦旅客雑収入ですから(例えば、年間旅客雑収入が1000円以下の駅では、入場券発行枚数が100枚を越えることはありません)、駅の人気度を計る尺度として、旅客雑収入を一次近似としてもおかしくなさそうです。

昭和26年の鉄道統計年報を見て驚かされるのは、幻の中央本線支線・武蔵野競技場前駅(11,980円)や開業時から無人駅だと言われていた五日市線・武蔵岩井駅(10円)に旅客雑収入が計上されていることです。ですから、左に示す捏造入場券が本当に売られていたのかもしれません。他にも、木原線・上総東駅(789円)、同・上総中川駅(712円)、久留里線・上総清川駅(612円)、同・俵田駅(665円)、同平山駅(24円)などに旅客雑収入が計上されています。なお、停留場変遷大事典には次のように記述されています。ご参考まで。
武蔵岩井駅:S19.04.01南武鉄道買収、S27.3.20手荷小荷及び貨物取扱廃止。
上総東駅:S29.09.16一般運輸営業→旅客
上総中川駅:S29.09.16一般運輸営業→旅客
上総清川駅:S29.09.16一般運輸営業→旅客
俵田駅:S29.09.16一般運輸営業→旅客
平山駅:S29.09.16旅客手荷及び小荷(不配)→旅客

前置きが非常に長くなりましたが、独断と偏見と見た目で chabin が選んだ旅客雑収入1000円未満の不人気な全国の駅を来週からご紹介してまいります。使用する旅客雑収入データは、昭和26年から昭和28年までの日本国有鉄道鉄道統計年報です。左の落合駅の場合には、昭和26年:5,886円、昭和27年:6,247円、昭和28年:7,509円なので、根室本線・落合駅(5886円、6247円、7509円)と表示していきます。

また、左の添牛内駅の場合には、昭和26年:5,886円、昭和27年:2,580円、昭和28年:2,910円なので、深名線・添牛内駅(2350円、2580円、2910円)と表示していきます。

どんな不人気駅が登場するか、ご期待下さい。なお、捏造には時間が掛かるため、お待ちいただく場合があります。その時は、どうかお許しを。