その7 特急券は赤三条


26年11月から、斜めの赤い線が3本入るようになる。当時、特急は「つばめ」と「はと」しか走っていなくて、しかも3等車は少なかったので、庶民には縁遠い存在でした。めったに乗ることのない特急の切符は、憧れのまとだったですよね。


昭和29年から1等車と2等車に2割の課税。戦前の格差社会(というより、階級制)解消のため、贅沢品にのみ課税する物品税を導入。鉄道にも、弱きを助け、強きをくじく税制がとられました。









昭和28年3月から運行開始した京都〜博多間「かもめ」の特急券。




昭和31年11月から運行開始した東京〜博多間「あさかぜ」の特急券。




昭和32年10月から運行開始した東京〜長崎間「さちかぜ」の特急券。




昭和26年4月から運行開始した東京〜大阪間臨時特急「さくら」の特急券。これは、「はと」の3分後に大阪を出発する3004列車の特急券(S31.1.-3発行)。



昭和32年7月20日から8月20日まで、東京〜博多間に運転された臨時特急「さちかぜ」の特急券。




東京発8時50分の3001列車特急券は、「つばめ」の10分前を行く臨時特急「さくら」用。臨時列車の番号が印刷された常備券はとても珍しい。




大阪発12時20分の1004列車特急券は、「はと」の10分前を行く不定期特急「さくら」用(S33.1.-6発行)。

庶民に縁遠かった特急も本数が増え、身近な存在になってゆきました。戦後、相続税や法人税の新設、所得税への累進税率の導入も行われ、格差の少ない、機会均等な社会が実現していくことになりました。いま考えると、本当に夢のような幸せな時代が日本にもあったんですね。